はとちゃんは、最初の巣立ちで
カラスに襲われて、瀕死の重傷を、負いました。
生死をさまよった後に
気が付いたら目の前に
私がいました。
だから、私を親だと
思っているのです。
「少し大きいなあ」
とは、思っていると思います。
私の姿をあたりまえと思っていますので
自分が「はと」だとは、思って
いないとおもいます。
「だから、こんなに甘えてくるのだと思います。
はとちゃんは、私の肩の上で
しばらく休んだ後、
棚の上か玄関の靴箱の上に
ある巣に飛んでいきます。
棚の上から、私を見降ろす
のは、自然なことです。
感心するのは、巣のふちに止まって
私を見ていることです。
「はとちゃん、はとちゃん、はとちゃん」
と、言って肩をたたくと
すぐに、肩の上に、すっとんできます。
「はとちゃんは、えらいね」
と言ってあげると
とても喜んで
肩から肩へ飛び歩きます。
「ほんとうに、はとちゃんには
わたししかいないんだなあ」
と、しみじみ思います。
肩に乗ってきた、はとちゃんを
振り向いて見ると、はとちゃんは
わたしの頬を、くちばしで
軽くつついてきます。
私が、振り向くのをやめると
はとちゃんは、つつくのをやめます。
また振り向くと、はとちゃんは
またつつき始めます。
はとちゃんは、とにかく
私のやることに、はんのうします。
はとちゃんは、窓枠で朝日に
あたりながら、眠りこけています。
私が後ろに、振り向いて
はとちゃんを見ていると
気配を感じて、目をちろっとあけます。
でも、すぐに目を閉じて寝てしまいます。
よっぽど、日の光が気持ちいいのでしょう。
しばらく、ほっておくことにしました。
すると急に肩に重みを感じました。
はとちゃんが、起きて
肩に乗ってきたのです。
はとちゃんは、正月になると
ゆったり過ごしています。
私がどこにも出かけず
ゆっくりテレビを見ているからです。
とくに「箱根駅伝」は、長時間
テレビに、くぎ付けです。
はとちゃんも、肩に乗って
観戦します。
はとちゃんは、テレビに飽きると
後ろの大きな窓際に移ります。
はとちゃんは、朝日を浴びながら
眠りこけてしまいます。
「本当に、転げ落ちてしまいそうです」