はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

7月のぴっかぴかコミックス

2005-07-05 22:44:08 | 藤子不二雄
 ちょっと遅くなったが、今月の「ぴっかぴかコミックス」を取り上げてみる。今回の藤子作品は、「ドラえもん」第10巻と、「怪物くん」第3巻の2冊。

 「ドラえもん」は、「ロボットねん土」「本物ライト」「空気ブロックせいぞう機」の3話が単行本初収録。「空気ブロック~」は、なぜか帯番組時代初期にアニメ化されて、DVD「ドラえもんコレクション」第4巻(レンタルビデオでは7巻)にも収録されているので、アニメで知っていたが、初めて原作を読んだという人も結構いるのではないだろうか。
 しかし、個人的には初収録作品よりも、「幸せのお星様」初出版が興味深かった。てんコミ収録版より2ページ少ないが、てんコミでは単にコマが足されているだけではなく、細かい部分で色々と手が加えられており、2種類のバージョンを見比べると、実に面白い。特に、初出版では最後のコマにドラえもんがいなかったと分かったのが、今回最大の収穫だろうか。
 こう言った単行本収録時の描き足し例を見てしまうと、いずれは「ドラえもん」全作品の初出版を集めて単行本と比べてみたいと、改めて思ってしまう。未収録作品だけでも全部集めるのに数年かかったので、全作品となるとどれくらいの時間と費用がかかるか、考えただけでも恐ろしいが、いつか挑戦したい。

 「怪物くん」は、引き続きソノシートからカラーの初単行本化作品あり。やはり、旧作時代の絵をカラーで見られるのは嬉しい。他にも「怪物三人息子」「プラモ怪物いろいろあります」「モクモク怪物とドラキュラじいさん」などのリメイク作品は、カラコミの1,2巻には収録されていない。これらがカラコミの3巻に収録されていたのだろうか。私は、「ドラえもん」「怪物くん」ともに、カラーコミックスは未だに最終巻を手に入れていないのだ。巻数が進むほどに部数が減っているのか、古書店でも全然見つからない。この2冊さえ手に入れば、カラコミの藤子作品は全巻揃うので、はやく欲しいものだ。

 と、今月も見所が多かったぴっかぴかコミックスだが、来月の藤子作品は「ドラえもん」11巻の一冊のみ。A作品はないし、ドラ以外のF作品もない。手塚作品がまた途切れたのも気になる。今後の展開がどうなるか、ちょっと不安になってしまう。9月以降で、アッと言うようなラインナップを発表して欲しいものだ。

映画「逆境ナイン」いよいよ公開

2005-07-02 23:52:56 | マンガ・アニメ
 本日は、映画「逆境ナイン」の公開日。さっそく、名古屋駅前のシルバー劇場まで観に行ってきた。以下、映画の感想(ネタばれあり)。


 全編を通して伝わってきたのは、スタッフが原作をよく分かった上で作っているという印象だ。内容的には、地区大会優勝までで終わりなので、原作の第21話までに相当する。単行本にして、4冊半だ。それを、2時間の映画にするのだから、映画には登場しなくなったキャラもいるし、映画からは外されているエピソードもある。それでも、ちゃんと「逆境ナイン」として成り立っているのだ。

 「逆境ナイン」原作は、島本和彦作品の中でも、一番の「名言」の宝庫ともいうべき作品。「それはそれ!!、これはこれ!!」「敵をのんでものまれるなッ!!」「背に腹はかえられんっ!!」「男の魂充電完了!!」などなど、本作を読んだ人なら、すぐにいくつも浮かんでくることだろう。今回の映画では、これらの名言が、原作通りの場面だったり、またそうでなかったりと、色々な形で効果的に使われていた。
 そして、名言だけでなく、名シーンの数々も、校長の「廃部だっ!!」は当然、原作通りに最初に来ているのだが、それ以外の場面のいくつかは、原作とは異なる流れになっていた。しかし、映画を鑑賞している最中は、特に違和感なく、一つの作品として完成していたと思う。それだけ、話の流れに勢いがあった。スタッフが、よほど原作を読み込んだ上で、今回の映画のプロットを作り上げたのだと言う事が伺える。
 また、原作の小ネタが、いくつかそのまま使われていたのも、原作ファンとしては嬉しかったところだ。はんだゴテでやけどくらいはやるだろうとは思っていたが、不屈が海に遊びに行く妄想をする時の「校長もさそおう!!」まで、そのまんま使うとは予想外だった。

 ここまで、話についてばかり書いてきたが、出演者についても触れておこう。主演の玉山鉄二をはじめとして、皆、意外なほどにそれぞれのキャラクターにはまっていた。特に、田中直樹が、あそこまで原作通りのサカキバラを演じられるとは思っていなかったので、驚いた。
 あとは、解説者役で出演した「炎尾燃」氏についても触れない訳には行かないだろう。「島本和彦」ではなく、エンドロールでも「炎尾燃」でクレジットされているのが笑える。この映画を観てから「新 吼えろペン」の1~3話を読み返すと、また楽しめるだろう。それにしても、また解説者役か…。

