はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

アニメの声変わりについて

2005-04-24 22:20:29 | マンガ・アニメ
 新生アニメ「ドラえもん」が今月15日にスタートして、声も作画も演出もガラッと変わったのだが、私が確認できた限りでは、声について違和感があるという声が一番多いと思う。私自身も、まだまだ新しいドラえもん達の声に慣れたとは言えないし、今回の新キャストはので、前任のキャストにそっくりと言う訳でもないので、違和感があって当然だろう。
 しかし、アニメでお馴染みのキャラクターの声優が交代するという出来事は、何も今回の「ドラえもん」に限った事ではなく、多くの例がある。そこで、今回は声優交代の事例のうち、個人的に印象深い作品について取り上げてみたい。

 まず、今回「ドラえもん」で声が変わるにあたって、同じく長寿アニメと言うことで、よく引き合いに出された「サザエさん」。ここ数年間で、カツオ、ノリスケ、ワカメなどの声が変わっている。このうち、ワカメについては今月になって変わったばかりなので時期尚早と言うことで感想は控えるが、カツオとノリスケでは、私はカツオは結構早く順応したのだが、ノリスケは未だに慣れない。最近「サザエさん」を観ることはあまり無いが、たまたま観てノリスケが喋っていると、現在の松本保典ではなく、初代の村越伊知郎の声に変換したくなってしまう。一方、カツオの方は既に高橋和枝の声を忘れつつある。不思議なものだ。
 ちなみに、村越伊知郎は、日本テレビ版「ドラえもん」でのび太のパパを担当していた。そして、シンエイ版で加藤正之、中庸助ときて、新生ドラのパパ役は松本保典。やはり、この二人の声にはどこか似たところがあると言うことか。

 また、「ドラえもん」と同じく藤子・F・不二雄原作と言うことで、「キテレツ大百科」もしばしば話題に上がった。本作ではコロ助が小山茉美→杉山佳寿子、ブタゴリラが大竹宏→龍田直樹、みよ子が荘真由美→本多知恵子と、主要5人のうち、3人までが途中で声変わりしている。私は、この3人の中ではコロ助に一番違和感があった。NHK教育で放送された実写版ドラマ「キテレツ」では、コロ助の声が小山茉美に戻って、ようやく落ち着いたくらいだ。しかし、残り二人に関しては、さほど抵抗もなく馴染んだ覚えがある。
 まあ、「サザエさん」にしろ、「キテレツ大百科」にしろ、個人的にあまり思い入れのある作品ではないのだが、それでも比較的観る機会は多かったので、やはり声が変わると、ある程度は気になる。

 さて、ここまでは放送が続いている途中で声が変わった例だが、他にアニメキャラの声が変わる例としては、以前にアニメ化された作品をリメイクする場合に、一部のキャラに留まらず、声優を総入れ替えしてしまうケースもいくつかある。そう言った例で一番最初に思いつくのは、合計4回もアニメ化された「ゲゲゲの鬼太郎」だ。主人公の鬼太郎の声は、第1作(1968~69年)&第2作(1971~72年)が野沢雅子、第3作(1985~88年)が戸田恵子、第4作(1996~98年)が松岡洋子と、リメイクされる度に変わっている(第2作は第1作の続編扱い)。
 私自身は、白黒の第1作は一部話数以外は未見だが、第2作は第3作放映以前の再放送で繰り返し観て、その後第3作と第4作はリアルタイムでほぼ全話観た。3人の鬼太郎の声は特徴があって、明らかに違う声なのだが、新シリーズが始まったからと言って特に拒否反応が出ることもなく、それぞれを「新しい鬼太郎の声」として受け入れることが出来た。これは、単に声が変わっただけでなく、脚本・演出・時代設定・音楽なども、それぞれ制作された時代に合わせて、まるっきり変えられているからだろう。それに、「鬼太郎」に関しては、他のキャラの声が変わっても目玉親父だけは基本的に田の中勇が演じており、この目玉親父の声が、それぞれ異なる「鬼太郎」という作品をつなぐ存在になっている感がある。
 なお、「鬼太郎」では、田の中勇以外にも、山本圭子が第2作~第4作の3作続けてレギュラー出演しているが、全て同じ役と言う訳ではなく、第2作と第4作が砂かけ婆、第3作が途中からレギュラー入りしたシーサーだった。

