はなバルーンblog

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カラコミ「ドラえもん」6巻見どころ

2006-03-24 23:45:08 | 藤子不二雄
 ようやく手に入った、カラーコミックス「ドラえもん」第6巻。
 収録作品については前から知っていたし、また全て既読だったのだが、それでも、あらためて実物を見ると、カラコミならではの特色が随所に見られるので、今回はそれらについて取り上げてみる。


・巻頭4色作品「はこ庭フレーム」

 「ドラえもん カラー作品集」第2巻にも収録されている話だが、単行本収録はこちらが先。初出時は4色と単色が2ページずつ交互に使われていたのだが、カラコミ版では単色原稿をトレスして、4色に着色している。わざわざこんな事をしなくても、はじめから全ページ4色の作品を選べばいいのにと思ってしまった。
 このカラコミ収録版が、カラー作品集にもそのまま使われてしまったようで、カラー作品集でも2・3・6・7ページ目はトレス原稿となっている。近年のドラ単行本では極力オリジナル原稿を尊重しているだけに、珍しいケースと言える。


・「自動ぶんなぐりガス」大胆な描き足し

 この話は「ドラえもん カラー作品集」第4巻に収録されているので、ご存じの方も多いと思うが、広告スペースの関係で半ページ分余っている。しかし、カラコミでは、凄まじい方法でその余ったスペースを埋めている。「カラー作品集」で言うと125ページの6コマ目を、構図はそのままで半ページサイズに描き直しているのだ。
 問題は、これを描き直したのが藤本先生ではなく、どう見ても篠田ひでおの絵だと言う事。半ページ分の大きいサイズで、この絵が混じると非常に違和感がある。篠田氏は、おまけページの「まちがい絵さがし」等の企画の絵も担当しており、その関係だろう。
 5巻までにも、主にページ左側3分の1スペースで、時おり篠田氏の絵が見受けられるが、今回ほどに大胆なものは初めて見た。「はこ庭フレーム」のように、カラコミ版が「カラー作品集」にも収録されていたら、問題になった事だろう。


・「7につづきます」

 最終ページで発見して、びっくりした。6巻発売の時点では、まだカラコミを刊行し続ける意志があったようだ。実際、6巻の出た翌年春には「のび太の海底鬼岩城」総集編が、カラーコミックス第22巻として刊行されている。「魔界大冒険」の総集編はカラコミでは出なかったので、おそらく「海底鬼岩城」がカラコミ最後の一冊だろう。
 てんコミ45巻でも、初版では「46巻につづく」と書かれており、それが最近はなくなっている事は有名だが、まさかカラコミでも同じような事例があるとは思わなかった。もっとも、カラコミ6巻は増刷されていないから、直す機会もなかったわけだが。



 以上のように、カラコミ6巻には、思っていたよりも見所が多く、苦労して手に入れた甲斐があった。もし、当初の予定通り7巻以降が出ていたら、どうなっていたのだろう。6巻よりさらに入手困難になっていたか、あるいは売れ行きが良くなって、もっとカラコミが長く続いていたのだろうか。
 現在、カラコミの後継者的存在として、「ぴっかぴかコミックス」が、刊行されている。私は藤子作品と手塚作品しか買っていないが、それらを見る限りでは、カラコミよりも丁寧な編集であり、子供向けと言っても手抜きはされていない。ぴかコミの「ドラえもん」は、まもなく12巻が発売され、カラコミの2倍の巻数となる。これからも、ドラに限らず藤子作品をどんどん出して、続いていって欲しいものだ。