ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

苔三昧「斧断ちの森」

2018年12月17日 23時49分21秒 | Weblog
この先最後の苔の森である「斧断ちの森」へと行くが、その前に麦草ヒュッテへ立ち寄った。

缶コーヒーを購入したが、缶コーヒーなんぞを購入するのは本当に久しぶりのことだった。
飲みながら店の人に苔の森についていろいろと教えていただいたのだが、「今から斧断ちの森ですか。珍しいですね。あんな森に行く人なんてそう滅多にいませんよ。」
と言って笑っていた。
何故なのかは敢えて聞かなかったが「自分が行くことがそんなに珍しいことなの?」と不思議だった。

ヒュッテをスタートしてすぐに鬱蒼とした森へと入った。
今までの森とそうはたいして変わらない雰囲気の森だった。


地図の通りに「駒鳥の池」へと到着。
池と言うよりは「沼」のような感じであったが、ここも昨夜の豪雨の影響からだろうか、かなり増水していた。


できればもう少し畔まで近づきたかったが、足元は泥沼化しており無理だった。

先を急ぐ。

何となく見覚えのある苔に遭遇。
名前までは分からないが、つい先ほども見た記憶があった。


時折日が差しては雲っての繰り返し。
差せば差したで鮮やかな黄緑色が浮き出るようだったし、曇れば曇ったで色濃く映る苔。
それぞれに良さがあっておもしろい。

なぁ~んて考えていたらいきなりガスってきた。

これもまた樹林帯特有の情景だろう。


これは一体何?
これも苔の一種なのか・・・。
指で触れてみたが以外と固かった。
この植物はここのポイントでしか見つけることができなかった。

先へと進むが、ガスが一層濃くなってきている様な気がした。

不気味ささへも感じられる斧断ちの森。
もしルートらしいルートがなかったら間違いなく道迷いしてしまっていたと思う。
それ程までに濃いガスと樹林帯の怪しさは際だっていた。
「確かにこれじゃ滅多に人が訪れることはないかな・・・」
ヒュッテの人が言っていたことが何となく分かったような気がした瞬間だったし、そう思わざるを得ない。

と思っていると、なんと人の声が自分の方に向かって来るではないか。
「まさか・・・」と思ったが本当にハイカーだった。
一組の老夫婦だった。
しばし苔の話や八ヶ岳の話をし、写真を撮っていただいた。


不気味さ漂うなかなかの一枚となった。

苔三昧「黒曜の森」

2018年12月06日 23時59分11秒 | Weblog
奥庭を抜け、「黒曜の森」へと入った。


この苔の森は今までの森と比べると絨毯のような苔を目にすることはなかった。
どちらかと言えば遠慮がちでおとなしめの森という雰囲気だった。

そして

日が差してきた。
鬱蒼とした樹林帯の中に差し込む太陽の光で、明と暗の見事なコントラストを生み出している。


これはこれでまた思い出に残る風景だった。

ほどなくしてルートを塞ぐように倒木があった。

根本をよく見てみるとまだ土が多く付着しており柔らかそうだった。
おそらくは昨夜の台風によるものだろう。

それにしてもこんな大木までもが倒れてしまうだなんて、いくら葉が茶褐色で枯れかけていた木とはいえ、自然の怖さをまざまざと見せつけられる思いだった。

森を抜けると一面熊笹となり、背丈が低いこともあって遠くが見通せるようになった。

ガードレールが見える。
間違いなくメルヘン街道だ。
ということは「麦草ヒュッテ」も近いということになる。


ビンゴ!
赤い屋根が麦草ヒュッテだ。
山脈(やまなみ)はガスの中であり、残念ながら北八ヶ岳の山を拝むことはできなかったが、「おぉ~、将に高原って感じ♪」

急に暑さを感じるようになってきた。
標高2000メートルの高地とはいえ、まだ完全な残暑の季節。
ほんの少しでも日が当たれば蒸し暑い。


抜けてきた黒曜の森を振り返る。
青空はあきらかに広がってきていた。
スケールこそ違うが、7月の新室堂乗越を下山していた時の風景を思い出した。


「おっ、これってひょっとしてハクサンフウロか?」
こんな時期にまさかであった。
お目にかかれるとしてもせいぜいリンドウかトリカブト程度だろうと思っていただけに、これはラッキーだった。

そう言えば、高山植物を覚えるようになってから自分の登山スタイルが大きく変わったような気がする。
周囲、特に足元の周囲に目が行くようになったし、ふと足を止め花を愛でるようにもなった。
そして何よりも気持ちにゆとりが持てるようになった。
花なんて決して自分の柄ではないと言えるが、癒される思いに感謝したい。

苔三昧「白駒の奥庭」

2018年12月02日 23時47分47秒 | Weblog
6時にスタートして約3時間。
朝食があまりにも軽すぎたこともありいい加減腹が減ってきた。
「どこかで行動食でも・・・」
と思ってはいるのだが、まともに腰を下ろせるようなポイントが無く、「もう少しだけ行ってみるか」の繰り返しでここまで来てしまった。


なかなか見応えのある松の根元だった。
上手くカメラで捉えられないのが悔しい。

一端「白駒の森」へと戻り、ここから奥庭と呼ばれるポイントを越して「黒曜の森」を目指す。
メルヘン街道とほぼ平行しているルートなのだが、この白駒の森も一歩奥へと入り込めば苔の絨毯が敷き詰められていた。


腹減ったと思いながらもつい立ち止まっては見入ってしまう。


日が差さず雨上がりということもあり、それが逆に色艶を増しているように見えた。

しばらく歩くと急に苔の森を抜け視界が広がった。

これが白駒の奥庭と呼ばれるポイントなのだろうか。
確証はなかったが、久しぶりに顔を上げて風景を見渡したような気がした。


間違いなくこのあたりが「白駒の奥庭」だ。

途中に岩があり、表面が乾いていたのでそこに腰を下ろして行動食を食べた。
振り返ると東の空に僅かながら青空が見え始めていた。


まだまだ十分に残暑の季節ではあるが、今日はほとんど汗をかいてはいない。
湿気はかなりあるが、アップダウンの少ないハイキングルートだけに助かっている。

行動食を食べながら33年前を振り返った。
記憶にある風景は、一日目よりもアタックした二日目の方が遥かに多かった。
つまり、オーレン小屋から赤岳を往復したルートである。
「今度時間があったら夏の赤岳往復でもやってみるか・・・」

若かりし青春時代の記憶を辿り、まったく同じルートでチャレンジしてみようか・・・。