ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

Self Belay

2011年05月31日 00時05分58秒 | Weblog
“Self Belay”(セルフビレー)
簡単に言えば、自身の体と岩肌等の確保点をハーネスやスリング、カラビナを用いてつなぐことで転落や滑落を防ぐこと。

様々なやり方があり、どれがベストであるとは一概には言えない。
ネットや専門書で調べたがどの方法が良いのか決められなかった。
でもって、やはりここは身近な山男に直接レクチャーをいただくことにした。
「モンベル・おやまゆうえん店」のMさん。
以前にセルフビレーについて教えていただいたことがあったからだ。

そもそも何故セルフビレーが必要なのか。
やはり「劔岳」への登頂を目指す上で、中古パーツをつなぎ合わせた様な自分の体を考えれば習得しておくべき課題の一つだからだ。
絶壁上のトラバースをするにあたり、「もしも」のことが起きても、利き腕である右手一本。或いは左足一本で自分の体を支えられるかと言えば、実のところ自信がない。
かつて二本の腱板断裂をした右肩、そして今現在痛めている左膝の痛みがあるからだ。
「果たしてどうしたものか・・・何か方法はないものか。ちょっと大袈裟にはなるが、やはりセルフビレーが最も確実で手っ取り早いのかな。」
そう考えた。

スタッフのMさんに尋ね、必要なギアとロープワークを教えていただいた。
決して難しい技術ではないが、今まで知らなかった方法だった。
一揃いギアを購入し、家に帰って何度も練習した。
目を閉じて感覚だけでトライした。
今までとは違う緊張感を味わいながら、できるまで続けた。
なにせ自身の命が懸かっている技術の習得だ。
後ろから女房が見ているのがわかる。
どう思っているんだろう・・・。
「どうせまた山のこと。なんでそうまでして行くんだろう。」
そんなところかな(笑)。

くさり場のトラバースにおいて、設置されているくさりを確保点にすることは、自己責任の世界となる。
それは覚悟しなければならない。
万が一を考えたらそれこそきりがないが、それでも登攀するに値する、挑戦に値する大きな魅力と畏怖心のある山が、俺にとっての劔岳だ。

残雪の半月山:茶ノ木平到着

2011年05月29日 00時41分23秒 | Weblog
途中で一本休憩を取り、茶ノ木平へと着いた。
相変わらずの曇天で、青空はまったく望めない。
いくら山の天候は気まぐれといっても、「日光方面:晴れ時々くもり。降水確率20%」の天気予報にはあんまりだ。
それでも幸い風はなく、体感気温は思っていたよりもある。休憩していてもジャケットを着る必要はなかった。

この茶ノ木平の標高は大したことはないが、振り返れば男体山の中腹当たりまで登ったのではないかと感じた。
自分自身、初めての半月山であり、当然このポイントから眺める男体山も生まれて初めてだ。
その意味では見慣れた山でもかなり新鮮に感じた。


「来月は男体山に登ろう」そう決めてはいたが、彼方に見える女峰山も含めてまだまだかなりの残雪が目立っている。

さて、初めてのトレッキングに参加したKさん。
「どう、疲れた?」と聞くと、「いえ、まだ大丈夫です。なんとかついて行けそうです。」と、笑顔で返事が返ってきた。
「ここからちょっとフラットな道を歩いたら下りになるから」
「やったー! 嬉しいです。」
「でもまた上りになるけどね」

一つ一つのアップダウンに一喜一憂しているKさん。
なんとも初々しいなぁ(笑)。

劔に向けてⅡ・・・

2011年05月27日 00時30分02秒 | Weblog
一般的な生命保険でも、登攀中における万が一の時には保険金はおりる。
しかし、それは怪我、入院、死亡時のみに限られる。
山における万が一とはそれだけではなく「捜索」に関わる費用が含まれてくる。
そしてそれが最も気にかかることの一つと言っても良いだろう。
捜索は警察だけに頼るわけには行かないケースが多く、山岳救助隊、民間ヘリなどに依頼しなければどうにもならない。
それが現実だ。
問題はそこ!
その費用がばかにならない。

ってな訳で、生まれて初めて「山岳保険」に加入した。
雪山におけるアイゼンやピッケルによる怪我をも含めての山岳保険だ。

それにしても、自分のような男がソロで北アルプスを縦走すること自体、自分で笑ってしまう。
俺にできるのか。
俺のような大雑把で根性無しの男が、一人で北アルプスだなんて無謀にもほどがある。
休憩したいだけ休憩して、結局は予定の時間を大幅に遅れて到着するのが精一杯じゃないのか。
すべてが自己責任のソロ山行に、どう考えても俺はあてはまらない。
無謀なチャレンジの様な気にもなってくる。
「好きなだけではどうすることもできないことがある」

