「ぴちぴちピッチピュア」大団円

 「マーメイドメロディーぴちぴちピッチピュア」が、本日ついに最終回を迎えた。無印から通算して全91話、1年9ヶ月。土曜朝8時のテレビ愛知アニメでは、もっとも長期間の放映となった。そして、私は第1話から最終話まで全話欠かさず付き合ってしまい、DVD-BOXまで買ってしまった。
 それだけ、「ピッチ」が、私にとって魅力ある作品となったと言うことなのだが、それではこのアニメを人に勧められるかと考えたら、正直なところお勧めは出来ない。どっぷりはまってしまうか、拒絶反応を起こすか、人によってどちらかにはっきり分かれる作品だと思う。「はまる」方の過程について、私自身を例にとって紹介してみよう。
 まず、「ピッチ」とのファーストコンタクトは2003年3月29日、前番組「東京ミュウミュウ」最終回放映後に流れた新番組予告だった。「ミュウミュウ」は、土曜の朝と言うこともあって惰性で観ており、後番組にも期待していなかったのだが、新番組で流れた七海るちあ(声・中田あすみ)の凄まじい「ぴちぴちボイス」っぷりを聴いて衝撃を受け、「作品としてはダメかもしれないが、確実に話の種にはなる」と思い「ぴちぴちピッチ」も引き続き観ることに決めたのだ。この記事を書くに当たって、昔のビデオテープを引っ張り出して、久しぶりにこの予告を観てみたが、やはりすごかった。番組タイトルなど、どう聞いても「バーベイドベドディーびちびちビッチ」としか聞こえない。当時は、こんなの(失礼)を主役にして、一体どうなるのだろうと言う一点で興味津々だった。
 一週間が経って4月5日。「ぴちぴちピッチ」第1話が放映された。予告で聴いたとおりのるちあの「ぴちぴちボイス」(特に「ぐるぐるあわあわ~」)、「ぴちぴちボイスでライブスタート!」「アンコールはいかが?」、そしてなぜかマーメイドの歌を聴いて苦しむ敵と、とにかく凄まじかった。これは、主役の声がどうというレベルではなく、ある意味歴史に残るアニメにあるかもしれないと、毎週視聴をはっきり決意してしまった。
 その後も、マリアの「ガーン」や謎のお花畑(通称「ぴちぴち時空」)などの超演出、波音のイケメン好きやリナのお笑い好きなど主役三人組の妙なキャラ付け、どんどんお笑いキャラ化していく敵幹部・ダークラバーズ、第1話のるちあ以上の凄まじい歌声を披露した4人目のマメプリ・かれん、バンクの使用ミスで起こったと思われる「るちあを助けに行くるちあ」のありえないシーンなどなど、見所を挙げていけばきりがない。はっきり言って、女児向けのアニメとしては成功しているとは言い難いが、脚本と演出の妙なセンスで、他のアニメでは決して真似の出来ない独自の世界が展開されて行って、いつの間にか土曜日朝には「ピッチ」を観るのが当たり前という状態になってしまったのだ。
 そして、ファンの声が通じたのか、まさかの2年目突入。前半は暗い話が多くてちょっと引いたが、かれんの再登場、ココの本格登場あたりからピッチらしさが戻ってきて、2年目の「ピュア」も、1年目を楽しめた人間には十分楽しめる作品となった。個人的には、特に「夏休みダヨ!全員集合」以降の一連の夏休みエピソードが印象深い。
 と、ここまで私自身を例に、どのような過程で「ピッチ」にはまったかを書いてみたが、はまるツボとなる部分は、裏返せば拒否反応を起こす部分でもある。るちあの演技(特に初期)が下手くそすぎて我慢できなければそれまでだし、バンクミスだってネタとしては面白くても、本来あるべきではない間違いではある。「歌」が重要なのに、メンバーに超絶ボイスの持ち主がいるのだって、設定を真剣に考える人にとっては「なんであんなに音○なんだ」で終わりだろう。結局、「ネタをネタとしていかに楽しめるか」が、ピッチにはまることが出来るかどうかの大きな分かれ目だったのではないかと思う。
 ともかく、この1年9ヶ月の間、非常に楽しませてもらった。今日の最終回は、事情で夕方になってようやく観たが、これも非常にピッチらしくてよかった。ラストの「Legend of Mermaid」オールキャラの合唱では、涙が出そうになった。近頃は、1クールや2クールでばたばたと終わってしまう作品を多く観ていたせいもあって、ピッチでは丸々1話を使って大団円を見せてくれて、本当に嬉しかった。
 こんなアニメ、作ろうと狙って作れるものではないだろう。この時期に、たまたま本作に出会えて、幸せだったと思う。唯一の心残りは、キー局のテレビ愛知で視聴していたせいで、他のネット局で起こった音声中断の放送事故を体験出来なかったことだ。「お聞き苦しいところがありましたことをお詫びします」のテロップ、見たかったなあ。
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コメント
 
 
 
Unknown (Towalion)
2004-12-26 00:16:25
最終回もいちいち突っ込むのが面倒なほどネタがありますぎましたね。個人的なツボは、

・「1ヶ月後の話で『もうすぐお正月』」なら、前回のサブタイトル(聖夜の戦い)は何だったんでしょう?

・ダークラヴァーズ・ガイト・沙羅が出たのに海月先生・みつかいたちは無視?

・人間姿では音●という設定ではなかったでしょうか?

・全員揃って“アンコールはいかが?”って、それ自体がアンコールに応えての歌ですよね?



こういう最終回は、古今東西、「ぴちぴちピッチ」にしかできません。

ミュウミュウ後の予告や無印第1話を見た時の悪い予感が的中したと思ったら、それを持ち味にしてしまうセンスも楽しくて。

ある意味、この作品は忘れられない伝説になりました^^;
 
 
 
突っ込みどころについて (おおはた)
2004-12-26 23:14:05
> 「1ヶ月後の話で『もうすぐお正月』」



 たしかに、前回は11月末と言うことになりますね。きっと、海の世界ではこの時期に「聖夜」と呼ばれるような行事があるのでしょう。



> 海月先生・みつかいたちは無視?



 太郎ちゃんは、「Legend of Mermaid」合唱の時に、ピアノ演奏役として出ていました。

 みつかいやミケル様が出てこなかったのはちょっと残念ですね。



> 人間姿では音●という設定ではなかったでしょうか?



 私もうろ覚えですが、正確には「真珠がないと音痴」でしたっけ。はたして、その設定をスタッフが覚えているかどうか…。少なくとも、星羅がいる以上沙羅は真珠を持っていないはずですね。



 たしかに突っ込みどころは満載なのですが、昨日の最終回はとても気に入って、昨日と今日で3回も観てしまいました。スタッフも後半は狙ってやっていた部分もあるのでしょうが、いずれにせよこの作品の独特の雰囲気は非常に心地よいものでした。
 
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