いきなりの写真だが、これはおそらくは往路における平蔵の頭手前辺りだったと推測する。
何故敢えてこの画像を載せたかというと、この「下山ルート」を示すペンキ文字は、昨年までは無かったような記憶があるからだ。
平蔵の頭を越えるルートは、往路と復路とでは違うルートになっている。
その他にもルートがそれぞれ別れている一定区間はあるのだが、記憶が正しければこのペンキ文字は真新しいものだ。
「ここまで丁寧にしなければならないのか・・・」
これが正直な本音だった。
実を言えば今回の別山尾根ルートでは、真新しいペンキマークや文字を数多く発見した。
しかも殆どがピンク色のマークや文字だった。
斬新と言うべきか御丁寧と言うべきか・・・。
最も驚いたのは下山時のヨコバイだった。
最初のステップが重要であることはわかりきったことだが、なんと、一歩目どころか数歩先までのスタンスポイントまでペンキで記されていたのだ。
この時はペンキマークの多さに、かえってどうしたらよいのかわからなくなりそうだった。
「えっ!何? なんだこれは・・・どうすればいいの・・・今までとどう違うの?」
と、焦りに近い思いに駆られた。
詳細は後にアップしたいが、いくら何でもこれはやり過ぎだろうと思わざるを得なかった。
それだけルートファインディングのミスが発生し、事故や怪我に繋がっているが故の対応策なのだろうが、これはやり過ぎだ。
明らかに丁寧を通り越している。
もちろん事故は無いに越したことはないが、いくら日本最難関ルートのひとつと言っても、十分な準備と下調べと経験値を積んでから臨めば良いだけだ。
難関ルートであることがわかっていて臨んで来たのだから、ルートファインディングが難しいのは当然のことであろう。
「毎年来ていればルートファインディングのミスなんて起こさないだろうし、地図無しでも大丈夫でしょ!」
と言われそうだが、決してそんなことはないとキッパリと言い切れる。
自分が初めて劔を攻めようと思い立ったその昔、ルート状況の下調べに半年近くかけた。
書籍、ルート案内書、数種類の地図はもちろんのこと、実際に登ったことのある人に散々聞きまくった。
それでも一抹の不安は残ったが、やるだけのことはやったという自負もあった。
今の時代であればインターネットでかなりの情報収集をすることも問題なくできよう。
・・・であるはずなのに、ルートファインディングのミスは起きる、そして事故と怪我。
これはあくまでも自分一人の考えであるが、あまりにも自立していない人たちが多いような気がしてならない。
要は「他人頼り」「スマホ(アプリ)頼り」ということだ。
地図が無くてもアプリに入っているから大丈夫という軽率で愚かな考えで山に登っている人が実際にかなり大勢いる。
信じがたいことだが、現実はそうだ。
今回の劔は、山に登る者に対してと安全対策についていつも以上に疑問を抱きながらの登山となった。