ずっと自問自答しながらもうすぐ一年が経つ。
ずっと迷いながらアクセス、縦走ルート、装備等々計画立案してきた。
特に装備類においては、もう何度となく計画書を書き換えた。
ウルトラライトとまでは行かないが、いかに無駄をなくし軽量化を図れるか。その一点のみで言うなら、A4版用紙20枚近く書き綴った。
年賀状には「今年の夏は、劔岳への単独登攀を目指します」とまで書いた。
そうすることで、自分を絶対的な状況に追い込めるからだ。
もう後へは引けない状況にすることで、迷いを完全に吹っ切りたい思いもあった。

俺って本当にメンタルが弱いなぁ。
こんなことしなきゃ自分と向き合えないなんて。

劔に向けて・・・

2011年05月26日 00時00分07秒 | Weblog
少々無理をして、新しい登山靴を購入した。
「モンベル・アルパインクルーザー2500」
アッパーはヌバックレザーのハード仕上げで、「アルパインクルーザー3000」には劣るが、雪の低山でもOK。

何度か試し履きをさせていただき、履いた感触は「硬い」という感じだが、言い換えれば足首から下全体をすっぽりくるみガードしているといった感触だった。
また、実際に触れてみて、ツオロミー等のファブリクスと比較した場合、ソール硬さの違いが実感できた。
だがそれは、森林限界線を越える稜線歩きを主とし、岩場、ガレ場ばかりのルートを70リットルのザックを背負って歩くことに対して安心感を与えてくれることを意味する。

登攀時には、最上部だけ靴紐を締めずにいたほうが登りやすいと思ったし、自分の足形になってくれるまでにはまだ時間はかかるだろう。
本来であれば一年ほどをかけて自分の足形にしなければならないのだろうが、劔へはあと3か月しかない。
日帰り登山で回数をかせぎ、よりフィットさせなければならないのは必至だ。

などとちょっと真面目ぶって綴ってはみたが、本音を言えば自然と顔がほころんできてしまう。
もう嬉しくて嬉しくて!
新しい玩具を買ってもらった子供と同じだ(笑)。
いい歳をした親父が何をやっていると思われそうだが、嬉しいものは嬉しい。
そして何よりも、ザックと登山靴を購入したときこそ、「あぁこれで俺も山男の末端にいるんだなぁ」と感慨深い想いにかられる。
手入れは大変なのだが、末永く愛着を持って大切にしたいギアだ。

残雪の半月山:残雪

2011年05月24日 21時38分16秒 | Weblog
駐車場から見上げた男体山は、中腹あたりから残雪が目視できた。
まだ固いのか、シャーベット状なのかは不明だが、半月山とて標高は1800メートルに近い。標高が上げれば自ずと残雪の洗礼を受けることは明らかだ。

まずは「茶ノ木平」へ向けて登攀開始。
天候は思ったよりも悪く曇天。今にも雨が降り出しそうな感じ。(やだやだ)
息を切らせるほどの斜面ではないが、山が初めてのKさんにとって、この程度の斜度が果たしてどれほど負担になっているのかが気にかかる。
かなりゆっくりと登っているつもりではあるが、やはり途中で一本休憩を入れることにした。


いよいよもって残雪が見えてきた。
ルートを雪が隠してはいるが、トレースさえ間違えなければルートを外れることはない。
残雪にちょっと感動しているようだが、この後標高が上がるにつれて、この残雪の洗礼を受けることになった。
また、常々綴っていることだが、春山と秋山にとって最も難しいのがレイヤリングだ。
平地で20℃の気温があっても、標高2000メートル前後の山に登れば気温は間違いなく一桁台。
そして春山なら、場所によっては予め軽クランポンも必須アイテムとなってくる。その判断が本当に難しい。

茶ノ木平までもう少し。
さぁゆっくりでいい、自分の足で頑張ろう!

残雪の半月山:なにぃ?遅刻だと!

2011年05月23日 22時23分18秒 | Weblog
ゴールデンウィーク期間中、せめて一回はどこかの山へ登ろうと計画した。
どの山にせよ気になるのは放射能と残雪。
ソロでの登攀なら何処の山でもよかったのだが、是非一緒に登ってみたいという新人がおり、無理なく登れる山をあれこれと探した。
そして以前から一度は登ってみたかった日光「半月山」を今回のターゲットとした。
麓からスタートし、戻ってくるまで約4時間半。途中休憩と昼食を含め、ゆっくりと進んでも7時間あれば十分だろうと判断した。

