フッフッフの話

日常の中に転がっている面白い話、楽しい話!

待つ

2006-11-30 22:18:56 | 日常雑感
 朝、学校や職場に行く同居人達を送り出す。
8時になると、スーッと風が落ちる。私の時間になる。
しなければならない事と、したい事を考え計画を立てる。
時間は跳ぶように過ぎる。短い冬の一日を、心ゆくまで味わいたいのに、
すぐに太陽は西に傾く。すると一人また一人と帰ってくる。
帰宅時間頃になると、帰り道が見えるところで草取りをする。
帰宅時間が過ぎると、道まで出かける。それでも帰らない場合は、
自動車で迎えに行く。「うざいんだよなー」と言われてもへこたれない。
時には寄り道もしたいことは分かるが、待つ身は心配。
昔は、自分も帰りは不定期だった。
父や母の心配は如何ほどであったろう。



 古くからある有名なバラ「ピース」である。最後の力を振りしぼって咲いた。
本年最後のバラである。次回お目にかかるのは5月末頃であろうか?
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「仮釈放」

2006-11-27 17:36:49 | 
 吉村 昭著 「仮釈放」 新潮文庫 昭和63年
 菊谷 史郎は、以前、国語の高校教師であった。真面目な人間で、
生徒から信頼され、家庭では良き夫であった。
その彼のもとに、妻の浮気を知らせる投書が届いた。気にしていたところ、
浮気の現場に出くわす。その時の表現。
”彼は、激しくも逆上しなかったし、咄嗟に殺意を生じたわけでもなかった。
窓のカーテンの隙間から、妻の腿とその上に重なる望月の臀部を眼にした瞬間から
急に全身が清冽な水にでも洗われたように冷静になるのを意識した。
殺意といえるものはなく、足が動いて家に入り、手が包丁の柄をつかんで、
望月をついて妻の体に刃先を突き立てつづけただけなのだ。その折の記憶は
きわめて鮮明なのだが、為体の知れぬなにかに操られているように、
意志というものはまったく存在していなかった。敢えて言えば、
憤りも憎悪もなく、感情というものがすべて欠落していた………………”


 妻を刺殺し、相手の男・望月を刺傷し、その母親を焼殺し無期懲役になる。
服役成績良好なので15年余りで仮釈放になる。
小説はその仮釈放に日から、始まっている。

<
ブラックティー


 無期懲役のため終身保護観察を受けなければいけない。だから刑期満了で、
自由の身になることはほとんど考えられない。仮出所した彼には、
15年余りの生活習慣からなかなか抜け出せず、社会になじむことが難しい。
刑務所内での時間は止まっていたのだ。

 少しずつ社会にも慣れ、養鶏場への就職も決まり、遅刻欠勤などもなく、
真面目に勤務をする。
”刑務所での長い歳月は、忌まわしい記憶との戦いで、
自分の行為は当然過ぎるほど当然だったのだと反すうし、感情が激した。
判決を言い渡した裁判官は、服役中に罪を悔い改めることを望んだはずだが、
彼には後悔の念は湧いてこなかった”


 仮出所から一年半過ぎた頃、目高を飼い始めた。産卵の様子など観察するのに、
安らぎを見出す。ある日菊谷は、保護司より結婚の意志を打診され、
折原豊子を紹介される。豊子は菊谷の過去をほとんど承知しているとの事である。
新しい二人の生活が始まったが、短期の遠出にも保護司の許可がいることを知り、
豊子はいら立つ。保護司との月二回の面接が「死ぬまで」必要な事を知り、
態度に変化がある。菊谷の過去については知っていたが、
終身監視される身である事は報されていなかった。
恩赦を受けると刑が終了することを保護司から聞き、
恩赦を受ける条件を満たそうとする。それは、被害者遺族への謝罪の手紙と、
頻繁に被害者の墓に詣でることであった。豊子はそれを実行しようとするが、
菊谷にとっては不可能なことである。その事は過酷な仕打ちで、
自分が惨めに感じられ、「そんなことはしないで欲しい」と叫びたかった。
菊谷の気持ちが激しく動揺していることを、豊子は気付かない。
菊谷は前非を悔いてなどいない。
 次の日、豊子は新しい位牌二つを茶箪笥の上に並べ、二人で拝むことを要求する。
激した感情がはっきりと憤りの形となり、抑えがたいものとなった。
自分には自分の世界があり、
そこに他人が無造作に入り込むことは許せない。

菊谷は体を震わせ、「出て行け」と言って、豊子を突き飛ばす。彼女は、
階段を転げ、路地のコンクリートに鈍い音を立てて落ち、こと切れる。
菊谷の足は保護司への道をたどる。
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「死顔」

2006-11-26 18:38:24 | 
 吉村 昭の遺作短編集「死顔」(新潮社)
最後の作といわれる「死顔」は、両親や兄弟の死について書かれている。
特に次兄の死を題材にして、延命治療から葬儀などの死生観が綴られている。

