山頂直下の分岐点を示す指標までAM君が登ってきた。
「さぁて、あとほんの一息だ。この小さい岩峰を登れば赤岳山頂だから。」
お互い寒さで顔をバラクラバで覆ってはいたが、AM君の顔が僅かに微笑んだ様な気がした。
「でも、落ちると最低でも骨折だから十分気をつけて。前に少し練習したフロントポインティングの技術が必要になるけど、三点支持を確実に守れば大丈夫。」
「わかりました。ゆっくりついて行きます。」
「いや、俺はもう何度も雪の赤岳を登ってるから、ここから先の最後の5分間はAM君にあげるよ。最後はトップで感動を味わってくれ。」
少し驚いたような感じだったが、すぐにそれは嬉しさへと変わったようだ。
「えっ、いいんですか? 本当に先に登ってもいいんですか?」
大きくうなずき、彼にトップを譲った。
アイゼンの前爪2本(或いは4本)だけを岩の窪みに引っかけて登る「フロントポインティング」。
引っかけるポイントを見極める判断力と道具を信じる気持ち、そして何よりも冷静さを必要とするテクニックだ。
下から見ていたがどうやら大丈夫のようで安心した。
岩峰を登り終えると、すぐ目の前には山頂を示す指標と祠がある。
「さぁ、あと10歩だ! ゆっくり(思いを)噛みしめて登って!」
後ろから声を掛けた。
一歩一歩てっぺんへと近づく。
2899mを示す指標の前に立った時、拳を握りしめ小さくガッツポーズをした彼の後ろ姿が印象的だった。
「遂にやったね! おめでとう!」
「ありがとうございます。○○さんにこんな所まで連れてきてもらって・・・。これ、一生の思い出です。」
「いやいや、頑張ったのはお互いだから。」
雪山のてっぺんでガッチリと握手をし抱き合った。
本当におめでとう。(^o^)
赤岳のてっぺんから見る360°の雪の絶景を堪能しているAM君。
彼の嬉しさはよくわかる。
苦労や辛さや危険が大きければ、それ以上の感動と充実感を得ることができるからだ。
「やばいよやばいよ。花ちゃんに送る画像を撮らなきゃ」
そう言ってスマホでパチリ。
この画像は、下山後に電波が通じるポイントですぐに花ちゃんに送信した。
(花ちゃんとは、職場のスタッフ仲間のお子さんで、登山が大好きな小学校2年生の女の子)
本当はここでゆっくりとしたいところなのだが、時刻は既に15時を過ぎてしまっていた。
これから地蔵尾根を下ってテント場まで戻らねばならないことを考えれば、感動もそこそこに下山を開始だ。
と、その前にせっかくなので自分も一枚。
これから先には、地蔵尾根のナイフリッジが待ちかまえている。
気持ちをリセットしなければ危険だ。
「さぁて、あとほんの一息だ。この小さい岩峰を登れば赤岳山頂だから。」
お互い寒さで顔をバラクラバで覆ってはいたが、AM君の顔が僅かに微笑んだ様な気がした。
「でも、落ちると最低でも骨折だから十分気をつけて。前に少し練習したフロントポインティングの技術が必要になるけど、三点支持を確実に守れば大丈夫。」
「わかりました。ゆっくりついて行きます。」
「いや、俺はもう何度も雪の赤岳を登ってるから、ここから先の最後の5分間はAM君にあげるよ。最後はトップで感動を味わってくれ。」
少し驚いたような感じだったが、すぐにそれは嬉しさへと変わったようだ。
「えっ、いいんですか? 本当に先に登ってもいいんですか?」
大きくうなずき、彼にトップを譲った。
アイゼンの前爪2本(或いは4本)だけを岩の窪みに引っかけて登る「フロントポインティング」。
引っかけるポイントを見極める判断力と道具を信じる気持ち、そして何よりも冷静さを必要とするテクニックだ。
下から見ていたがどうやら大丈夫のようで安心した。
岩峰を登り終えると、すぐ目の前には山頂を示す指標と祠がある。
「さぁ、あと10歩だ! ゆっくり(思いを)噛みしめて登って!」
後ろから声を掛けた。
一歩一歩てっぺんへと近づく。
2899mを示す指標の前に立った時、拳を握りしめ小さくガッツポーズをした彼の後ろ姿が印象的だった。
「遂にやったね! おめでとう!」
「ありがとうございます。○○さんにこんな所まで連れてきてもらって・・・。これ、一生の思い出です。」
「いやいや、頑張ったのはお互いだから。」
雪山のてっぺんでガッチリと握手をし抱き合った。
本当におめでとう。(^o^)
赤岳のてっぺんから見る360°の雪の絶景を堪能しているAM君。
彼の嬉しさはよくわかる。
苦労や辛さや危険が大きければ、それ以上の感動と充実感を得ることができるからだ。
「やばいよやばいよ。花ちゃんに送る画像を撮らなきゃ」
そう言ってスマホでパチリ。
この画像は、下山後に電波が通じるポイントですぐに花ちゃんに送信した。
(花ちゃんとは、職場のスタッフ仲間のお子さんで、登山が大好きな小学校2年生の女の子)
本当はここでゆっくりとしたいところなのだが、時刻は既に15時を過ぎてしまっていた。
これから地蔵尾根を下ってテント場まで戻らねばならないことを考えれば、感動もそこそこに下山を開始だ。
と、その前にせっかくなので自分も一枚。
これから先には、地蔵尾根のナイフリッジが待ちかまえている。
気持ちをリセットしなければ危険だ。