マンションに着くころには
薄暗くなってきました。
こんな時間に帰ったことは
いままでありません。
マンションには、明かりが
ついていますが、窓の外は
暗くなっています。
はとちゃんは、玄関の靴箱の上で
待っていました。
「もう、外は暗くなっているよ」
はとちゃんは、心細そうでした。
「はとちゃん、ごめんごめん
これからは、必ず明るいうちに帰ってくるね」
帰るとき電気を消すと
部屋は真っ暗になり
はとちゃんは、靴箱の上で
固まってしまいました。
外出から帰ってきたときの
はとちゃんの熱烈歓迎は大変なものです。
「もう、外出は、やめてくれませんか」
はんぶん怒っている熱烈歓迎です。
はとちゃんは、これにも
少しづつ慣れてきました。
しかし、ある時明るい時間に
帰れなくなってしまいました。
「これは困ったなあ、
はとちゃんはどうしてるかなあ」
気が気でなりませんでした。
用事で出かけると、朝から夕方近くまで
外出することになります。
はとちゃんは、子供のころは
玄関の靴箱の上で待っていました。
大人になってくると、奥の部屋の棚の上から
飛んできました。
それだけ、子供のころは必死でした。
帰ってきてマンションのドアーを開けると
はとちゃんは、大喜びです。
奥の部屋の棚の上と靴箱の上を
なんどもなんども、飛び回りました。
そのすさまじいこと、びっくりしてしまいました。
「はとちゃん、暗くなる前に
必ず帰ってくるから」
こっちもあそびじゃないので
待ち合わせ時間もあるので
ひっしです。
どうにかこうにか、はとちゃんに
肩から降りてもらい出かけました。
用事の合間には
「はとちゃん、元気で待ってるかなあ?」
と、まるで娘を思い浮かべてるような
気持ちになりました。