はとちゃんの思い出（６３）「はとちゃんとたまご」その６

はとちゃんは、一生懸命たまごを
あたためています。
食事を取る以外、ずっとあたためています。

「これじゃ、疲れるだろうな」
と思っていたら
はとちゃんも同じ姿勢なので
疲れるらしく、食事の時に
少し飛び回ります。

そうして、棚の上で
「やれ、やれ、やれ、疲れたな」
というようにして、おおきく、伸びを
してから、巣に戻っていきます。

はとちゃんの思い出（６２）「はとちゃんとたまご」その５

「今回は、たまごは1個なのかな？」
と、思いながら、はとちゃんを見ていました。

はとちゃんは、すっかり母の顔で
たまごをあたためていました。

でも、そのあとも、小さな声で
ないていました。

「あれ、もう1個、たまごをうむのかな？」
と、思いながら見ていました。

1個目から、2日後です、
はとちゃんは、2個目のたまごをうみました。

「ああ、やっぱり、2個だったんだ」
そのことに納得しました。

はとちゃんの思い出（６１）「はとちゃんとたまご」その４

はとちゃんが巣の中で数日
泣いた後の朝のことです。

マンションのドアを開けると
はとちゃんが、巣の中でたまごを
抱いているようでした。

いつもなら、巣の囲いに乗って
私を出迎えてくれるのですが。

はとちゃんを刺激しないように
そっと奥のデスクにむかいました。

はとちゃんが、巣を離れたすきに
巣の中を見ると、小さなたまごが
ひとつありました。

はとちゃんの思い出（６０）「はとちゃんとたまご」その３

はとちゃんは、巣にこもって
「ぐうく、ぐうく、ぐうく」
ないています。

食事を取る以外の時間は
巣にこもりっきりになりました。

食事の帰りに、私の肩の上に
やってきて、「くうく、くうく、くうく」
いいながら、頭を首筋にこすりつけます。

でも、すぐに巣に戻っていきます。

「たまごをうむのかな？」
と、そっとのぞいてみましたが
まだ、たまごはありませんでした。