「9月6日って、何の日か知っとるか?」
「この間の、ドラえもん誕生まで、あと100年!のような出だしじゃね。ほうじゃねぇ…、「9月6日=9(く)6(ろ)=くろ=黒」じゃけぇ、黒豆の日かね?」
「おぉ、当たりじゃ! ほかにも、黒豚の日、黒酢の日でもあるんよ。あと、妹の日でもあるんじゃ」
「妹の日?」
「「兄弟型姉妹型」研究の第一人者で漫画家の畑田国男が、現代に活躍する女性の多くが妹であることを発見したことにちなんだ日じゃそうな」
「うん、うん。やっぱり、世間じゃ妹の方が活躍するんじゃね。うちも、妹じゃけぇね」
「話を元に戻して…。9月6日いうても、今から188年後の、西暦2200年の9月6日なんじゃが。この日が何の日か知っとるかの?」
「188年後って、えらい先の話じゃね。この親父の言うことじゃけぇ、どうせアニメか特撮のことじゃろ?」
「西暦2200年の9月6日いうたら、宇宙戦艦ヤマトが無事、地球に生還した日じゃ」
「はいはい…。そんなところじゃろうと思うたよ」
西暦2200年9月6日、ヤマト生還。
宇宙は何事もなかったかのごとく、平和な時を、息づいていた。
(第26話「地球よ!!ヤマトは帰ってきた!!」(脚本:藤川桂介) 松本零士・西崎義展『宇宙戦艦ヤマト全記録集 TVシナリオ版』株式会社オフィス・アカデミー 1979年)
「シナリオによると、イスカンダルのスターシャから放射能除去装置を手に入れたのが4月28日じゃけぇ、イスカンダルから地球まで4カ月くらいで帰ってきたことになるんじゃの」
「えぇっと、地球とイスカンダルの距離は14万8千光年じゃったよね」
「ほうじゃの。往復で29万6千光年。ヤマトはこの距離を1年間で往復せんにゃいけんかったんじゃ」
「ヤマトは、どのくらいの期間で地球とイスカンダルを往復する予定じゃったんかね?」
「予定としては9カ月じゃったんじゃが、実際には11カ月かかったんじゃの」
「ということは、ヤマトがイスカンダルへ向けて地球を発進したのは、2199年の10月?」
「10月9日じゃの。この日は、地球滅亡まであと363日じゃったんよ」
「亡くなった沖田艦長と、生き返った森雪たち乗組員を乗せたヤマトが地球の大気圏に突入して、地球がその青さを取り戻していく、というのがラストシーンじゃったよね」
「テレビで放送されたのは全26話じゃったんじゃが、初期設定の全39話版では、ヤマトが地上に着陸した後のエピソードもあったそうじゃ」
ヤマトは地球に帰還した。
家族との再開を喜ぶ乗組員たち。
しかし古代を出迎える人はいない。
雪は、そんな古代に手を差し出すのだった。
(安斎レオ『宇宙戦艦ヤマト伝説』フットワーク出版社 1999年)
「全39話版? そういや、ヤマトは打ち切りになったんよね」
「ほうじゃのう。企画時は全51話、放送開始時は全39話の予定じゃったんじゃが、打ち切りで全26話に構成し直して放送されたんじゃ」
「ヤマトには、漫画や小説もあったよね。そっちはどうなっとるんかいね?」
人類絶めつまで、あと一か月。
ヤマトは全速力で急いだ。
「今度こそ、たたかいのない、美しい地球をつくるぞ。」
古代は、地球をみつめながら、心にちかうのだった。
(原作・絵/松本零士 構成・文/藤川桂介「絵物語 宇宙戦艦ヤマト」 『こんなマンガがあったのか!』メディアファクトリー 1999年)
「『絵物語 宇宙戦艦ヤマト』って何かいね?」
「『宇宙戦艦ヤマト』が放送された当時、小学五年生(小学館)に連載された作品なんよ」
「絵物語って何じゃろか?」
「挿し絵の割合が多い小説、というたらええんかいの。『絵物語 宇宙戦艦ヤマト』の場合は、全体の6割くらいが松本零士の描く漫画になっとるんじゃ」
「へぇ…」
「『絵物語 宇宙戦艦ヤマト』は全6話なんじゃが、太陽系脱出までに5話を費やしとるんよ。最終回(第6話)全4ページのうち、3ページがドメル将軍との七色星団での攻防戦。ほいで、残り1ページの半分でガミラスを倒して、残り半分でスターシャから「放射能を取りさる装置」を受け取って、生きていた兄の守(まもる)と別れ、全速力で地球へ急ぐ…」
