彦根の歴史ブログ(『どんつき瓦版』記者ブログ)

2007年彦根城は築城400年祭を開催し無事に終了しました。
これを機に滋賀県や彦根市周辺を再発見します。

彦根藩が舞台の小説『萩大名』

2009年06月25日 | 書籍紹介
彦根藩の国元でお抱えとなっていた能役者・喜多文十郎と息子の七之進。
井伊直弼が大老に就任にし国許に戻ってこない事から江戸の上屋敷に招かれ、上屋敷で直弼と対面する…

そんな直弼から発せられる声が変わっている事に気が付いた文十郎。直弼の政治に織田信長を重ねさせた長野主膳。己が直弼を大老という役者に仕立て上げた主膳と、そんな主膳を冷たい目で見る井伊家の家臣たち。
そして立ち合い能を各策し、上屋敷内の空気を引き締めようとする主膳と直弼。
様々な思惑と芸術が交差してゆきます。

「神の宿る声」をテーマに能役者から観た大老井伊直弼が綴られています。
たか女を直弼や主膳の愛人としない試みや、能という文化面から直弼を語る形。そして史実を曲げながらも演出した喜多親子の悲劇なども花を添えて、まさしく舞台の一幕を見るようでした。
大老期間中の直弼のみを語るのも直弼小説としては新鮮でしたね~

唯一の惜しさは、時々登場する僧(たぶん若竹の弟?)のインパクトの割には上手く生きていなかった事、でもそれ以外は面白かったです。

タイトルの『萩大老』も狂言の『萩大名』からアレンジされたのだと思いますが、おとぼけ大名とそれを陰からサポートしようとして失敗した太郎冠者の関係が、直弼と主膳にも重なって納得のタイトルでした。

告知『いなえ戦国シンポジウム』

2009年06月12日 | 講演
5月23日に聖泉大学で予定されていた『肥田城水攻め450年』の記念事業が、滋賀県内での新型インフルエンザ発症により中止となり幻となろうとしていましたが、地域住民さんによる熱望から形を変えて行われる事となりました。
前回は一切告知をいたしませんでしたが、それは管理人からは少し離れた内容だった為です。

しかし、今回は以前から望んでいた形以上の物となり、また『どんつき瓦版』も編集長がパネラーとして参加いたしますので告知させていただきます。


基調報告をされる中井均先生は、織豊時代の城郭研究の第一人者でもあり特に山城研究では大きな成果を上げておられます。またマンガ『センゴク』にも中井先生をモデルにした人物が登場するくらいの戦国城郭史には欠かせない方です。
この中井先生のお話を聴くだけでも価値がある内容ですよ。



―いなえ戦国シンポジウム―
肥田城水攻め450年~肥田城の謎を語る~

開催日時:2009年7月4日(土曜日)
会場:聖泉大学455大教室

1.基調報告
NPO法人 城郭遺産による街づくり協議会 理事長
聖泉大学非常勤講師:中井 均


2.パネルディスカッション「肥田城の謎を語る」
【パネラー】
崇徳寺住職:高瀬 俊英
彦根市教育委員会文化財科:谷口 徹
(財)滋賀県文化財保護協会:堀  真人
『どんつき瓦版』編集部:正村 圭史郎
【コーディネーター】
中井 均


主催:肥田町まちづくり委員会・聖泉大学肥田城水攻め研究会
共催:聖泉大学総合研究所
後援:稲枝商工会・稲枝青楽団

『滋賀の繊維力』

2009年06月06日 | 書籍紹介
彦根で繊維と言えは、江戸時代に高宮宿に集積されていた麻織物の“近江上布(高宮上布)”がある程度知られていて「近江商人によって全国に広がった近江の繊維は上布だ」という認識を持っている人もいます。

しかし、近江には他にも風土を生かした繊維産業が存在するのです。

それを教えてくれるのが今回紹介します『近江の繊維力』です。
これは滋賀県立大学の森下研究室の学生さんが調査してまとめられたパンフレットで、既に2年分の成果を掲載されています。

・長濱の絹(浜縮緬)
・湖東の麻(近江上布)
・高島の綿(綿クレープ)

という歴史も伝統もあり、そして技術力も高い滋賀県内3地域の繊維の説明・歴史・こだわり・現代の活かされ方が写真やイラストも交えて読み易く掲載されています。
生活必需分なのに、何気なく使っている繊維がもしかしたら滋賀県で作られた物かも知れない…

そんな風に感じさせてくれて、繊維をますます近い存在にさせてくれますよ。


このパンフレットは2年分で、2009年に出された物は青い冊子の方になります。
2009年分には研究室で作成されたDVDも付いていて、映像としても滋賀の繊維を知れる内容になっています。
滋賀県立大学の森下研究室に連絡すると譲っていただけますよ(ただし数に限りがありますので、興味がある方はお早めに)
連絡先は、0749‐28‐8425 です。

滋賀県に興味がある方にはお勧めの内容です。