はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

「キャプテン」と「プレイボール」

2006-01-27 00:09:03 | マンガ・アニメ
 ANIMAXで再放送していた「キャプテン」が、昨日最終回を迎えた。

 「キャプテン」テレビシリーズは1983年放送なのでちょうど私の小学生時代のアニメだが、これまでは観た事がなかった。厳密に言えば、「エイケン TV主題歌大全集」でOP・EDを観た事があったが、古臭そうなアニメだなと思った程度だった。そんな私が、この作品に興味を持ったのは、昨年7月より深夜枠で放映された「プレイボール」が、きっかけだった。
 「プレイボール」は、単に新作アニメを片っ端からチェックしていたうちの一本として観たのだが、原作を知らなかったので、第1話でサッカー部に入る展開で続きが気になり、第2話の河原のシーンで一気に引き込まれてしまった。肝心の野球をやるようになってからも、毎週先が気になる展開で試合の行方が気になり、放映日を待ち遠しく思ったものだ。
 このように、「プレイボール」を観ているうちに、自然と前作にあたる「キャプテン」も気になってきたので、ANIMAXでの放送を待っていたのだ。

 「キャプテン」は、墨谷二中の歴代野球部キャプテンを主人公に描いた作品で、アニメでは谷口編(1~12話)・丸井編(13~19話)・イガラシ編(20~26話)に分ける事が出来る。このうち、個人的には最初の谷口編が、一番面白かった。やはり谷口が主人公を務める「プレイボール」にも言える事だが、ひたすら努力して成長していく主人公とナインの姿が、観ていて、すがすがしい。特訓などが描かれていてもくどくないので、自然と感情移入して観る事ができた。
 続く丸井編も、作品としては悪くはなかったが、既に墨谷二中は強豪校扱いされているため、谷口時代とはキャプテンとしての立場もナインの心情も微妙に異なっており、多少違和感はあった。とは言え、丸井編から加わった近藤は愉快なキャラクターだったし、丸井やイガラシも個性の強いキャラクターなので、やはり楽しく観ていた。特に、最後の青葉との決戦は、文字通り動けなくなるまで試合を続ける姿が非常に印象的だった。
 最後のイガラシ編については、話を急いでいる感じが気になってしまった。宿敵・青葉学院の予選敗退や、地区予選決勝9回表の2点得点など、もっと描き込めそうなエピソードが、あらすじだけで流されてしまっていたのには驚いた。全26話に収めるための処置だったのかも知れないが、放映時には既に原作の連載は終わっていたのだから、もう少し構成を考える余地があったのではないだろうか。イガラシ編の原作は未読なので、このあたりが原作でどう描かれているのか、気になるところだ。
 最後は、全国大会へ向けてのランニング場面で終了。最終回らしくない終わり方だったが、反響次第で第2シリーズを考えていたのかもしれない。結局「キャプテン」の続きではなく、22年後に姉妹編「プレイボール」として実現したわけで、メインスタッフがちゃんと残っていて、制作会社も同じエイケンなのだから、考えてみると凄い事だ。
 ともあれ、全体として「キャプテン」は、十分に楽しんで観る事ができた作品だった。毎回の試合展開が気になって、ついつい引き込まれる点は「プレイボール」と同様だ。ただ、「キャプテン」では、次回予告で試合の結末をネタばらししてしまう事が多かった点が、少々気になったが。

 また、「キャプテン」を観終わってから、これは「プレイボール」より先に見ておくべき作品だったと、改めて思った。
 谷口の指がダメになった原因は「キャプテン」で描かれたエピソードだし、丸井やイガラシは両作品に登場するキャラクターだ。それに加えて「プレイボール」12・13話ではアニメオリジナルで墨谷高校対墨谷二中の試合が描かれた。このエピソードでは墨谷二中ナインに加え、青葉学院の佐野まで登場していたが、本放送当時は「こいつ誰だ?」くらいにしか思えなかった。もし、「キャプテン」での青葉学院との死闘を先に観ていれば、印象はかなり変わった事だろう。

 なお、主人公の谷口をはじめ、「キャプテン」「プレイボール」両方に登場するキャラクターが何人かいるが、全て声優は別人になっている。「キャプテン」のメインキャストには見慣れない名前が多いので、おそらく現在は声優として活動していないのだろう。それでも、比較的声は似ているのでさほど違和感はないが、できれば近藤役は中尾隆聖のままにして欲しかったものだ。


 さて、これを書いている時点で、東海地方ではまもなく「ラムネ」が最終回を迎えて、来週からは、全国で最も遅く「プレイボール2nd」が放映開始となる。「プレイボール」最終話には、東海テレビ用の日時を入れた「ラムネ」予告が流れたが、今回は「プレイボール2nd」の予告が流れるのだろうか。ともかく来週が楽しみだが、この1ヶ月半ですっかり「キャプテン」の谷口の声に馴染んでしまったから、また「プレイボール」版に頭を切り換えなくては。


1/29追記
 原作で「キャプテン」最終2話分のエピソードが、どう描かれていたのか気になったので、文庫版で確認したところ、やはりアニメでは大幅に展開がはしょられていた。青葉の敗戦については原作でもサラリと流していたが、アニメの江田川戦は飛ばしすぎだ。原作では、9回裏で江田川が同点に追いついて、総力戦で逆転に賭けると言う展開なのだが、アニメでは丸々カットして1点差のまま墨谷の勝ちにしている。また、試合途中の展開も大幅に削られており、9回表の青葉の得点も、原作ではきちんと描かれていた。
 ここまで短縮して無理に地区大会決勝まで入れるよりは、第24話のエピソードで締めた方が、きれいにまとまったのではないだろうか。2話分余るのならば、「プレイボール」最終2話のように丸々オリジナルにしてもよかったと思う。24話までが丁寧に描かれているだけに、最終2話の飛ばしっぷりは、少々残念だ。
 なお、最終話の谷口と丸井の応援は、アニメオリジナル。そもそも原作ではあの場面に谷口は登場しない。最終話を意識して谷口を出したのだろう。そのせいで、余計に試合に割く時間が減ったわけだが。