佐藤 優著 「ズルさのすすめ」 青春新書
平易な言葉で書かれ、解り易い本である。
高齢者ではなく、現役世代の者に読んで欲しい内容である。
我々の世代が教育された内容と同じ事を、諺や聖書から引用しながら展開している。
”恩を仇で返さない”の項では、
「受けた恩は石に刻み、掛けた情けは水に流せ」との言葉があるが、
人は恩を忘れがちで、「受けた恩は水に流し、かけた情けは倍づけにする」となりそうである。
昨年度の流行語大賞になったドラマ「半沢直樹」のセリフ「倍返しだ!」は、憎しみの連鎖で、
負のスパイラルしか生まない。やり返さないという選択ができなければいけない。
ハンムラビ法典の「目には目を 歯には歯を」は、やられた分だけを返すとの意味で、
倍返しではない。新約聖書では、復讐は人間がするものではなく、神の仕事であると書かれる。
復讐は神に任せよとの事である。さらに「敵が飢えていたら食べさせ、乾いていたら飲ませよ」とか、
「右の頬を打たれたら、左の頬を出せ」等の言葉もある。