黙々と雪と闘ひ吾むなし
昨夜から30cm以上の積雪だ、今日は孫達のお母さんは土曜日で仕事がお休みなので駐車場の雪かたずけを婆と一緒に雪の中黙々と流雪溝に流していた。病持ちの私は、二階の窓から二人の雪との闘いをただ見ているだけで、済まない思いと自分のむなしさを感じ取った。
祖父の打つ碁の音沈む外は雪
祖父が愛用していた碁盤を父が大切に保管してくれていたのか、古い家を壊す折に物置から祖父の碁盤が出て来た。ある時、祖父が一人で本を見ながら碁盤に向かっている姿と、碁友と真剣な顔で対決している姿が目に浮かんできた。そんなこんなで、写真の碁盤を父と同じく処分することなく座敷の片隅に置いてある。祖父は私と同様の「脳梗塞」で七十四歳で旅立った。今年の私の年と同じ年である。私が高校三年の年であった。祖父は、しんしんと雪の降る一月十七日に発病して四十七日目で帰らぬ人となった。数えると今から五十六年前の死である。もしかしたら今の進んだ医学であれば、私と同じく十年以上は生き延びたのであろうと思うことがしばしばである。