「はとちゃんの子供の頃の思い出 その１」

はとちゃんは、生後一か月の最初の
巣立ちの時に、カラスに襲われて
瀕死の重傷を負いました。

かごの中で、必死に耐えながら
2か月ぐらいで、なんとか完治しました。

かごから出た、はとちゃんは
とても小さかったです。
大人のはとの半分ちょっとぐらいでした。

それからの、はとちゃんは、母親に
甘えるように、私にひっつきぱなしでした。

私の一挙手一投足を見ながら
ついて回りました。

「熱心になってきた、はとちゃん」

外のはとは、春と秋年2回
たまごをうみます。

家の中で、かっていると2か月に1回
たまごをうむことになります。

そのせいか、はとちゃんの行動が
熱心になってきました。

玄関の靴箱の上にある巣の淵に立って
私を熱心に呼びます。
これが行くまで続きます。

私が行くと、はとちゃんは喜んで
「ぐるっく、ぐるっく、ぐるっく」
巣の中をかけまわります。

頭をなぜると「すごごん」の連発です。

背中をなぜてあげると「くうく、くうく、くうく」
もうもうもう、大喜びです。

「はとちゃんに、起される」

ひさしぶりに、うたたねをしてしまいました。

はとちゃんは、棚の上から私を見ています。
わたしがうたたねをすると、すぐにわかってしまいます。

すぐに肩の上にやってきます。
わたしの頬を、くちばしでつつきます。

それでも起きないと、デスクに降りて
けんめいにつつきます。

はとちゃんにとって、私が起きないと
大変に思っています。

やっと目をさますと、目の前に
心配そうな顔をした、はとちゃんがいました。

「熱を帯びてきた、はとちゃん」

前回の、たまごをうんでから
1月以上がたちました。

すると、はとちゃんは私の肩の上に
よく来るようになりました。

「はとちゃん、よく来るねえ。
何か用があるの？」

すると、はとちゃんは
私の耳に、くつばしを入れて
回しました。

つぎに、私の後ろ髪に、もぐって
「くうく、くうく、くうく」
なきながら、頭をこすりつけてきました。

「ひょっとして、はとちゃん。
たまごが近いの？」
はとちゃんは、何も答えずに
熱心に、繰り返していました。