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まほろばの泉

亜細亜人、孫景文の交遊録にある酔譚、清談、独語、粋話など、人の吐息が感じられる無名でかつ有力な残像集です

「五寒」に観る、国家衰亡を止める法則 08,12再

2025-09-10 15:33:02 | Weblog

 

 

 

 

清朝末の哲人、梁巨川(桂林出身)の「一読書人の節操」に編者である景嘉氏はこう記している。

「人が人でなくて、どうして国家が国家として成りえようか・・」と。

中国の歴史にみる栄枯盛衰は、夫々の機会ごとに人間の所作を記している。歴史に問われる臨場の真贋を四角四面に探索することもあれば、天空から眺める楽しみもある。それは合理的考察と思える学び、あるいはアカデミックと称する唯一の向学観念だけではは感受することのない 「腑におちる」覚り方でもある。

だが、近代の学制はそれらを集積しながら知識の応用とする上で有効な「人間学」として顧みることは無かった。とくに主義なるものが食い扶持方法まで支配すると知学修得が滞貨となり、利学に伴って詐学、錯学まがいの分野まで広がった。

 



                
                  桂林近郊

いや、そのものを思索したり観照したりするスベもなく、あるいは明治以降の官制学に見る科目、課題にも表れる事も無く、まるで捨てられたカリキュラムの如く忌諱され、あることも知らない状態が続いているようだ。

コラムに記した「五寒」「四患」あるいは荀子の「衰亡の徴」など、およそ官製の学び舎の授業には登場することはない。



               



知をステータスとした教師や知識人が従前よりメジャーといわれた「論語」を代表とする「経書」、つまり経文の如く普遍ではあるが、活学や肉体化、躍動突破といった実利応用であるべきものが乏しい単純知学に陥り、人の師と成るべき感動によって「伝書」とすべきものが、経師に陥り人の師としての「人師」が見当たらなくなった。

それは、すべからず食い扶持学に堕してしまった教師や売文の輩、言論貴族を代表として名を有とする(有名)知識人によって「人師」の在り様そのものが意味不明になってしまった為だと考える。

外国の顕彰に取り上げられた四人の老齢なる日本人は世俗においては皆、無名だった。

これとは逆に外国顕彰を欲しがる政治家、宗教家、文筆家が日本に散見する。
あるものは財を用とし、権や人脈を用とするものもいる。


                

     右上 佐藤慎一郎氏 前列右 頭山満氏 左 末永節氏



翻ってスメラギの威は所有することを拒み調和と連帯を使命としてその威を高めている。それは邦人に風を以て示す人格の具現であり、民族はそれを人の姿の倣いとして矜持を涵養してきた。

明治を語り、日本人を著すモノ書きは世界的有名な隣国の書評家に数多の願文を送っている。書評家は他の有名モノ書きから届けられた手紙の束を指し示して立場を誇示していたが、母国の特務工作員であるとはモノ書き連中は判らない。

知識人の堕落によって国が滅ぶことは歴史に多く標されている。
交渉人「説家」もその例だろう。           

それらはコラム「昇官発財」に多くを記した。
智は大偽を生じ、利は智を昏からしむ、それらは知識人に向けられている。
地位は下から二番目と蔑まれた「九儒」、毛沢東は口先、阿諛迎合の知識人を「臭九老」と蔑んでいる。

繁栄期には百家争鳴の如く知の職が騒がしいが、度を越した繁栄の後には知学の出番は無い。これからは宗職や警職、軍職が頭をもたげて来るだろう。

まさに政治のピント(焦点)がはずれ、カオスになったエネルギーは内から外に向かい、夫々の洞察は放埓した群れにまぎれ「人」の特徴が用を為さなくなり、それゆえリーダー像の描き方を欲望の到達度によって測るようになり、現世利益と対処に長けた女性の行動感性が研ぎ澄まされるようになる。



              



「五寒」に説く現象はそのような状態に警鐘を与えているのだ。

ならば戻る所を模索すべきだろう。
昨今騒がれている歴史検証の時点ではなく、人は童心に問い、社会は連帯と調和のために自制と倹約を促し、国家はそれが程よくプロデュースされていた期を顧みることだ。

そして無条件に身を献じて目標を指し示す人物を探して添うことだ。

複雑ではあるが、民族の長(おさ)や、人をみる「観人」の則なり座標を記す意味はそこにある。

 

 

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