ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

今年もGWの山岳事故死

2019年04月28日 21時26分25秒 | Weblog
最大10連休のGWが始まった。
しかし、今年もお約束ごとのように雪山登山において痛ましい死亡事故が相次いだ。
北アルプスを中心として5人もの人が亡くなられてしまったのだ。
その殆どが低体温症らしい。(詳細はまだ不明)

「低体温症」即ち、環境気温の低下により体温が約35℃以下となり寒さを感じ震え等が起きる。
第二段階ともなれば意識障害が現れ、正常な思考判断能力までもが奪われる。
そして昏睡状態となり呼吸数や脈拍が低下しやがて凍死に至る。

寒さを感じる起因は外気温のせいだけではない。
汗をかき、その汗が衣類に染みわたことで起きる「汗冷え」がそうである。
外気温と汗冷えは密に繋がっており、猛烈にそして急速に体温を奪って行く。
いくら吸汗速乾性に優れているアウトドア衣料とはいえ、汗冷えを完全に防ぐことは不可能で限界はある。

この時期の2500m以上の山は、まだ冬山と何ら変わりはない。
ただし、天候次第では初夏の山のように暑くもなる。
それ故にあらゆる事への判断や適切な対応が難しくもなるある意味やっかいな時期だ。

嘗て自分も低体温症に何度か陥ってしまったことがある。
軽度のものから、第二段階に近い時もあった。
幸いにして最悪のケースだけは免れたが、「運」もあったと思う。
例えば、すぐ手の届くポケットの中にチョコレートとあめ玉を入れておいたこと。
それにより僅かながら体内から熱を発することができ、行動に移すことができた。
また、完全なホワイトアウトになったときは決して動かず、或いは即座に撤退した。

汗冷えで体の震えが止まらなくなってしまった時もあった。
「これ絶対にやばい状況だぞ」と確信し、少しでも体を動かし続け体温の維持に努めた。
時には上半身のウェアをすべて脱ぎ、濡れたアンダーウェアと二枚目のシャツをドライなものに替えた。
それでも備えがあったからとか、適切な判断ができたからだけではない。
上手くは言えないが、やはり「運」もあったと今でも思えてならない。

GWはまだ始まったばかり。
北アルプスを目指す多くの登山者には初心者まがいもいればベテランもいるだろう。
去年も一昨年も、その前もそうだったように、事故は経験数に関係なく起きる。(まぁ割合で言えば初心者の方が多いだろうが)
予期せぬアクシデントはあるにせよ、それらを含め事故には必ず原因がある。
せめて、あまりにもバカらしく愚かな事が原因であることはあってほしくないと切に願う。

GWが明け、翌週に奥穂高岳へ登る予定でいる。
こうしてさも偉そうに蘊蓄めいたことを綴ってはいるが、他人事ではない山岳事故。
残雪の状況がどうであれ、事前の情報収集と準備、体力作りに怠りなく努めたい。

庵滝:小田代原

2019年04月27日 21時05分11秒 | Weblog
湯滝をスタートして先ずは泉門池(いずみやど)を目指す。
泉門池までは過去にスノーシュートレッキングで何度も訪れており特に問題はない。

15分程で視野の利く樹林帯へと出たが、トレースは僅かに一本だけ。
こんなことは珍しいと思ったが、道に迷うことはない。
それでも踏みしめられたトレースはありがたく頂戴するこにした。
ザックが重いだけに少しでも雪に埋もれることなく進めることは助かる。


次第に汗をかくようになってきた。
今は一月の下旬であり、一年で最も寒さが厳しい時期ではあるが、今日に限っては暑い。
これも大型ザック故のことだろう。

途中で一人の登山者とすれ違った。
戦場ヶ原を横断してきたそうだ。
「凄い荷物ですね」と言われたので、「今日は庵滝でテント泊です」と答えた。
「わざわざテント泊ですか、いいですね。ちょっとした贅沢ですね(笑)。」
そう、わざわざテント泊をするまでもないコースで敢えてテント泊をする。
この行為を贅沢と思えること、分かることが即ちどれだけアウトドアに親しんでいるかの一つの目安だろう。


撮っていただいた写真。

45分で泉門池へ到着した。

時間は昼食を摂るにはちょうど良い頃だ。

でかいザックを下ろし、バーナーでお湯を沸かし珈琲タイム。
コンビニで購入したパンと、カロリー重視のコンビーフ。
お腹いっぱいになってしまうと歩き出しが辛くなるので腹6分目程度で止めた。
たとえフラットルートとは言え、このでかいザックを背負って歩くことの厳しさは嫌と言う程経験している。
腹一杯食べてしまうと逆に辛くなってしまうことは実証済みだ。

これより小田代原(おだしろがはら)へと入る。
何度か訪れてはいるが、雪原の小田代原は初めてとなる。


コンパスを出すまでもなく、地図のみで現在地と進む方角を確認した。
北西(右手)に見えている稜線の向こう側まで歩くことになる。
距離はそこそこあるが、今日は全体の7割近くがフラットルートであり楽勝だ。

しばらく進むと鹿除けの柵が見えてきた。
そして通り抜けのポイント。


ここから更に奥へと進む。

風はない。
そして雲もない。
初めて訪れた雪原の小田代原のど真ん中でふと立ち止まり、ほぼ無音の世界に浸る。
「やっぱり冬は静かだ。夏だったらこうはいかないだろうなぁ・・・。」
そんなことを思いながらのんびりと歩く。
嫌いなスノーシューハイクだったが、いつの間にかそんなことを忘れさせてくれる冬の自然の美しさだった。


柵があった。
トレースがしっかりとあるが、じつはこのルートは木道である。
スノーシューが必要か否か、ちょっと判断に迷う程度の積雪だった。
「無くても大丈夫だろう」と思ったが、この日は最後までスノーシューを外すことはなかった。
理由は簡単だ。
外せばザックに取り付けなければならない。
「これ以上ザックを重くしたくはない」だけのことだ(笑)。

柵に沿って進むと、左手後方に男体山が見えてきた。
これでもっと雪化粧だったらテンションも上がるのだろうが、少々残念な男体山だった。

のんびりと、本当にのんびりと歩く。
ザックは重くとも、時の流れや美しい雪の世界、そして天候に恵まれたことが贅沢感を感じる。
途中ですれ違ったあの人の言葉が実感できるひとときだった。


再び鹿除け柵の通り抜けポイントだ。
「よし、ここを抜けて斜面を越せば近道だ。」
と、分かってはいたが、この先の斜面が結構半端無い区間となっていた。
だが、まだこの時はそんなことは分からない。
進めば進む程、スノーシューを履いているのに膝程まで埋もれるようになってきた。

庵滝テント泊:湯滝を見下ろす

2019年04月21日 22時49分25秒 | Weblog
スタートしてすぐ、目の前に湯の湖が現れた。
見慣れた湖ではあったが、こうして湖畔を歩くのは何十年ぶりのことだった。


この「湯の湖」、湯元温泉のすぐ近くに位置することから、温泉街に近い部分だけは真冬でも凍ることはない。
おそらくは地熱の影響からだと推測する。

温泉街を離れ道路沿いに歩いて行くと、今度は凍った湯の湖との出会いだ。


おそらくは湖の2/3程は凍っているのだろう。

天候にも恵まれ風もない。
でかいザックを背負えば、たとえフラットなルートであってもそこそこ汗をかく。
次第に喉も渇いてきた。
そして振り返れば、遠く群馬県との県境に屹立する雪化粧を纏った日光白根山が見えた。


何度か冬に登ったことはあるが、日帰りコースとは言え結構厳しかったことを思い出した。

道路の反対側は針葉樹林帯。
さすがにこの辺りともなれば積雪量は多く、期待感が膨らむ。


30分程歩いて「湯滝」へと到着した。
ここまで来れば戦場ヶ原も近い。

このまま湯滝へと下って行けば少しでも時間の短縮になるのだが、まぁそう慌てる行程ではない。
せっかくなので、湯滝を見下ろしてみることにした。


少し分かりにくいかも知れないが、湯滝をほぼ真上から見下ろした画像。

実を言えば、この滝へはかなりの回数訪れているが、すべて滝の下から見上げてばかり。
見下ろしたのは初めてだった。
それほど大きな滝ではないが、こうして雪と氷混じりの滝は迫力があった。
ちょっと得した気分!

さて、戦場ヶ原へと向かおう。


これがいつもの見慣れた湯滝。
やはり冬の方が迫力が増している。

戦場ヶ原の西の端に位置する湯滝。
今日はここからスノーシューを装着して戦場ヶ原を数時間歩くことになる。

だが、本音を言えばスノーシューは苦手である。
と言うより、あまり好きになれないギアだ。
何故なら「バタコンバタコン」と音を立て、やや両足の間隔を開けながら歩くことが面倒で仕方がない。
「何を面倒がっているのか! そんなことで・・・」
と、おしかりを受けそうだが、どうしてもこればかりは好きになれない。
やはりアイゼンの方が楽に感じてしまうのだ。

雪上の浮力では圧倒的に有利なことは分かっているし、雪の状況によってはこれほどありがたいギアは他にない。
だが、それでも好きにはなれない。


いざ、装着終了。
これからほぼフラットな戦場ヶ原を縦走する。

庵滝テント泊:雪がない冬

2019年04月14日 18時27分33秒 | Weblog
今年の冬は例年と比べあまりにも降雪量が少なかった。
贅沢なことを言えば、生活圏には降らなくて山に降ってくれればよいと思っていた。
「雪が少ないんじゃ行っても時間と金の無駄かなぁ・・・」
そんな思いで過ごした冬だったし、事実今年の冬期は雪山らしい山には一度も登らなかった。
しかし、ただじっとしているのも悔しいし、あまりにももったいない。
「せめてテン泊くらいは・・・」と思い、ここ数年行ってみたいと思っていた「お手頃雪山テント泊」へと出発。

目的地は日光の山奥にある「庵滝」。
厳冬期には滝が凍り、小さいながら氷瀑ができる。
雲龍氷瀑ほどのスケールはないが、山奥にひっそりと佇むように静かに凍り付く滝だ。
だから訪れる人も少ない。

一月下旬、天候は問題なし。
今日はテン場を決めるポイントまで行けばよいので朝はゆっくりと8時頃に出発した。

栃木県とは言え今は厳冬期、だからテントは冬季用のテントフライを使用。
このフライシートを使うのは何年ぶりになるだろうか。
少々重くはなるがある意味楽しみであった。

日光市内を抜け「いろは坂」を上る。
普段は通り過ぎるだけの「明智平」に車を止め、男体山を仰いだ。


やや東方面から仰ぐ男体山だが、やはり雪の少なさだけが目立つ。
奥日光はそこそこ降雪量はあるという事前情報だけが頼りだ。

中禅寺湖に沿って行けばよいのだが、ここでもちょっと寄り道してみた。
湖の東岸沿いに曲がり、少し離れたポイントから男体山を観た。
風はややあったものの、湖面には逆さ男体が映っていた。


男体山の南壁。
ポスターなどでよく見かける最もポピュラーな姿だろうか。
これでせめて真っ白に雪化粧されていればまた違った感動があるのだろう。

一服だけして先を急ぎ戦場ヶ原へと入った。
ここでも男体山を一枚パチリ。


やや西側からの姿。


戦場ヶ原の雪景色。
植物の穂先がのぞいている。
「少ないなぁ・・・」
今日これから歩く(登る)ルート状況が心配になってきた。
通常のペグを持ってこなかっただけに、積雪量がないとテントを設営できないだけでなく、融雪して水を確保することが困難になってしまう。
死活問題にまで至りそうなほど不安になってきた。