「忙しい話じゃね。ここにも、打ち切りの影響があるんじゃろうね」
「ここまではヤマトが生還する話じゃが、ヤマトが生還せん話もあるんじゃ」
「さあ、雪さん。地球へ、地球へ帰ろう!」
「ええ、帰りましょう、ススムさん。」
やがて、ファントム号は、果てしなき暗黒のなかに、その姿を没していった。
”希望”という名の帆をかかげながら……。
(石津嵐・著 豊田有恒・原案『宇宙戦艦ヤマト』ソノラマ文庫 1975年)
「雪さん? ススムさん?」
「アニメじゃ「雪」と呼び捨てにしとった古代が、この小説では「雪さん」と呼んどるんよ。森雪の「古代くん」は、「ススムさん」になっとるんじゃの。ほいで、古代進は「古代ススム」と表記されとるんじゃ」
「ファントム号って、何かいね?」
「打ち切り前のヤマトには、キャプテン・ハーロックも出てくる予定じゃったんじゃの」
「キャプテン・ハーロックって、松本零士の漫画の?」
「ほうじゃの。たった1隻でガミラス帝国に闘いを挑むヤマトを、陰になり日向になり助けるのがキャプテン・ハーロックの役割じゃったんよ。で、そのハーロックが乗る宇宙帆船の名前がファントム号なんじゃ」
「そのファントム号で、地球に生還するんじゃね?」
「古代ススムと森雪の2人だけでの」
「そういや、アニメ版では何人の方が生還されたんかね?」
「劇場版『宇宙戦艦ヤマト』(1977年)によると、乗組員114名のうち、生存者が67名で、戦死者は47名じゃったんじゃ」
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西崎義展と宇宙戦艦ヤマト
夕日に眠る 戦艦大和
「今日は、188年後の西暦2200年9月6日に宇宙戦艦ヤマトが生還するということで話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」
「この間の、ドラえもん誕生まで、あと100年!のような出だしじゃね。ほうじゃねぇ…、「9月6日=9(く)6(ろ)=くろ=黒」じゃけぇ、黒豆の日かね?」
「おぉ、当たりじゃ! ほかにも、黒豚の日、黒酢の日でもあるんよ。あと、妹の日でもあるんじゃ」
「妹の日?」
「「兄弟型姉妹型」研究の第一人者で漫画家の畑田国男が、現代に活躍する女性の多くが妹であることを発見したことにちなんだ日じゃそうな」
「うん、うん。やっぱり、世間じゃ妹の方が活躍するんじゃね。うちも、妹じゃけぇね」
「話を元に戻して…。9月6日いうても、今から188年後の、西暦2200年の9月6日なんじゃが。この日が何の日か知っとるかの?」
「188年後って、えらい先の話じゃね。この親父の言うことじゃけぇ、どうせアニメか特撮のことじゃろ?」
「西暦2200年の9月6日いうたら、宇宙戦艦ヤマトが無事、地球に生還した日じゃ」
「はいはい…。そんなところじゃろうと思うたよ」
西暦2200年9月6日、ヤマト生還。
宇宙は何事もなかったかのごとく、平和な時を、息づいていた。
(第26話「地球よ!!ヤマトは帰ってきた!!」(脚本:藤川桂介) 松本零士・西崎義展『宇宙戦艦ヤマト全記録集 TVシナリオ版』株式会社オフィス・アカデミー 1979年)
「シナリオによると、イスカンダルのスターシャから放射能除去装置を手に入れたのが4月28日じゃけぇ、イスカンダルから地球まで4カ月くらいで帰ってきたことになるんじゃの」
「えぇっと、地球とイスカンダルの距離は14万8千光年じゃったよね」
「ほうじゃの。往復で29万6千光年。ヤマトはこの距離を1年間で往復せんにゃいけんかったんじゃ」
「ヤマトは、どのくらいの期間で地球とイスカンダルを往復する予定じゃったんかね?」
「予定としては9カ月じゃったんじゃが、実際には11カ月かかったんじゃの」
