はとちゃんクラブ

コンパニオンピジョンの会の会報誌

早すぎた一ヶ月目の放鳥

2007-07-25 14:07:47 | Weblog
はとちゃんが狭い部屋の中を飛んで窓ガラスやガラス戸に当たるのを見て
その時なぜか急におもってしまいました。
「はとちゃんは戻りたいのではないだろうか」
今にして思えば、鳥は感覚で飛ぶので、初めての狭い部屋で
ぶつかっただけなのではないでしょうか。

「はとちゃんの意思を確かめてみよう。」
1月の中旬ごろの寒い晴れた日の午前中、私は、はとちゃんを助けた
近くの公園の池のほとりに連れて行きました。
そこははとのたまり場の様になっていました。
ベンチの上にかごを置いてふたを開けました。
はとちゃんはしばらくかごの中から外をのぞいていました。
やっとのことで外に出て他のはとにちかずいていきました。
その姿を見て、むねがいたくなりました。
「はとちゃんは他の大人のはとと較べて身体の太さ、大きさ
が半分ちょっとだったのです。その上右の翼は尾羽の下にさがったままでした。」
明らかにたった1羽だけ姿が違っていたのです。

えさをあげてみよう。私は車でいつも買っているお店ではとのえさを買い
はとちゃんのいる場所に急いで戻りました。
はとちゃんは近くの木の上に止まっていました。
早速えさをはとにあげてみました。大人のはとたちに負けてしまい
全くえさを食べれませんでした。

その時急に胸がどきどきして思いました。
「このままでは、はとちゃんは死んでしまう。」
そう思ったときにかごを車の中に置いてきた事にきずきました。
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3週目

2007-07-18 11:02:17 | Weblog
3週目に入ってはとちゃんは元気に床からテーブルに、テーブルから棚に、
棚から窓際に飛び跳ねるようになりました。
右の翼も尾羽の下まで上がるようになりました。
左の翼は尾羽の上にありますので、そこまでいくのはまだまだだと
思いました。

家族から「元気になったら早く放した方がいいよ。」と言われていました。
私は「翼が戻ったら考えてみるよ。」と答えていました。
いざ放すことを想像すると、助けた日のことが悪夢のようによみがえります。
二度とあのような目には合わせたくはないので、思い悩んでいました。

よし、はとの専門家に相談してみよう。レース鳩の協会の人に電話で
相談してみました。
協会の人は「あなたが言われるように翼が戻ったら、助けた場所で
放したらどうですか。カラスははとの天敵ですので、またおそわれる
ことは十分に考えられます。若ばとよりも大人のはとのほうが
危険は少なくなりますが、そうすると自分でえさを取れなくなる
かもしれません。」

どうしたらいいのか分かりませんでしたが、はとちゃんの様子を
みながら、一ヶ月から二ヶ月をめどに考えていこうと思いました。
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2週目

2007-07-11 10:44:04 | Weblog
2週目に入って、食欲が少し出てきて元気に歩くようになってきました。
右の翼も2センチぐらいに上がってきました。
しかし右の翼の羽が汚れていました。
以前何かで読んだのですが「鳥の羽は身を守るため油膜のようなものに
覆われていて汚れないように出来ています。もし汚れているときは
体調が悪いときで、病気になったり命を落とすこともあります。」
と書いてありました。

本当にそうだろうなと思いました。しかし、あれだけ大けがをしたのだし
しばらく翼を引きずっていたのだから、心配ではありましたが
仕方ないと思いました。元気なときにはあれほどする、羽を繕う
ことが出来なかったのですから。

10日目ごろだったと思います。
「わあ、はとちゃんがはばたきをした。すごい、はとになったんだね。
でもあまり無理をしないでね、また痛くなったらどうするの。」
本当に私には勇壮なはばたきにみえました。
その日から、はとちゃんは毎日はばたきをするようになりました。
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1週目(2)

2007-07-04 11:48:41 | Weblog
5日目か6日目だったと思います。
なにげなく、かごのなかを覗くと
「あれ、右の翼が1センチ上がっている。角度による見間違いでは
 ないだろうか。」もう一度見直しましたが、はとちゃんの右の翼は
間違いなく上がっていました。
「はとちゃん、やったね。」私は小さい声で本当に叫びました。
筋肉が断裂するほどにはやられていなかったんだ。
たった1センチだけれども、はとちゃんにとっても私にとっても
大きな1センチでした。
「ええっ、右の瞼が開いている。」
傷による痛みの峠が越え、1日1日の回復期に入ったのだと思いました。

その日は1日中幸福な気分でした。
「よし、ぜったいに、はとちゃんの身体を元に戻してやる。」
大きな勇気が湧いた日でもありました。
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