道路もこの程度。
不安が一層募ってきた。

ところがだ、奥日光の湯元温泉街に近づくにつれ、一気に積雪量は増えていた。
車を運転していても車窓から見える状況の一変は明らかだった。
「よし、これなら大丈夫だろう。」
湯元温泉に車を置き、そこから数時間掛けてひたすら奥地へと進むことになる。
積雪量が少なくなっていることはあり得ない(はずだ)。

身支度を調えいざ出発。
駐車場のすぐ横の白樺林にはたっぷりの積雪。
思わずほくそ笑んだ。


これだけあれば問題ない。
今日と明日はスノーシューがメインだが、一応軽アイゼンも持参してきた。
両方を使いこなす程のことはなかろう。

尾瀬 燧ヶ岳:デザート♪

2019年04月10日 23時36分40秒 | Weblog
熊沢田代を抜け、緩急のあるルートを下りて行くとほどなくして広沢田代へと出た。
熊沢田代程の広大さはないが、秋の景色を愛でるには十分であった。

「ねぇねぇ○○さん、木道の上でジャンプしたところを撮ってもらっていいですか?」
彼女のリクエストに応えタイミングを合わせて何枚か撮った。


なかなかのタイミング!
「いいのが撮れたよ。タイミングもバッチリかな。」
やっぱり動きのある一瞬を捉えることは難しいだけに、KMさんが喜んでくれたことが嬉しかった。

しばらく平坦な木道を進むと、そこここに紅葉が・・・。

「撮ってあげますよ。」
「俺はいいよ、恥ずかしいから。」
「またぁ、そんなこと言わないで。」
何度か言われたがやはり丁重にお断りした。
(俺が紅葉をバックに写ってもしょ~もない)笑

ここから再び急な下りルートとなり一気に標高を下げた。
高度計を見ても御池が近いことが分かる。
もう30~40分も歩けばゴールとなるであろうポイントで一本の楓を見つけた。
葉は、緑・黄・朱の三色が見事にグラデーションした一本だった。

木の真下から見上げて一枚。

すべての葉が色づいたものも良いが、このようにまだ緑が残っている紅葉も実に鮮やかだった。
首は少々きつかったが、しばし見とれてしまった。

裏燧林道の手前に来て「あれまっ」という植物に会うことができた。
水芭蕉である。
当然あの真っ白な仏炎苞は無く、吸血植物のようにダラリと伸びきった大きな葉だけのものだ。



何故いつも「吸血植物のような・・・」と言うのか・・・。
その昔、自分がまだ幼稚園児だった頃に見たTV番組に「ウルトラQ」という特撮番組があった。
怪獣だけでなく、宇宙人、珍獣、危険植物などなど、あらゆるジャンルの人類の敵と、何故か新聞記者が戦うものだった。(と、記憶しているが・・・・)

その敵の一つに出てきたのが吸血植物だった。
記憶ではもっと葉は長く、十数メートルはあったかと思う。
その葉の形が記憶の中では一致しているのがその理由だ。
まぁそんなこと覚えている人などいないだろうなぁ(笑)。

15時10分、御池に到着。
大した山ではなかったが、睡眠時間が一時間だけではそれなりにきつかったかな。

「時間がまだあるからデザート作りますね♪」
「えっ、デザートを・・・これから? そんな疲れているんだから大丈夫だよ。」
とは言ったものの、本音を言えばラッキー!


「このバーナー、この時のために買ったんですよ。」

サツマイモを二等分し、バターをたっぷりと塗りつけて表面を軽くあぶるスイートポテト・・・とでも言えばよいのか。
本当は昼食時に作りたかったのだが、時間の関係もあり下山して時間が余ったらと予定を変えたそうだ。
申し訳ない、いやそれ以上にありがたい。 m(_ _)m

疲れた体にはこの甘さがたまらなく嬉しいね♪

KMさんの女子力の高さを褒めたつもりで「すごいなぁ。まさか山でこんな事までしてもらえるだなんて」と言ったのだが「これってあまりにも簡単ですよ(笑)」
と、あっさり。
彼女にしてみればそうかもしれないが、俺だったら絶対にそこまではしないと言い切れる自信がある。
感謝感謝で頂いた。