墓場鬼太郎 #01「鬼太郎 誕生」感想

・墓場鬼太郎 第1話「鬼太郎 誕生」
(脚本/成田良美、絵コンテ/地岡公俊、演出/羽多野浩平・地岡公俊、作画監督/窪 秀巳)


 フジテレビから遅れる事一週間、ようやく東海テレビでも「墓場鬼太郎」が、始まった。
 この一週間、本当に待ち遠しくて仕方がなかった。昨年から楽しみにしていた作品だが、すでに放映が始まっている地域があると思うと、余計に気になってしまう。
 2ヶ月遅れでスタートした「ゲゲゲの鬼太郎」第4作に比べれば、一週間など遅れているうちに入らないレベルだが、「ゲゲゲ」第4作の頃とは違って、今はネットでいくらでもアニメの感想を書ける/読める時代であり、実際にブログや掲示板で書いている人も多いので、新鮮な気持ちで第一話を観るために、この一週間はそれらの感想を極力読まないように避けてきた。文のタイトルに「墓場鬼太郎」と書いてあるものは回避しやすいが、思わぬところで感想に出会う事もあり、なかなか苦労した。


 と言う訳で、待ちに待った第一回の放送だったが、なかなかよかった。
 特に、OPは一体どんな映像になるのかと不安もあったのだが、いい意味で斜め上を行ってくれた。曲とOPアニメがばっちり合っていて、非常に中毒性が高い。すでに、何度も観返してしまった。いつも、最初の方のチンポ氏が三つ目を出して「ギャー」の部分で笑ってしまう。あそこは特にインパクトが強い。
 ノイタミナ枠はSonyMusicが固定スポンサーに付いているので、作品によって程度の差こそあれ基本的にOP・EDはタイアップになる。そうやって作られたOP・EDが作品に合うかどうかは当たりはずれの差が激しい枠だと言う印象を持っていたが、今回は「当たり」だと思う。曲は「モノノケ」を歌って鬼太郎を意識した作りだし、何と言ってもOPアニメとの相乗効果で原作の恐くて奇妙な世界観が見事に映像化されており、繰り返し観たくなってしまう。立派な「作品の顔」だ。

 本編は、いきなり「幽霊一家」から「地獄の片道切符」までが一気にアニメ化されたで、さすがにちょっと急ぎすぎている印象を受けたが、一番アニメで観たかった「幽霊一家」での鬼太郎の誕生までの展開はしっかり描かれており、満足できた。少しぼかした表現ではあるが鬼太郎の眼が潰れる場面もあったし、また鬼太郎の父親(ミイラ男状態)の腕がもげる部分はアニメオリジナルだが、原作とは違った方向で「不治の病」である事を上手く描いていたと思う。
 ただ、「血液銀行」関連の設定が無くなってしまった点は、ちょっと残念。売血描写などはやはり問題があるのだろうか。今後の展開にも影響がありそうなので、気になるところだ。

 そして、終盤で水木の母が鬼太郎達を突き落とす場面は、発狂描写を含めて凄みを増しており、見応えがあった。
 もちろん、原作のあっさりした展開は水木作品の大きな持ち味だが、今回のアニメ版は全編が緊迫感のある雰囲気(主に、水木視点)で描かれており、そのクライマックスにふさわしい場面だった。
 合わせて、地獄と人間世界での美術描写の違いが、場面転換をより効果的にしていたと思う。「地獄」があんなサイケな色遣いになるとは意表をつかれたが、その分現実世界の「墓場」の暗さも際だって見えていた。


 そう言えば、声の感想を書くのを忘れていた。
 第1話はベテラン・中堅声優揃いで、しかも「ゲゲゲ」アニメ版でもお馴染みの人達が多く、安心して聴く事が出来た。佐藤正治氏は「ゲゲゲ」第5作のがしゃどくろ以来か。
 一番注目していた鬼太郎の声は、「ゲゲゲ」第1作・第2作の明朗な少年声とは違い、ごく低い声で「墓場」の鬼太郎らしい不気味さは十分。最近の野沢さんの声は昔より低めになっている印象があったが、本作に関してはそれが上手く合っていた。
 田の中さんの目玉親父は、声自体は「いつも通り」だが、「~~じゃ」と言う年寄り口調ではないのが新鮮だった。また、水木の母に切符を渡す場面は、いつも通りの声であるが故に、余計に不気味な存在に感じた。

 そして、締めは中川翔子の歌うED。
 少し前に「ヤッターマン」で雰囲気ぶち壊しのEDを聴いてしまったせいもあって不安だったのだが、本作のEDは本編の余韻を壊すようなことはなく、落ち着いて聴く事が出来た。OPともども、タイアップするにも作品と曲を選ぶセンスが問われるものだと、あらためて思った。ただ、落ち着いて聴けるのだが、正直言って曲自体はインパクトにあまり印象に残らないが。
 次回予告はEDの途中に流れるノイタミナお馴染みの形式。小さいサイズだがねずみ男の動くところが観られた。ただ、今回は提供後が完全に単なるEDフリップになっており、前番組「もやしもん」のような掛け合いがないのはちょっと残念。そう言えば、ロッテが「もやしもん」に続いてスポンサーに付いていたのは意外だった。この番組にSonyMusic以外どこが付くのか不思議だったのだが、前番組から継続とは思わなかった。


 目玉親父の苦労など、原作で印象的だった部分が省かれてしまったのは残念だが、テレビアニメの第1話としては非常にいい出来だったと思う。次回登場するはずのねずみ男や夜叉、ドラキュラ四世も楽しみだ。
 せっかくだから次回以降も新鮮な気持ちで観たいので、あと10週間は関東・関西組のネタバレを避けるよう、出来るだけ努力しよう。
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