「松風庵日記」 心はいつもお茶日和  

後半の人生の楽しみ方見つけましょう!

手向山香合と徳風棗

2012年10月08日 | お茶三昧

10月に楽しめる道具に、
「手向山香合」と「徳風棗」があります。



紅葉が秋の深まりを感じさせる「手向山」は、
百人一首にある菅原道真の歌から名前が由来しています。

  
  このたびは 幣も取りあへず 手向(たむけ)山
       
             紅葉(もみぢ)の錦 神のまにまに


簡単に意味を添えると、

「今回の旅は急のことだったので、神に捧げる幣(ぬさ)も用意する
 ことができませんでした。代わりに手向けの山の紅葉を捧げますので、
神よどうか御心のままにお受け取りください。」

ということです。

この香合に、寄香など入れて、
爽やかな風の流れる中での炭手前もいいですね。




「徳風棗」は、歌ではなく「論語」から名前が付けられています。

 「・・・君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草之に風を上うれば、必ず偃す。」

意味は、
「上に立つ者の徳は喩えてみれば風のようなものであり、下にある人民の徳は草のようなものです。
善い風を吹きかければ善い方になびき、悪い風を吹きかければ悪い方になびくものです」

蓋の文字は一粒の籾が万粒になるように、
徳の風を吹きわたらせましょうということでしょうか。
蓋裏には九つの籾が描かれています。
九は、一番大きな陽の数字ということで、必ず籾は九つありますよ。

このように、道具の名前のいわれをたどる時、
もう少し若い時に古典や、漢文に親しんでいればよかった・・と思います。
お茶をよりも楽しむためにも。

お若い皆さん、今のうちですよ。

 

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