ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

「草原の五蓄」と精神。

2009年02月22日 | ガリバー旅行記
 今日の夕刻、京都駅のあるレストランで、現在は名古屋で生活している中国、内モンゴルからの留学生B君と京都で生活しているモンゴル共和国からの留学生Tさんに久しぶりに会って、三人で会食し歓談した。

 同じモンゴル人ではあるが、B君は内モンゴル、Tさんは日本では以前は外モンゴルと称していた地域の出身なので、お互いが出会ったのは偶然2001年の春が初めてで、京都の同志社大学留学生別科という、外国人のための日本語習得コースであった。

 出会いとは本当に面白いもので、私とB君は1990年の夏に初めて、中国内蒙古自治区の克旗ダライの町で逢ったのが縁で、今に至る約20年近い友人となったのだが、Tさんとはたぶん2002年頃に同志社大学京田辺キャンパスで、彼と彼女が主宰して行った「二人のモンゴル展」が最初の出会いだったと記憶している。

 それ以来、彼も彼女も八年間に及んで日本の大学で、いろんな文化と伝統の違いを感じながらもお互い研究者としての生活をアルバイトもしながら頑張ってきた同志でもあるのだ。

 その日本に留学してきた時期がたまたま同じだったこともあって、モンゴル族としてのアイデンティティを見失うことなく、続いている友情が強くなっていることは間違いないので、今回久しぶりに京都で私も含めて再会の機会が突然やってきたわけであった。

 実は外モンゴルからやってきたTさんは今年度で日本を離れて母国であるモンゴル共和国に帰国することとなったそうで、一方のB君は今後も日本に滞在し、名古屋大学で面白い研究課題を見つけて研究生活を続けるということとなった。

 私が大変興味を覚えたのは、彼が研究テーマとして考えていることで、宗教と人間に役立つ家畜で経済的恩恵をもたらしてくれている「草原の五蓄」との関連性なのである。

 モンゴル草原にいる「五蓄」とは、牛、馬、羊、山羊、駱駝の五種の動物なのだが、騎馬民族としてジンギス・ハーンのユーラシア全域での活躍の時代と現代のモンゴル族の一番大切な動物は牛と羊に変化しているのだが、精神構造の変化でもある宗教的背景と生活の中心にある家畜に変化が顕著なことが面白いのである。

 騎馬民族としてのモンゴル族の時代は当然「馬」が一番大切な移動手段でもあり、遊牧の民としての筆頭の動物だったのだが、近代以降の定住化に伴って宗教的にはシャーマニズムから仏教的考え方に変化してきたというのである。

 つまり、簡単に言うとすれば、地、水、火、風、空などの五大を信じて移動していた時代の騎馬民族の精神は自然崇拝であり、住まいは移動式ゲル、テントだったのだが、牛、羊を中心とする経済が生活を支えだすと、固定式住居に住み、仏様をはじめとする偶像もしくは人間が創造したモノを拝む精神性へと変化しているとの、非常に興味ある考察、研究テーマなのである。

 
さて、彼が今後、名古屋大学の大学院で、このテーマをどう論文に仕上げて、博士号を取得するのかが大変面白いし期待したいと思うものである。
コメント (1)
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