「柩の中の死者は、多かれ少なかれ病み衰えていて、
それを眼にするのは礼を失しているように思える。
死者も望むことではないだろうし、しかし、抵抗することもできず
死顔を人の眼にさらす。…………死は安息の刻であり、
それを少しも乱されたくはない。
自分の死顔を、会うことの少ない親族はもとより、
一般会葬者の眼にふれることは避け、二人の子とそのつれ合い、
孫達のみに限りたい。そのためには、死後できるだけ早く焼骨してもらい、
死顔は死とともに消滅し、遺影だけが残される。」


 吉村氏の遺書とも読める内容である。
同じ短編集に納められている「二人」という作品も、同じ次兄の死を扱い、
兄弟と言いながら違う人生を生きてきたのだとの認識。
 
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「生きよ まず生きよ」

2006-11-23 23:08:17 | 
 荒 了寛氏の絵と文が書かれた本である。
荒氏は、天台宗ハワイ分院のお坊さんで、
この本は5冊シリーズの5巻目である。
最近Nさんより紹介されたもので、どのページからでも読め、
読むごとに感想が変わる。また自分の心の変化により、
いろいろに読むことが出来る。絵を見ているだけで、笑いたくなる。
台所に置くと、我が家の同居人達も、パラパラとめくっている。
読めば何らかの感想があるであろう。



 内容を紹介しよう。


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職業紹介所

2006-11-21 21:27:38 | 中国
 中国・昆山在住のY氏からの情報。写真提供もY氏。
職を求めて職業紹介所に集まっている人々である。
以前大学生の就職難について書きましたが、
さらに労働の需要と供給のバランスが崩れ、
社会不安を引き起こすのではないかとの事である。
45歳ぐらいで早々と定年している人もいるという。

 2010年には中国の総労働人口は8億3000万人となり、
そのうち大学新卒などによる新労働人口の総数は5000万人。
しかし求人は4000万人程度と予測されるため、
実質1000万人の就職口がないという計算になる。

 街中では労働の場を失い路頭に迷う人や、
職業安定所で求人の貼り紙を眺める人が多く見られる。



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宮島の紅葉

2006-11-20 21:31:07 | 写真
 18日(土)Iさんと宮島に行く。
Iさんは四十数年前、沖縄から留学生として広島大学に学んだ。
それ以来の宮島行きである。
広島市内は、激しく変化して見知らぬ街になっているが、
宮島はほとんど変化せず、昔の姿をとどめている。
宮島には、各自一つや二つの思い出は持っている。

 神殿と紅葉谷公園を歩く。
五色に輝くトンネルに入ったように感じた。







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同期会

2006-11-19 21:39:08 | 写真
 二年に一度の同期会が、皆生温泉で開かれた。
庄原から183号線を北上し、道後山を右手に見ながら
五色に輝く紅葉の中を進む。米子に近づくと、大山も顔を出す。
しかし、今回、頂上の雲はとれ難かった。

 同期会だから、当然皆同じ歳頃である。
一見若く見える人も、写真は正直!やはり同級生である。
四十数年ぶりに会うと、姿かたちが大きく変貌し、
「どなたかしら?」との場面もあったが、
声や身振りは昔の通りである。
すぐに、当時の雰囲気が出てくる。
一周りも二周りも、大きく人間的成長を遂げながら、
学生時代の懐かしい姿に出会える。

 大山の頂上はすでに雪化粧である。写真提供はK氏である。



紅葉真っ最中の道後山近辺である。中央が道後山である。



183号線沿いの峠から見た山々である。


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2006-11-15 19:18:35 | 日常雑感
 足早に冬が近づく。霜が降りたので、柿も赤く色付く。
赤くなった「富有」は、甘みも増ししゃきっとした歯ごたえがある。
箱の中に籾殻を入れ、その中に並べて保存する。
雪の日に、コタツに入って冷たく甘い柿を食べる。
柿の味と幼い日々が、身体全体に拡がる。

 近くの山々も、紅葉が進む。晩秋である。
長期予報では、この冬は寒さも強く、雪も多いとの事である。
寒さに弱い花や野菜の取入れを急ごう。


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名前は「ロン」

2006-11-12 21:09:48 | 日常雑感
 子犬がやって来た。家族の一員になる。
全身茶色。口と尻尾は黒。名前はロン。

来たばかりで心細いのか、クーンクーンと鳴いている。
犬小屋も鎖も整えた。毛布も敷いた。
寒いと鳴いているのだから、家に入れよう、湯たんぽをしてやろうと、
孫達は私を説得しようとする。
ダメ!このくらいの寒さに耐えられないのなら、冬はどうするのだと、
頑として譲らない。頑固婆さんだ。
環境に慣れて、強い犬になって欲しい。

 朝の散歩は姉、夕方の散歩は弟がすることになった。
犬の寿命は15年~20年とのことである。
ロンのほうが私より長生きする可能性があるので、
なるべくほとりから応援することにする。
ロンの主人は、私であってはならない。


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もみの木森林公園

2006-11-10 22:27:36 | 写真
 女鹿平からもみの木森林公園を廻る。
秋、秋、秋の真っ只中。ツワブキの黄色と紅葉の赤。



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