おちついている、はとちゃん

今回は
おちついている
はとちゃんです。

「あちっ、ちっ、ちっ。」
私の首筋に、まとわりつく
はとちゃんの足がとても
あついです。

はとちゃんの足の温度は
夏になると私より、あつくなり
冬になると私より、つめたく
なります。

こうして、はとちゃんは
体温を調節して１年を
すごしています。

２日後に２個目のたまごを
無事に生みました。

「２つのたまごは、とても
あたためやすい。」

今回は本当に、巣の中で
ゆったりとして、たまごを
あたためています。

前回は、たまごが４つだったので
あわてふためいていました。

前回はどうしても１つのたまごが
常にはみだしていました。

こんかいは、２つなので
楽勝のはずなのですが。

どうしたわけか、１つの
たまごを身体から、はみださせています。

「ひとつのほうが、もっと
らくだ。」
「ひとつ、はみだしている
ほうが、いいのだ。」

どうしてか分かりませんが
時々ですので、たんなる
きまぐれか、前回の名残
なのかもしれません。

私に甘える、はとちゃん

巣離れをして、
私に甘える
はとちゃん。

数日して、はとちゃんは
巣を離れました。

離れると同時に
はとちゃんは
私にまとわりつきます。

私の肩に乗って
頭を、こすりつけて
なきます。

デスクの上の
私の目の前で
私を、じっと見ています。

私が、外に出かけようとすると
私の首に、はりついて
「くっく、くっく。」
ないて、離れません。

そのうち、巣の中で
なきはじめました。

「こりゃたいへんだ。」
「たまごが、６つに
なってしまう。」

あわてて、４つのたまごを
かたづけました。
６つになってしまったら
とんでもないことに
なってしまいます。

「また、今回も、たてつづけ
になるなかな。」
おもっていました。

すると、今朝のことです。
「あれっ、巣の中にたまごが
ひとつある。」

「さあ、１０回目の
たまごの開始です。」

４つのたまごを、あたためる、はとちゃん

「いやあ、たいへんです。」
と、いいにくる
はとちゃん。

はとちゃんは、４つのたまごを
あたためています。

いっぺんに４つは
無理なので、つねに
ひとつは、からだから
はみでています。

「４つを、あたためたのは
はじめてなので、本当に
たいへんです。」

という、感じがありありの
はとちゃんです。

でも、こうして、４つを
あたためつづけるのは
「４つのほうが、ひなが
生まれるかもしれない。」

という、思いなのかもしれません。

おそらく、あと数日で
巣を離れると思います。

ひょっとしたら、はとちゃんは
今回、４つのたまごを
生んだと思っているかも
しれません。

これは大変な経験だったと
思います。

ありえないことが、起きた
わけですから。

私のミスから、はとちゃんに
大変な経験をさせてしまいました。

でも、私たちにとっては
とても楽しい経験でした。

「ごめんね、はとちゃん。」

たまごを選ぶ、はとちゃん

たまごを
苦労しながら
選ぶ、はとちゃん。

必死になって、４つのたまごを
あたためようとしましたが
これは、どうしても
無理なようでした。

やっとのことで、３つのたまごを
あたためましたので
かならず１つが、どこかから
はみだしていました。

おしりからのことも
おなかの横からのことも
首の下からのこともありました。

そのうち、２つをあたたため
はじめました。

「あっ、やっと２つを
えらびだしたのか。」
と、うれしく思いました。

はとちゃんが、巣を離れた時
見ると、偶然なのか分かりませんが
２つのたまごと２つのたまご
の間に、袋のきれはしが
線を引くように、おかれていました。

「はとちゃん、すごい。」
と、感心しました。

しかし、ある朝巣を見ると
タオルの下に３つの
たまごが隠れていました。

それを、元に戻して
４つにしました。

すると、すっかり元に
戻ってしまいました。

それからは、また３っつづつ
あたためはじめました。

玉乗り状態の、はとちゃん

４つの、たまごを
あたためるのは
大変だよ。

「わわわ、わ。４つのたまごを
いっぺんに、あたためようと
すると、おなかが、ずり落ちちゃう。

玉乗りをしているようだよ。
気をつけないと、ずっこけちゃうよ。」

はとちゃんは、何度も４つ
あたためようとするのですが
どうも無理なようです。

それからは、１つをのけて
３つをあたためるように
なりました。

２つをのけていることもあります。

ちらちらとよく見ていると
同じたまごではないようです。

「そんなこと言ったって
いちいち同じたまごを
のけてられないよ。」

「４つのたまごなんて
どうやって、めんどうを
みたらいいの。」

はとちゃんの、悪戦苦闘が
手に取るように伝わって
きます。

「ごめんね、ごめんね、
はとちゃん。
この次は、古いたまごを
かならず、かたづけて
おくから、今回は大変だけど
がんばってね。」

はとちゃんにあやまりながら
その奮闘ぶりに、なにか
おかしくてなりません。