はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

FFランドについて補足(2)

2006-01-21 23:17:31 | 藤子不二雄
 今回も、FFランドの話を続ける。

 18日にも触れた事なののだが、FFランドはカバー折り返しに半年~一年ほどの刊行予定が載っていた。今回、それらをいくらか見返したのだが、今になって見てみると、刊行予定の変更によって編集方針の変遷が垣間見られて、興味深い。
 そこで、今回は主だったFFランド刊行予定の変更例を紹介してみたい。

 まずは、おそらく一番有名であろうこの事例から。


・「シルバー・クロス」4巻以降→「新版 プロゴルファー猿」に変更

 「シルバー・クロス」は全6巻予定だったが、3巻が出たところで中断され、変わって「猿」が登場した。これが1985年4月の事だったので、「猿」テレビアニメの放映に合わせたと思われる。
 「猿」の刊行が決まる前には、「シルバー・クロス」の他に「宇宙人」「創世日記」「消える快速車」「3マシンメン」も予定されていたのだが、これらも予定から消えてしまったので、本来なら「シルバー・クロス」の後に刊行されるはずだったのだろう。この事は、「シルバー・クロス」の3巻までが出ていた第一週が、当初「復刻路線」と位置づけられていた(「ネオ・ユートピア」15号より)事からも推察できる。
 結局、第一週は「猿」の後も「忍者ハットリくん」「怪物くん」と有名作が続き、また「シルバー・クロス」の4巻以降も第4週に移って、ひとまず復刻路線は無くなってしまった。第一週に復刻路線が復活したのは、1989年3月の「スリーZメン」からとなる。

 次に、似たようなケースだが、


・「ウメ星デンカ」→「新編集 オバケのQ太郎」に変更

 これは、1985年12月の事。「猿」同様に、4月からテレビアニメが始まっていた「オバQ」の刊行を優先したのだろう。「オバQ」刊行が始まった事で、1986年は「猿」「ドラえもん」「オバQ」と、月4冊のうち3冊まではロングシリーズが続く事になり、少々面白味に欠けるラインナップだったと言わざるを得ない。

 お次は、これまでとは異なるパターン。


・「ドラえもん」「忍者ハットリくん」が当初の予定より少ない巻数で一旦完結

 1987年2月の時点では「ドラえもん」が37巻まで予定されて以下続刊、「ハットリくん」も5巻までで続刊予定となっていたが、翌3月には「ドラえもん」が第1期全35巻、「ハットリくん」が第1期全4巻で一度完結と変更された。
 「ハットリくん」については、ひとまず旧作でまとめるという意味があったのだろう。「ドラえもん」は、時期的にちょうど藤本先生がご病気で新作が満足に描かれていない頃だったので、単行本未収録作品を加えて刊行を続ける方針に無理が生じて、中断する事にしたのかも知れない。
 とは言え、「ドラえもん」が看板作品だった点に変わりはなかったようで、この後は「大長編ドラえもん」が、ほぼ3ヶ月に一回の割合で刊行されて、「ドラえもん」第36巻以降刊行までの間をつないでいる。

 次は、後期に行われた変更例。


・「フータくん ナンデモ会社編」→「フータくんNOW!」に変更

 「フータくん」は、「百万円貯金編」「日本一周編」「ナンデモ会社編」の3シリーズに分けられるが、42回に渡って連載されたにもかかわらず、「ナンデモ会社編」だけは一度も単行本化されていない。
 その「ナンデモ会社編」は、1989年10月まで刊行予定に載っていたのだが、翌11月には名前が消えて、代わりに「オヤジ坊太郎」「フータくんNOW!」が加えられている。おそらく「ナンデモ会社編」全3巻の予定が、「坊太郎」2巻と「フータくんNOW!」全1巻に変わったのだろう。
 「オヤジ坊太郎」は非常に不十分な内容だったし、「フータくんNOW!」にも未収録が残ったので、当初の予定通り「ナンデモ会社編」を出して欲しかった。結局、今に至るまで「ナンデモ会社編」は単行本化されていない。「ネオ・ユートピア」会誌に再録された2話を読む限り、他の2シリーズに負けない面白さはあると思うのだが、なぜ出版されないのだろう。
 なお、「ネオ・ユートピア」会誌等で「ナンデモ会社編」の分が「マボロシ変太夫」に振り分けられたと何度か書かれているが、カバー裏刊行予定を見る限りでは、「変太夫」刊行後も「ナンデモ会社編」の予定は残っていた事を、お断りしておく。


 以上、FFランドにおける刊行予定変更の歴史を振り返ってみた。裏事情などは、あくまで私の想像なので、念のため。
 ここで取り上げた以外にも、こまかい巻数変更などはたくさんあるのだが、いちいちあげていくときりがないので省略させていただいた。興味のある方は、ご自分でご確認下さいと言いたいのだが、ある程度FFランドを集めないと確認できないのが辛いところだ。

 それにしても、アニメ「ドラえもん」サブタイトルの話題から、こんな方向に話が飛んでしまうとは、自分でも思いもよらなかった。FFランドについては、他にも色々とネタに出来そうな部分はあるが、これ以上続けるのはどうかと思うので、ここで一旦終わらせていただく。