ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

ディランの真意は・・・

2016年10月24日 22時11分50秒 | Weblog
ノーベル文学賞の受賞が決まって以来、当の本人と全く連絡が取れていないノーベル選考委員会。
もちろん彼自身は受賞のことは知ってはいるだろうが、ディラン自身も何らコメントを言っていない。
「実にディランらしい」と言ってしまえばそれまでだが、所詮は委員会が勝手に選考し勝手に決めているだけのもの。
応募をしているわけでもなく、ましてやアピールなどもない。
本人の意志(意思)など無関係に事が進み世間が大騒ぎをしているのが現状だろうか。

さて、ディラン自身から委員会へ何ら音沙汰のないことから少々物議を醸し出しているようだ。
委員長の言葉によれば「無礼で傲慢だ」とか。
一方的に選んでおきながら「返事をよこせ」とは、これこそ上から目線に他ならないと思われがちだが、しかしよくよく記事を読んでみれば、最後に「彼らしいじゃないか」という言葉が付け足されていたようだ。
つまり「彼の態度は無礼で傲慢かもしれないが、彼らしいじゃないか」ということ。
委員長自身もこうなりそうなことを予想していたのかも知れない。
果たして授賞式には出席するのだろうか。
ちょっと意地悪な感じで楽しみになってきた。

あまりにも難解で、哲学的ともとれるボブディランの歌詞。
英文や英会話に極めて精通した人が10人いて、最もあてはまるであろうと思われる日本語で訳し文脈を構成したとしても、彼が真に思うところを適切に訳しきってくれているのかどうか・・・。
それくらい難解な歌詞だ。
自分のような頭では到底理解できない。
だからこそ惹かれるのだが・・・。

久々にギターを取り出しボブの曲を弾いてみた。
“MY BACK PAGES”
彼の曲の中で最も好きな曲である。
改めて日本語訳を読むがやはり意味が分からない(笑)。
そのくせ、第三者的になりきっている自分がいて「おまえらなんぞに分かってたまるか」という勝手な思いがある。

今年の劔岳は・・・:君なら登れる!

2016年10月10日 22時11分03秒 | Weblog
前劔への登りからは、若い彼と一緒だった。
自分の後をついてくるのだが、あの大きなザックを背負っての登りは相当きついだろうと想像がつく。

彼のペースは比較的ゆっくりであったが、初めての劔岳であれば無理もない。
ましてや重いザックだし・・・。
時折ふり返りながら彼の様子を伺った。
それにしても凄い。自分にはやろうと思っても絶対にできないことだ。

天候が良ければ気分もいい。
気分が良ければ登攀意欲が上がる。
意欲が上がればきつい登りも苦にならない。

ずいぶんと勝手なことであるが、事実その通りであった。
前劔の頂上まではあっという間の登攀だったような気がする。
ここで小休止を取った。
一服しながら、ここから始まる本格的難所の説明をした。
初めてである彼はやや緊張しているようにも見えたが、体力的には問題はない。
三点支持の基本をしっかりとすれば大丈夫だろう。

前劔を下ると、いよいよ例の「橋」が見えてきた。
「あの橋を渡ってからが本番ですよ。」

すでに先行者が橋を渡っているのが見えた。
「橋を渡ったら右側の大岩を高巻きしながら登ります。足場のないポイントには鉄杭が打ってありますからそれに全体重を預けて移動してください。」


本峰が眼前に迫ってきているだけにテンションも上がってきている。

「ザックを引っかけないこと。そしてボルトの上に乗る時には、ソールの土踏まずのポイントを置くこと。それだけです。」

平蔵の頭についても説明した。
「往路時の頭の下りは、かなり長いくさり場になってますが、一見するとスタンスポイントが見あたりません。でもよく見ると結構あるんですよ。私も初めてここを下った時はどこにスタンスポイントがあるのかわからなくて、両手でくさりにぶら下がってしまいましたけどね。(笑)」

下りのくさり場では、縦に長いクラックがあり、そのクラックを利用すればいいだけのこと。
初めて通過した時は、おそらくそのクラックは視界に入ってはいたのだろうが見つけることができず、それだけてんぱってしまっていたのだろう。


平蔵の頭をふり返る。
復路のルートを説明しながらも、碧空に目が行ってしまっていた。

頭のてっぺんからも確認できたのだが、平蔵谷を見て驚いた。
雪がすべて溶けてしまっていたのだ。
去年の夏、この雪渓を利用して登ってきたのに・・・。
シュルンドを3度も越えて、アイゼンの前爪で自分の足を刺しながらも越えてきたのに・・・。
今は8月の末。
夏も終わりであるが、それでも残っているはずの雪は跡形もなく消えてしまっていた。

平蔵のコルで小休止を兼ね、タテバイの説明をした。
そして今までの彼の実力を冷静に客観視して思ったことがある。
彼にタテバイを先行させてみよう。
自分が先行し、あーだこーだと偉そうに説明するのは簡単だ。
それよりも、初めての彼にとって本来の単独行のあり方でここを挑戦した方が彼のためである。

取り付きかた、くさりやボルトの位置、移動の仕方、途中の休憩ポイントなどを予め説明し、先行を譲った。
「大丈夫。あなたならできますよ。」

彼のカメラを預かり、下から撮った。
余計なアドバイスは一切せず、後は彼自身の判断力に任せた。

大丈夫! 君なら登れる!