今回のメンバーは、自分の他にいつものビビリ君。イェローフォールSST以来のOさん。そして登山が初めてというKさん。男性2名、女性2名、計4名でのトレッキングとなった。
事前に天候を調べ、そこそこ晴れの予報の4月30日に決行。
朝6時に出発とし、6時前には3名が集合した。
「さぁて、あとはビビリだけか。そろそろ来てもいい頃なんだが・・・」
そんなことを言いながら本人を待ったが、6時を過ぎても車が来る気配がない。
まぁ少しくらいの遅刻は気にするなとは言ってはあるのだが、それにしても「遅れる」という連絡がない。
携帯へ連絡を入れてみた。
「もしも~し。今どこ?」
「ん、んん~・・・う~ん・・・。おは、おは・・よう・・・ござい・・・ます。」
「なんだぁ、まだ寝ていたのか?」
「あっ、すみません!! すぐ行きます。すみませ~ん!!」
「あわてるなよ。事故っちゃもともこもないからな。いいか、あわてるなよ。」

どうやら自分がかけた携帯への着信音が目覚まし時計となったようだ(笑)。
電話のむこうで、彼が何度も何度も m(_ _)m m(_ _)m しているのがわかるなぁ。
約30分遅れでビビリ君到着。
いやぁ早速やってくれました(笑)。

車中では、初心者のKさんが募る不安を隠しきれずにいる。
何とかリラックスをさせてあげたいのだが、本音を言えば「残雪」の状況が気になる。
事前に日光の観光課に連絡を入れ情報を仕入れていたのだが、言葉だけでは正確な把握には限界があった。
ただ、例年よりは多いようだ。それが最も気になった。

8時に駐車場に到着。
軽く準備体操をし、登山靴に履き替えスパッツを装着。2度目の朝食を摂り、仕上げにBCAAを飲んだ。
「さぁて、それじゃ行きますか! まぁ予定より30分遅れだけどね。(笑)」
立つ瀬のないビビリ君だった。

絶対にやばい! こりゃまずい!

2011年05月22日 20時00分37秒 | Weblog
この膝の痛み、6年前に内視鏡検査を受けたときの痛みと似ている。
なんとかしなければまずい。
仕事への支障はもちろんだが、「MOC」での男体山、更には「劔岳」への登頂を控えている現状を考えれば絶対にやばいなぁ。

20年以上も前のこと。
初めて左膝の内視鏡検査をうけ、抜糸して数日後に北アルプスへと向かった。
北穂高岳、奥穂高岳、ジャンダルム、西穂高岳と縦走したが、あの頃とは若さも体力も桁違いだ。
それを思えば、今回の痛みが最悪何を意味するのかは自ずと分かってくる。
じょうだんじゃない。
1年も前から計画してきた劔岳を、ここに来て諦めることなどできない。
何故なんだ。
何故今なんだ・・・。
持病とはいえ、何故今になって6年前と同じ痛みが出てくるんだ。

筑波山ソロ:まさか・・・

2011年05月21日 00時24分17秒 | Weblog
昼食休憩を済ませば、あとはゆっくりと下山するだけだ。
往路とは違うルートで下山しようと思ったが、ここでも例の札が・・・。
だが、ケーブルカーとロープーウェイは平常運転している。
結局は登山のみが原則禁止って訳だ。
ケーブルカーで下山しようかとも思ったが、1時間も歩けば下りられるのに、わざわざ金を払って下りるのもなぁ・・・。

途中からは、ほぼケーブルカーの線路に沿ってのルートとなった。
出発地点となった「筑波神社」が見えてきた。
境内に入り、さぁて駐車場まで戻ろうか・・・と、石段を下りているその途中だった。
突然自分の体が何らかの力で前へ押し出され、石段を転げ落ち石畳の上に体の右半分を思い切り打ちつけた。
運が悪いというか、無事下山し、いつものようにザックのハーネスをすべて外して、右半分だけで担いでいる体勢だった。
つまり、転げ落ちたのが体の右側だったため、石畳に手を突くことができなかったのだ。
かろうじて顔面を真正面から打たないよう顔はそむけたのだが、右手中指、右肘、そして右側頭部に衝撃と痛みが走った。
それでも自分に何が起きたのかさっぱり分からなかった。
(「一体どうしたんだ? 何故?」)

立ち上がろうとした時だった。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。」と言って、小学生らしき男の子が自分のすぐとなりで泣き出しそうな顔をして立っていた。
どうやらその子が石段を駆け下り、勢い余って踏み外してしまったらしい。
そして前のめりになったその先には自分がいて、巻き添えをくらったようだ。
側頭部をぶつけたためしばし頭がガンガンしていたが、やっと現状を理解することができた(笑)。

