はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

「暗黒館の殺人」読了

2004-09-22 22:33:52 | ミステリ
 月曜日、朝起きたら右肩が少し痛かった。寝違えたか?と思い、気にせずにいたが、時が経つにつれて、どんどん痛みが増していく。最終的には、少し体の姿勢を変える程度の事も、つらくてできなくなったくらいだ。何がどうなってこんな事になったのか、さっぱり分からなかったが、仕方がないので昨日は病院に行って来た。どうやら、筋肉が腫れているらしい。もしかして、骨に異常が起きたのかと心配していたのだが、そうではなかったので、少し安心した。
 しかし、だからといってすぐに快方に向かうものでもない。結局、昨日・今日と会社を休んでしまった。現在これを書いているのは22日の22時過ぎだが、ようやく、ほぼ痛みが気にならなくなった。
 それにしても、昨日行ってきた某病院は、予約制のところに無理矢理入れてもらったため、かなり待たされてしまった。おかげで、400ページほど残っていた「暗黒館の殺人」を、読了してしまった。と、言う訳で、前置きが長くなったが、以下「暗黒館の殺人」の感想を書く。ネタばれもあるのでご注意をお願いしたい。


 感想を一言で言うと「微妙」。私が綾辻作品全般に求めているものは「結末の驚き」であり、もっと言えば「叙述トリックをどうしかけてくるか」を楽しみにしているのだが、今回は「視点」の問題についてしつこいほど何度も書かれていたことと、主人公(に相当する人物)の本名を徹底的に伏せていた&幾人かの登場人物について名字しか出していなかったせいで、「○○が異なる」と言うメイントリックが途中で読めてしまい、「驚き」を味わえなかった。
 また、久々の「館」シリーズ新作と言うことで、ガチガチの本格を期待していたのだが、どちらかというと殺人事件はおまけのような感じで、オカルト方面の描写が主になっていたことも残念。あとは、やはり「長すぎた」という印象がぬぐえない。著者の言葉では「無駄に長い訳ではない」と言っているが、どう考えてもいらない部分は多々あったと思う。例えば、美鳥&美魚の双子や、小田切鶴子、宍戸要作などのキャラはいなくても話に影響はなかったと思う。特に、双子については多く登場して入念に描写されていただけに、結局出てきただけのキャラだったのには拍子抜けである。
 結局、本作では「暗黒館」という館そのものは目立たず、異形の一族「浦登家」の描写に力が注がれすぎたために、ミステリとしてもホラーとして中途半端な作品になってしまったのだと思う。長年待ち続けた「館」シリーズの新作であっただけに、実に残念だ。まだ「館」新作の構想はあるようだが、次はぜひ「ミステリ」と呼べる作品を読みたい。はたして、次回作がいつになるのかも現時点では分からないが。