「ということは、ヤマトがイスカンダルへ向けて地球を発進したのは、2199年の10月?」
「10月9日じゃの。この日は、地球滅亡まであと363日じゃったんよ」
「亡くなった沖田艦長と、生き返った森雪たち乗組員を乗せたヤマトが地球の大気圏に突入して、地球がその青さを取り戻していく、というのがラストシーンじゃったよね」
「テレビで放送されたのは全26話じゃったんじゃが、初期設定の全39話版では、ヤマトが地上に着陸した後のエピソードもあったそうじゃ」
ヤマトは地球に帰還した。
家族との再開を喜ぶ乗組員たち。
しかし古代を出迎える人はいない。
雪は、そんな古代に手を差し出すのだった。
(安斎レオ『宇宙戦艦ヤマト伝説』フットワーク出版社 1999年)
「全39話版? そういや、ヤマトは打ち切りになったんよね」
「ほうじゃのう。企画時は全51話、放送開始時は全39話の予定じゃったんじゃが、打ち切りで全26話に構成し直して放送されたんじゃ」
「ヤマトには、漫画や小説もあったよね。そっちはどうなっとるんかいね?」
人類絶めつまで、あと一か月。
ヤマトは全速力で急いだ。
「今度こそ、たたかいのない、美しい地球をつくるぞ。」
古代は、地球をみつめながら、心にちかうのだった。
(原作・絵/松本零士 構成・文/藤川桂介「絵物語 宇宙戦艦ヤマト」 『こんなマンガがあったのか!』メディアファクトリー 1999年)
「『絵物語 宇宙戦艦ヤマト』って何かいね?」
「『宇宙戦艦ヤマト』が放送された当時、小学五年生(小学館)に連載された作品なんよ」
「絵物語って何じゃろか?」
「挿し絵の割合が多い小説、というたらええんかいの。『絵物語 宇宙戦艦ヤマト』の場合は、全体の6割くらいが松本零士の描く漫画になっとるんじゃ」
「へぇ…」
「『絵物語 宇宙戦艦ヤマト』は全6話なんじゃが、太陽系脱出までに5話を費やしとるんよ。最終回(第6話)全4ページのうち、3ページがドメル将軍との七色星団での攻防戦。ほいで、残り1ページの半分でガミラスを倒して、残り半分でスターシャから「放射能を取りさる装置」を受け取って、生きていた兄の守(まもる)と別れ、全速力で地球へ急ぐ…」
「忙しい話じゃね。ここにも、打ち切りの影響があるんじゃろうね」
「ここまではヤマトが生還する話じゃが、ヤマトが生還せん話もあるんじゃ」
「さあ、雪さん。地球へ、地球へ帰ろう!」
「ええ、帰りましょう、ススムさん。」
やがて、ファントム号は、果てしなき暗黒のなかに、その姿を没していった。
”希望”という名の帆をかかげながら……。
(石津嵐・著 豊田有恒・原案『宇宙戦艦ヤマト』ソノラマ文庫 1975年)
「雪さん? ススムさん?」
「アニメじゃ「雪」と呼び捨てにしとった古代が、この小説では「雪さん」と呼んどるんよ。森雪の「古代くん」は、「ススムさん」になっとるんじゃの。ほいで、古代進は「古代ススム」と表記されとるんじゃ」
「ファントム号って、何かいね?」
「打ち切り前のヤマトには、キャプテン・ハーロックも出てくる予定じゃったんじゃの」
「キャプテン・ハーロックって、松本零士の漫画の?」
「ほうじゃの。たった1隻でガミラス帝国に闘いを挑むヤマトを、陰になり日向になり助けるのがキャプテン・ハーロックの役割じゃったんよ。で、そのハーロックが乗る宇宙帆船の名前がファントム号なんじゃ」
「そのファントム号で、地球に生還するんじゃね?」
「古代ススムと森雪の2人だけでの」
「そういや、アニメ版では何人の方が生還されたんかね?」
「劇場版『宇宙戦艦ヤマト』(1977年)によると、乗組員114名のうち、生存者が67名で、戦死者は47名じゃったんじゃ」
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西崎義展と宇宙戦艦ヤマト
夕日に眠る 戦艦大和
「今日は、188年後の西暦2200年9月6日に宇宙戦艦ヤマトが生還するということで話をさせてもらいました」
「ほいじゃあ、またの」