Y氏の写真である。山に生えたワラビとキノコの写真である。
Y氏は同級生である。定年後も長い間、社長として中国で働いていた。
仕事中は必ず通訳を通して商談し、自分から中国語を話すことはない。
十数年も中国に住んでいるので、中国語はよく解っている。
同級生同士で海外旅行をすると、Y氏にだけ「ニーハウ」と声を掛け、
我々には「コンニチハ」と言う。「この違いは何?」と我々は面白がっていた。
また、物売りが寄ってくるのはいつもY氏のところ。
そっけなくしても付いて歩く。我々のところにも来るけど、すぐに諦める。
誰かが陰で言う。「やはりY氏からは、お金の臭いがするのだ。社長と解るのだろうか?」
現在Y氏は、毎朝の山登りを欠かさない。雨が降っても、傘をさして実行する。
用事で登れない日があると、次の日は朝晩登って、帳尻を合わす。
Ⅰヶ月30回と決めると、必ず30回を守る。
今日は31日なので、山登りはせず田圃や野原を歩く。山に登ると31回になってしまうから。
こだわっているY氏を眺めると、楽しく面白く笑い話になる。
しかし、こだわりを持っているのは、Y氏だけではない。
自分にも、大きな可愛らしくないこだわりがある。食べ物へのこだわりは、強い。