幸いその子は自分のザックがクッションになってくれたおかげで、膝を軽くすりむいた程度の怪我で済んだようだ。
「どうか今から病院へ。もちろん私が運転しますので・・・」
その子の母親らしい方からの言葉だったが、どうにもこうにも恥ずかしくて仕方がなかった。
山男が山で転ばず、下山後に神社の石段で転んだだなんて。
いくら巻き添えだったとはいえ、情けねえ~(笑)。
「いえいえ、登山の途中で転んだらこんなものじゃ済まされませんから、大丈夫ですよ、大した怪我じゃないし、痛みもありませんから。」
と、顔で笑って痛みを堪えながら返事をした。
それでも母親は「あのぉ、お名前と住所だけでも教えていただけませんでしょうか」と言ってきたが、自分で直せる程度の怪我だと判断し、「本当に大丈夫なんですよ」と、ちょっと無理に笑顔で答えた。
男の子の怪我が軽い擦り傷程度で良かったと思う。

駐車場まで戻りシャツをまくってみると、右肘に結構大きな擦り傷と内出血が。
でもって右手中指は腫れ上がっている。おそらくは靱帯かな。
そして恐る恐る側頭部に触れてみれば、そこにはでかいこぶが・・・。
はぁ~情けなや・・・。山で怪我せず下山後に階段で転ぶとは・・・。
あの時、完全に油断をしていたよなぁ。

まっ、子供が無事だったからいいか!



筑波山ソロ:本年度のテーマ

2011年05月19日 23時04分23秒 | Weblog
スタートから2時間足らずで山頂に着いた。
途中休憩を2度入れたが、足慣らしとしてはまぁこんなものか。

ひょっとしたら、登攀途中で余震が起きていたかも知れない。
M2~3程度のものであれば、気付かないまま登攀していた可能性もある。
ピークの岩場に立つことを一瞬ためらったが、近くにいた人にシャッターを切ってもらう間の数秒だけ立った。
(「今、余震が起きたらやばいなぁ」)
そんなことを思っていると、「よくそんな狭い場所に立てますね」と言われた。
まったく恐怖感が無いわけではない・・・が、どうせ写真に写るのなら、よりピークらしいポイントがいい。それだけかな(笑)。

さて、今年度の登山のテーマだが、二つある。
一つはなんと言っても「劔岳」へのソロ登攀を実行すること。
もう一つは可能な限り「食を楽しむ」ことだ。

昨シーズンは先頭を歩くことが多く、全体のペースや疲労への配慮、登攀時間と休憩時間の計算、危険箇所の明確化と指示、技術的なアドバイス等々で、「食を楽しむ」という余裕がほとんどもてなかった。
おきまりの定番メニューやフリーズドライに偏り、行動食を含めて「糖分、塩分、炭水化物」を主としたカロリー摂取さえ怠らなければそれでよしとした。
だから今シーズンは、できる範囲でいいから「日帰りでの昼食なら一手間」、「泊を伴う夕食なら二手間」をかけた食事作りに力を注いでみたかった。

あくまでも「無理のない範囲」で実行してみること。
まぁ調理の大嫌いな自分にとって、できることと言えばたかが知れてはいるのだが(笑)。

今回は、ごく普通のレトルトカレーを「シーフードカレー」へと一手間かけた。
購入した冷凍シーフードミックスを、出発の前日に茹で、再び冷凍しておく。
それを持参し、レトルトカレーの中に入れ、一緒に茹でるだけという、何とも簡単と言うか手抜きというか・・・。
本来のシーフードの「だし」的な物は、家で茹でたときに出てしまっているのだろうが、まぁそこはそこ、ご勘弁を。
だが、この手抜きのシーフードカレー。
美味かった!
「山で食べれば何でも美味いのだ」という意見は別として、ささやかではあれ、リッチな山食になった気分だった。
となりで食べていた人が「いいですね。今度自分もやってみますよ」と言っていた。



筑波山ソロ:奇岩

2011年05月18日 21時43分29秒 | Weblog
毎週土曜日の夕方、「もしもツアーズ」という旅・グルメ番組が放映されている。
数年前、その番組で「筑波山を登る」というテーマでの放送を見た。
その時に数々の奇岩の説明があった。
「なるほど、これがあの時の奇岩か。」
名前の由来は、当然人間が後になって勝手に付けたものばかりだろうが、そんなことはどうでもよかった。
とにかく今はピークに向けて歩き続けること。
歩いて足を慣らすことだけだった。

こんな筑波山程度の低山でも、「あぁ休もうかな・・・」
ソロである限り、そんな誘惑に駆られる。
ソロであるが故にペースも休憩も自由。だからこそ自分自身が試される。
まぁどうせもうすぐピークだし、今更休んでも仕方ない。
のんびりと足慣らしを続けた。