 このように、「鬼太郎」では、違和感なく声優の交代を受け入れられたのだが、どうしても声優の交代が納得できなかった作品がある。「キン肉マン キン肉星王位争奪編」(1991~92年、以下「王位編」)だ。これは、リメイクではなくアニメ第1作でアニメ化されていなかった原作の最終シリーズを、第1作終了から5年後にアニメ化したもので、位置づけとしては第1作の続編となる。王位編のアニメ化が発表された当時、キャストについてはアニメ誌にはキン肉マンとミートの二人しか発表されていなかったが、この二人が以前と同じ神谷明と松島みのりだったので、すっかり安心して、他のキャラも当然同じ声で行く物とばかり思っていた。ところが、蓋を開けると前述の二人以外のキャストは総入れ替えだったのだ。
 「キン肉マン」の場合、「鬼太郎」とは違って、キャラデザインは一作目と同じ森利夫だったし、シリーズディレクターも一作目で各話演出を務めた白土武で、作品の雰囲気もほぼ以前と同じだった。そんな中、声だけがまるっきり違うのだから、違和感は相当なものだった。いくらキン肉マンとミートは変わっていないと言っても、この二人ばかりが喋っている訳ではないのだ。
 しかも、声優変更以外にもキャスティングに不可解な点があった。第一作で出演している人が、第一作とは異なる役を演じていたのだ。佐藤正治は第一作ではイワオ、バッファローマンなどを演じていたが、王位編ではキン肉大王、マンモスマンなどに変わった。マンモスマンなどは、バッファローマンと戦うのだから、非常に紛らわしい。他に、第一作でウォーズマン(初代)を演じた田中亮一は、なぜか終盤になってプリズマン役で出演した。さらに、王位編は比較的重要な役で声優の途中交代が多かった。バッファローマンは岡和男から松田重治に変わっているし、アシュラマンは最初は第一作を意識して似せた声(EDでテロップがないので担当者不明)だったが、途中から第一作とは違うイメージの山口健が担当した。これらは、最初のキャスティングを適当に行ったとしか思えない。
 結局、王位編は、放映当時既に原作の連載が終了しており、時期的に外していたせいか、予定通り1年の放映は全うしたものの、さほど話題となることなく、ひっそりと放映されていた感じがする。王位編で変更されたキャストが浸透しなかったことは、2002年に放映された「キン肉マンII世」で、ロビンマスクとテリーマンの声が第一作の郷里大輔、田中秀幸に戻っていた事実が証明しているだろう。まあ、「II世」でも、肝心のキン肉マンの声が変わっていたり、第一作でウォーズマン役(2代目)だった堀秀行がキン骨マンを演じるなど、相変わらず不可解なキャスティングはあったが。

 さて、当初の予定ではもっと多くの作品を取り上げるつもりだったのだが、ここまでで、かなりの分量になってしまった。「鬼太郎」「キン肉マン」は共に思い入れの強い作品なので、ついつい色々と余計なことまで書きたくなってしまう。
 今回の記事を書いてみてわかったが、結局声だけではなく、一つのアニメ作品として全体でどう変わったかで、違和感の有無は変わって来ると思う。「鬼太郎」は作品全体が別物になったので声が変わっても違和感はないが、「キン肉マン」のように声以外は元のままだと、余計に声の違和感が大きくなる。
 この観点から見ると「ドラえもん」のリニューアルは前者の「鬼太郎」パターンなのだから、もし「ドラえもん」も、5年以上間を空けて再アニメ化していたとしたら、声変わりに今回ほど多くの否定意見は出なかったような気がする。現実問題として、「ドラえもん」の放映を例え半年でも休むことは出来なかったのだろうが。ともかく、アニメにとって「声」がどれだけ重要な要素であるか、今回の騒動で、改めてよく分かった。