 と、基本的に今回の映画はなかなか楽しめたのだが、どうしても気になる場面は、いくつかあった。その最たるものは、桑原さんがいなくなって月田明子に桑原さんの役目まで振ってしまったために、不屈が遊園地に行く場面などが、原作を知っている者としては、不自然に感じられてしまった点だ。もちろん、原作とは違った理由付けはあったが、月田明子が野球部のマネージャーであるせいで、やや強引な展開になってしまったように思う。
 あとは、好みの問題になるのだが、男球の声がちょっとイメージと違っていたのと、男球にはウインクはさせて欲しくなかった。男球に続くナインの見せ場となるはずだった「やる気パルス」が削られてしまったのも、残念だ。
 ただ、サッカー部関連のアレンジに関しては、良い改変だったと思う。オチにも上手くつながっていた。

 とは言え、傑作でありながら長らく単行本が入手困難になっていた「逆境ナイン」を、世に知らしめるには、十分な出来の作品だと思う。原作を知らなかった人にも、これを機会に、ぜひ一度読んでみていただきたい。今度のサンデーGXコミックス版単行本は、絶版にならずに長らく読み続けられて欲しいものだ

7/1 ドラえもん「天井うらの宇宙戦争」ほか

2005-07-01 23:40:38 | アニメドラ感想
「一生に一度は百点を…」(脚本/早川正、絵コンテ・演出/塚田庄英、作画監督/富永貞義)

 大山時代のリメイク版「コンピューターペンシル」に続いて、またもジャイアンの父ちゃんが登場せず、母ちゃんにその役が回されており、非常に残念。大山時代後期から疑問に思っていたのだが、何かジャイアンを父ちゃんを出せない理由でもあるのだろうか。今後、父ちゃんが出て来る可能性があるのは「ソノウソホント」くらいだろうか。大山時代のリメイク版では、この話のリメイク版も父ちゃんが出なくなっていたが。
 肝心の本編は、コンピューターペンシルに気づく以降のジャイアンの描写が、ちょっと弱い気がした。この部分は、とことんジャイアンのずるさを描いて欲しかった。それでこそ、オチが引き立つのだから。逆に、道具を使おうかどうか迷うのび太の描写は、じっくり描かれており、よかった。全体として、のび太に重点を置きすぎて、ジャイアンの扱いが少し弱くなってしまったようだ。



「のろいのカメラ」(脚本/大野木寛、絵コンテ/玉野陽美、演出/塚田庄英、作画監督/富永貞義)

 個人的な本話一番の見所は、ドラえもんの描かれ方だったのだが、おおむね満足だった。水田わさびの演技も、感情表現の激しい初期ドラを上手く演じていたし、絵の動きも良かった。まあ、絵に関しては、1話目の「一生に一度は百点を…」共々、ときどき大山時代の富永ドラになってしまっていたのが、少し気になったが。
 現在のテレビアニメでは、色々な規制のために原作をそのままアニメ化するのは難しいようで、本話でも「ばらばらにちよう」の場面が無くなってしまっていたが、ジャイ子をガン子より年上のお姉さん的存在として描いたことで、無理なく話が進められていたと思う。オチも、原作通りで満足…と思ったら、今回は一捻りあった。この「一捻り」の部分が、あまり「ドラえもん」っぽくない演出がされていたので、少々違和感はあったが、試みとしては悪くないと思う。



「天井うらの宇宙戦争」(脚本/高橋ナツコ、絵コンテ/安藤敏彦、演出/鈴木卓夫、作画監督/金子志津枝)

 藤本先生は、「ドラえもん」に限らず、自作には「ヌター・ウォーズ」「Star Walk」「スタージョーズ」など、「スター・ウォーズ」のパロディ映画をたくさん登場させている。よほど、「スター・ウォーズ」がお好きだったのだろう。この「天井うらの宇宙戦争」も、明らかに「スター・ウォーズ」の影響下にある作品なので、アニメ版を語るに当たっても、その点を避けては通れないのだが、私は「スター・ウォーズ」をまともに観たことがないので、突っ込んで語ることが出来ない。「スター・ウォーズ」のパロディであることは、分かっているだけに、残念だ。
 それでも、単に「ドラえもん」の一作品としても、十分に面白い話だと思う。ラストのドラえもんの言葉の象徴されるように、「宇宙戦争」であるにも関わらず、秘密基地が剛田家の天井裏にあったり、ご飯を盗み食いしたり、最後は野球のボールで決着が付くと言ったスケールの小ささが、笑いを誘う。
 今回のアニメ版では、特に、前述の「ご飯盗み食い」のシーンが、しっかり描かれていた点が笑えた。その後の場面で、アカンベーダーが口の周りに付いたご飯粒を舌で拭き取ったりと、描写も細かくていい。どうやって食べたのだと、突っ込みたくはなるが、まあ脚本が高橋ナツコだからなあ。
 ともかく、中編として十分に楽しめた一編だった。


 さて、ここまでは各話の感想だが、特番としての番組全体の感想も、書いておきたい。
 まず、キーワードプレゼント。大山時代の末期にも頻繁に行われていたものだが、特に番組のテンポを損なうというものではないので、これ自体は、まあいい。
 しかし、レギュラー枠と同じ尺の「のろいのカメラの途中にCMを入れて分断してしまうのは、いただけなかった。「一生に一度は百点を…」から、CMなしで「のろいのカメラ」に続いたので、変だとは思ったが、まさかここで大山ドラ時代の悪習を復活させるとは思わなかった。
 特番で、普段出来ないような企画を行うのはいいと思うが、その企画のせいで本編に影響が出るような事は、やめて欲しい。今回の特番の構成を見て、リニューアルドラの今後に、ちょっと不安を覚えてしまった。