はなバルーンblog

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「瀬戸の花嫁」第17話、AT-Xで放映中止

2007-08-26 23:30:48 | マンガ・アニメ
 AT-Xで8月30日に放映予定だった「瀬戸の花嫁」第17話が放送取りやめで、1話飛ばして第18話が放映される事になった。


 当初、AT-Xのサイトに告知が出た時は放映中止の理由が書かれていなかったので、サブタイトルの「県警対組織暴力」が、九州で起きた暴力団抗争事件を連想させるのでまずいのではないかと言った憶測もあったが、公式サイトに掲載された説明文によると、キャラクターの著作権侵害が理由だった。
 考えてみれば、「県警対組織暴力」に限らず、「瀬戸の花嫁」のサブタイトルは映画のタイトルを使う趣向なのだから、たまたま暴力団の抗争が起こったからと言って、それが理由と言う事はないだろう。そう言えば、以前にOVA「てなもんやボイジャーズ」でも、「県警対組織暴力」がサブタイトルに使われていた。これもAT-Xで放送していたな。

 実際に問題となったキャラの著作権侵害だが、ゲストキャラの「埼玉番長軍団」が、「仮面ライダー ストロンガー」に登場した「デルザー軍団」のパロディ…というか、ほぼそのままのキャラデザインだったのがまずかったようだ。
 私は特撮には疎いので、第17話を観た時には「こいつら、きっと何か元ネタがありそうだな」とは思ったものの、今回の問題が起きるまでは、元ネタが「仮面ライダー ストロンガー」とは知らなかった。ネットで元ネタのキャラの画像を見て、「埼玉番長軍団」のデザインのあまりのひねりの無さに驚いた。
 だから、もし今回の問題が起きなかったら、一生元ネタを知ることはなかったかもしれない。元ネタがわからなくても、第17話はメインの「悩まし番長」ネタで十分に楽しめたので、気にはならなかった。


 本作に限らず、最近のテレビアニメではパロディネタを盛り込んだ作品が増えているが、著作権には配慮した上で作っていると思っていたので、こんな問題が起きるとは予想外だった。

 「ケロロ軍曹」でのガンダムや、「らき☆すた」のハルヒネタは、制作/製作会社繋がりで問題が無い事は明らかだし、両作品とも問題がありそうなネタは、元ネタの単なるコピーにならないように気を遣っている事が見て取れる。また、「ハヤテのごとく!」のように、セリフ中に「ピー」音を入れる姑息(?)な手段で、元ネタへの直接の言及を避ける例もある。
 「ぱにぽにだっしゅ!」以降、現在放映中の「さよなら絶望先生」までに至る一連のSHAFT制作・新房昭之監督作品にもパロディネタは多いが、特に自社制作の過去作品ネタが多いので、問題はないのだろう。黒板ネタなどは、パロディとはまた違った手法だろうし。
 既に放映が終了している作品では「焼きたて!!ジャぱん」でもパロディが多かったが、権利関係がクリア出来なかったであろうネタについては、ジャイアンっぽいガキ大将の声に先代・ジャイアンのたてかべ和也氏を起用するなど、ギリギリの線で元ネタそのままの表現は避けながらも、誰が観ても元ネタがわかるように見せる工夫があった。

 それらと比べると、今回の「瀬戸の花嫁」第17話は、権利関係をクリアしていないにも関わらず、元ネタをほぼそのまま使い、しかもキャラの一人は声優も同じ(柴田秀勝氏)であるなど、どう考えても言い訳できない状況で、権利者側からクレームが付けられても仕方がないだろう。


 地上波で「瀬戸の花嫁」を放映しておらず、AT-Xで観るしかない地域の方には申し訳ないのだが、正直なところ、個人的には今回の問題を面白がっている。
 今後、埼玉番長軍団が描き直されてしまったら、地上波版の映像は貴重なものになるだろうし、AT-Xで放映予定のある修正版第17話で、どのように直したかを観るのも楽しみだ。

 本作は、地上波では放映局が4局しかなく、全ての局で遅れは一週間以内なので、地上波で第17話が飛ばされる地域がなかったのは、不幸中の幸いだろう。もし、「ハヤテのごとく!」で同様の問題が起こったら、テレ東系列外の遅れ放送地域では、当該話は飛ばされる事になっただろう。
 もっとも、地上波の放映局数が少ないからこそ、AT-Xに頼らざるを得ない人も多いわけで、そのような方々には「面白がってすみません」としか言いようがない。私だって、テレビ愛知で放送していない「エル・カザド」は2ヶ月遅れのAT-Xで観ており、他人事ではない。


 それにしても、しつこく書くが、パロディとは難しいものだと、あらためて思った。
 あまりに芸のない元ネタそのままのものよりも、隠し味程度の仕込みで気付いた人だけ笑える程度にしておいた方がいいのではないか。直球でやるよりは扱いが難しく、制作者のセンスが問われる事になるだろうが。