水を確保した後の最後の登攀はさすがにきつかった。
天候の悪さもあったが、ザックのショルダーハーネスが肩に食い込むのなんのって。
このときばかりは「あぁ、もうちょっと肉(クッション)が欲しいな・・・」
と思った。
15時50分、女峰山山頂直下にある「唐沢小屋」に到着。
三人とも、全身雨と汗でずぶ濡れ状態だった(笑)。
小屋には自分達の他に二人組の方達がおり、すでに食事の準備を始めていた。
小屋は20人以上は余裕で利用できるスペースがある。
土間を中心に左右に分かれて板の間があり、自分達は彼等と反対側のスペースを使用した。
三人が利用するにはかなり広いスペースで、調理や食事をするスペースと寝るためのスペースが完全に分けられるほどだ。
先ずは着替えよう。
シャツ類はもちろん、下着、ソックスまですべての衣服を替えた。
今までのじめじめべっとりから、サラサラドライへと。
たったそれだけなのだが本当に気持ちがいいね♪
時間はたっぷりとある。
初日の労をねぎらって珈琲で「お疲れ様」だ。
寒さを感じるほどの登攀ではなかったのだが、いざこうして熱い珈琲を飲めば体が温まってくるのがわかった。
やはり冷えてはいたのだ。
ここでやっと一服できた。
スタートから今まで、雨のため煙草を控えざるを得なかったのだ。
「夕食を早めに作り食べてしまおう。」ということになった。
一般的な山小屋の場合、有人無人に関係なく、消灯は21時頃。
早く食べ終えて、後は寝るだけ状態にしておき、ゆっくりと酒を飲みながら語り合おう。
今夜のメインディッシュは「サンマとごぼうの卵とじ丼」そして「洋風中華水餃子スープ」だ。
意味がよく分からないが、自分が勝手につけた名前なのでOKとしよう。
さて、ここでレシピを。
*「サンマとごぼうの卵とじ丼」1人前
・オリーブオイル:少量 ・サンマの蒲焼き(缶詰):2 ・ごぼうのささがき:適量 ・卵:1 ・塩こしょう:少々
*「洋風中華水餃子スープ」
・水 ・ふかひれ中華スープ(カップスープを利用) ・冷凍水餃子:4個 ・固形コンソメ ・ローリエ
調理方法はいたってシンプル。
なにせこの自分が一切迷わず作れたほど(笑)。
ちなみに「サンマとごぼうの卵とじ丼」は、「シェルパ斉藤のワンバーナー簡単クッキング」という、登山に最適な簡単調理が豊富に掲載されている書籍を読んでトライした。
「洋風中華水餃子スープ」は、自分が考案したオリジナルだ。
単純に中華風でよかったのだが、そこにコンソメとローリエを入れることで味にコクが生まれる。
大量の汗をかいた後だけに、この「コク」が実に美味い♪
洋風とも中華風ともとれる味なのだが、評判は高かった・・・かな。
スープ担当はビビリ君。
まぁ大丈夫だろう(笑)。
O氏はメインディッシュはカレーライスで、スープは一緒だ。
今回O氏は、できるだけシンプル且つULの調理方法を試すため、別メニューとした。
米はみんなFDとした。
お湯を入れて待っている15分間で、調理は十分に可能だった。
やっと飯にありつける喜びもさることながら、重い食材が次から次へと無くなって行くことで、明日のザックの重量が軽量化されるという現実が嬉しい。
食後の酒は缶ビールと缶酎ハイ。そして朝食の食材も含めれば、今日とは比べものにならないほどザックが軽いのは明らかだ。
できあがりはこんな具合だ。
見た目はまぁまぁかな(笑)
だが、ここからが上手く行かなかった。
シエラカップからご飯の上に移そうと何度かやってみたのだが、どうにもスライドしてくれない。
結局、フォークで少量ずつ剥がすように取り、盛りつけるほかなかった。
せっかくのいいできが、こんな風にぐしゃぐしゃになってしまった(笑)。
スープもできあがり、さぁ食べよう!
家では、ラーメン以外の調理らしい調理は一切やらない。いや、できない。
なのに山ならできる。(そんなバカな・・・)
問題は「やる気」だけだ。
今年度の自分のテーマは「調理」。
昼食は一手間。夕食なら二手間を加えようというのが自分に与えた課題だ。
できれば美味しいにこしたことはないが、味は我ながら美味かった。
腹が減っていれば何でも美味いのだ!