短夜の人の慈に触れ良書かな
私は宮本 輝の作品は好きである。作品は正義感が溢れていて、その上あえて難しい漢字や熟語を使わないため私みたいの非才者には本当に読みやすい。また彼の文章は流れるような精悍さが気にいっている。今読んでいる「草原の椅子」上下は2回目の読破である。あとがきに<この国のありとあらゆる事柄に腹が立つ、政治家や役人たちだけでなく、電車のなかで隣り合わせた行きずりの人や、どこかの居酒屋で近くに坐った客や、道ですれちがっただけの若者たち、はたは公園で遊んでいる幼児たちでさえ、憎しみの目を向けてしまう自分にあきれたことが幾度もあった。日本という国、日本人という民族そのものに、矜持とか品格とか品性とかが喪われてしまったことに落胆と虚しさを感じつづけていたかもしれない。>とあった。