ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

兄妹の後姿の写真に出会う。

2006年04月06日 | 感じたこと
 宇治に「ゆめハウス」という障害を持つ青年達の小規模作業所がある。

 私は縁あって、いつ頃からか有機八百屋ガリバーとして、この宇治橋通り商店街の入口にある彼らの作業所を土曜日の午後に訪れることが、週に一度の日課の様な楽しみとなっているのである。

 最初は社会福祉会館のお風呂掃除をしている私の友人親子を訪ねての行商だったのだが、小規模作業所として「ゆめハウス」が開設されてからは、この場所に顔を出すようになり、彼らと友達づきあいをする様になっているのである。

 たまには数名の顔見知りの通所の青年達がいない日もあり、どうも誰にも会えないと拍子抜けしたような気持ちになる程、今では「ゆめハウス」に立ち寄るのが楽しみになっているのである。

 特に出会って10年近くになる難聴のH君と、私の顔を見ると必ず「珈琲飲んだ?」と聞いてコーヒーを入れてくれるS君と出会わないと、宇治に行った気がしないのである。

 そんな心和む3時前後のおやつタイムに、ゆっくりと休憩もさせてもらっている「ゆめハウス」では、数人の通所生といつも大きな声でいろいろと話をしているのである。

 仕事のこと、テレビのこと、彼氏や彼女のこと、お母さんや指導員の方達のことなどと、特にパープルサンガ好きのH君と野球に詳しいMちゃんがいるので、サッカーや野球の話も盛り上がるのである。

 そんな会話の中からから、ひょうたんから駒の如く阪神甲子園球場のナイター観戦の企画が急遽まとまったのである。

 2ヶ月後の7月11日の広島、阪神戦を一塁アルプス席から、みんなで応援することとなったのである。

 そんなこんなで、いつも笑いが耐えない楽しいティータイムを過ごさせていただいている、「ゆめハウス」で、先週は新しい仲間の顔にも出会えたが、私はユージン・スミス氏の写真展のポスターを切り取った写真に目が留まったのである。

 暗い森の中から明るい方向に向かって、ちょっとお兄ちゃんと思われる男の子と妹みたいな女の子が手をつないで歩いて出て行く写真であった。

 「楽園への歩み」と題された世界的な写真家ユージン・スミス氏の1946年の作品らしいのだが、私には自分が二卵性の双子として生まれて2年数ヶ月経った頃の生駒山の山頂で撮られた私と双子の妹の姿とダブって見えて、この写真に魅せられてしまったのである。

 作業所の責任者である私の古くからの友人でもあるH君のお母さんに、私の印象を伝えて、この写真のポスターを譲ってほしいと所望したところ、快く安価で譲っていただけたのである。

 何事にも出会いがあり、人との出会いは人生をも大きく変えることも有るのだが、この写真との出会いも、「私に連れて行って!」とでも写真が言っているが如く私には感じられた出会いだった。

 この一枚の写真との出会いから幼き頃の自分と妹、そして写真には写ってはいないが両親や周囲の時代的風景をもイメージすることが出来る程、写真は力と表現力を持っているのである。

 ユージン・スミスと言うアメリカの写真家が何処でこの光景をキャッチして撮影したのかは全く知らないが、日本では戦後直後の貧しい時代に新しい「楽園を目指して歩く幼い兄妹」の後ろ姿は、光輝く希望と未知への強い意志が感じられて、現代を生きる私達にも力強いメッセージを秘めているのである。

 一枚の写真に素直に出会えた喜びに感謝する。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする