彦根の歴史ブログ(『どんつき瓦版』記者ブログ)

2007年彦根城は築城400年祭を開催し無事に終了しました。
これを機に滋賀県や彦根市周辺を再発見します。

『江戸の教育力』講演聴講報告

2010年04月23日 | 講演
『ひこね市民大学講座2010 歴史手習塾』
セミナー1「新しい江戸イメージ」
の第3回目の講座として『江戸の教育力』と題された講義が開かれました。

講師は3週目の大石学先生です。


昔の時代劇のイメージでは、江戸時代は高札が出ても庶民が読む事ができずに浪人や僧や庄屋などの字を読める人から内容を訊く。という物が多いですが、実際は江戸時代の庶民の7~8割は字が読み書きでき、英語でも「5年あればマスターできる」と言っていた日本人が居た事が紹介されていました。

そして、今の学校の倍以上の教育機関が全国にあったこと。
江戸時代の日本はすでに文書が重要視される時代であったことなどが紹介されました。

高札に関しては、多くの人が字を読めるのが前提で幕府は高札を出していた。との事でしたが、確かに読めない物を掲げて読める人間が通るまで待つような無駄な政策はおかしいですよね。
当たり前のことを当たり前に考えれば、当時は武士や知識人じゃなくても字が読めた事が納得できます。

最後のまとめで大石先生は、ご自身の著書『江戸の教育力―近代日本の知的基盤―』から「現代においても、社会が、保護者が、さらには児童・生徒自身が教育の意義を認識し、学問の楽しさを理解できるよう環境を整備する必要がある」と述べられました。
江戸時代は義務教育じゃなくても、学ぶ事に懸命になっていました。
なぜ人は学ぶのか? 江戸の人々の教育の姿勢の中から改めて学びたいです。

江戸時代の日本人の生き方の中に、今回の3回の講演で、今の世界が抱えている問題の答えの糸口が少し見える気がしました。


≪管理人による質問≫
今回、大石先生の『新しい江戸イメージ!』のお話が最後でしたので、少しだけ質問をいたしました。

(管理人)
藩校の名前は、同じのが多いですが、決まっているんですか?
(大石先生)
「あの藩と同じにしたい」というモデルがありますが、なぜか限られてきちゃうんです。
(管理人)
彦根と水戸が同じ“弘道館”とか。
(大石先生)
意識はしてると思いますね。
(管理人)
先生は、江戸時代から現代まで官僚制度が続いたというお話をこの3回でされていましたが、やはり吉宗の時代からなのですか?
(大石先生)
今回は話せませんでしたが「足高の制」など下級の人をどんどん抜擢するんです。ですから吉宗の政治からと考えていいと思います。
(管理人)
吉宗の時に、尾張宗春に味方した大名はいたのですか?
(大石先生)
榊原が怪しい動きをします。それ以外は今は確認できません。
(管理員)
ありがとうございました。


『ひこね市民大学講座2010 歴史手習塾』
セミナー1「新しい江戸イメージ」は今回で終了し、次回は5月に中井均先生による『戦国彦根の城郭講座』が3回行われます。