子供たちは幼稚園から常に手を洗うことを習慣としている。日本以上に健康生活には敏感である。
台北市 中山記念小学校
2024 9月25日
台湾は日本からの輸入農産物の全面解禁を決定した。
本稿
30 7/25
「日本産食品の解禁を問う」台湾11月に住民投票
野党国民党は消費者の不安を煽り、解禁を目指す政権を攻撃してきた。
国民党は、政権が日本の機嫌を取って核被災食品の解禁をしようとしていると攻撃。
どちらの側に立つものではない。また与野党の政治的目的から離れて以下に記した。
2017 02/9 の掲載
先日、台湾外交部関係の高官と食事を共にしながら懇談した。
それは青森県平川市で行われた台湾シンポジューム招請の返礼の意もあった。
場所は都内のホテル内の飯店、円席を共にしたのが某高官と秘書官である。
その高官は我が国のキャリア官吏の様子とは異なり、外交官らしく直感と俯瞰力に優れた人物である。
時節の話題としてリラックスした会話だった。
南方の緋桜 東御苑
以下、「フォーカス台湾」より参照転載
台湾、輸入する日本食品への非被曝証明などの添付 6月にも義務化へ【社会】 2015/03/25 19:20
(台北 25日 中央社)衛生福利部は25日、安全性確保のため、日本から輸入される全ての食品を対象とした産地証明書および一部の食品に対する放射能検査証明書の添付を、6月にも義務化すると発表した。
同部は昨年10月末、添付を義務化する措置の草案を発表していたが実施には至っていなかった。だが、24日に東日本大震災直後から輸入が規制されている福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県で生産された食品の一部が、産地を偽装して販売されていたことが発覚したため、早期実施を求める声が噴出した。
野党・民進党の林淑芬立法委員(国会議員)らは、日本側の圧力により実施が大幅に遅れたことが今回の事態につながったとして同部を批判。これを受け衛生福利部は、2週間以内に義務化について公告すると回答している。
輸入が禁止されている食品が流通した問題については、現在までに規定値を超える放射性物質が検出された報告は入っていない。また、同部の蒋丙煌部長は25日、輸入規制の撤廃を検討していると明かしている。
(龍珮寧/編集:杉野浩司)≫
台湾は冷静さを保ちつつも、日本人業者が行った産地ラベル偽装(偽ラベルの重ね貼り)の刑事的事件の処置および再発防止を要求した。(放射能汚染の禁輸は国際基準に基づく処置)
林農水大臣は「台湾の処置はおかしい」と抗議。
震災時の交流経緯から、日本国内では「まずは偽装を謝るべき」「情けない」「恩を仇で返すのか」「日本人の恥」など声が噴出した。
以前、産地偽装表示の問題で千葉県に足を運び、かつ台湾国会議員の森田千葉県知事との会談をセッティングして、事は収束したかに見えたが、ここにきて食品衛生部より日本からの輸入品すべてに産地証明を義務づける通達が出たため、政治問題化していとのこと。
筆者は専門家ではないので、状況の概略と現地消費者の動向を伺い、セシューム風評時の青森県産リンゴの輸入停止時の状況と当時の対応をお伝えした。
違うのは風評による停止と偽装表示の違いだが、いずれも福島原発から排出した放射能の問題として同じ根から出ていることだ。今回は産地偽装とこれに行政の対応遅延という不信感が重なって政治問題化した。
https://www.ys-consulting.com.tw/news/57615.html 現地報道
以下は筆者と高官の会話です
「リンゴ輸出の大部分を台湾向けで占めているあの時の青森の状況ですが、県や自治体が正式国交のない台湾の機関に働きかけをしたが、私は「風評は消費者の声なので台湾当局としての働き効果は限定している。まして口に入るものは政府が大丈夫だと国民には保証できない。まさに風のごとく流れる感情だから、関係する地方自治体は現地に飛び、市場調査を行うべきだ。そしてバイヤー任せで売るばかりではなく、マンゴーに代表される台湾農産物とバーターすることです。また不信感から生ずる風評を起こさないために積極的住民交流を行なったらよいでしょう」と伝え、その交流調整を代表處へご依頼もしました。その後、様々な交流が活発に行われているのは御承知のとおりです」
A「私どもも招請していただき自治体交流にも参加して台日交流も活発になっています。
これからも人と物の交流は盛んになりますが、そのためには政策関係者だけではなく、互いの市民が国情を照らして食品などの安全基準の普遍的理解を深める必要があります。とくに日本製品の安全性や技術に裏打ちされた信頼度は台湾のみならず世界のブランド化されています。それは勤勉・正直。礼儀。忍耐の徳性で培った人の信頼性が基となっています。
今回の問題は多くの日本製品を求め、また購買力の高い層の市民から出てきた疑問なのです。また、これに対する処置は台湾だけの基準ではなく、国際基準なのです。そのことは日本の皆さまも理解するはずです。市場には日本のみならず多くの国々から同種の製品が輸入されます。量からすれば日本製品の数倍、数十倍に及びますが、とくに日本品を求める層は高価でブランド力に安全性を求めています。決して過度のことではなく、国際基準に照らしてクリアーできる選別力、安全性、製品管理を認めているからです。
また、この層の市民は政治力も大きいこともあります。「問題があって高ければ買わなくてもよい」ことではなく、日本の生産者がつくる適合した製品を求めたいから声を上げるのです。期待もできるし、クリアーできる能力が日本人にはあることも知っているユーザーなのです。また、この方々の声を中心にして東日本の被災については我が事のように悲しみもできる限りの義志(volunteer)を行ないました。
そして、徐々にですが被災地の復興を歓び、かつ期待しています。
今回の問題がなんら台湾と日本の関係に影を落とすものではないと信じていますし、私も交渉窓口として目の回る、いやゆっくり寝ることのできない日程を過ごしています。」
同伴の秘書官も「昨日は一時間しか寝ていません、今日も朝から、この食事の時間は心の問題として、たいへんくつろげます」
A「政府と市民、そして外交の問題となり、日本も当局者と生産者、そして台湾同様の国民感情になっています。そのことで政治的風評も市民の間で騒がれています」
「先の代表(大使にあたる)も良くマスコミに寄稿していましたね」
A「もと、ジャーナリスト関係ということもありますが、正式には日本の新聞は台湾代表のコメント記事は載せないことが多いようです。大きく出るのは観光や国慶祝宴などのPR記事です。位置づけは中国総局の台湾支局という扱いです。ご存知のように台北駐日経済文化代表處の外交部の機関の亜東関係協会に属します。日本側は交流協会台北事務所として各種の調整を図っています」
「そういえば、園遊会で陛下と代表がお話しされていましたね」
A「本来は話しかけてはいけないのがルールです。あの時は代表が『台湾代表の馮寄台です』とお声を掛けたのです。すると陛下は代表に国民の声としてお礼を述べています。面白いことがあって皇后陛下が英語で代表夫人に声を掛けられました。米国企業の台湾重役である夫人は、それを英語では応えず、緊張して日本語で応答していました」
「あのシーンでは陛下が日本人を代表して感謝を述べたことに、安堵しました。その前の慰霊祭で台湾代表を他の援助国の席ではなく、一般席と同じ二階席に案内したことに国民は、゛友邦に対して礼がない゛と怒っていましたので、国民の溜飲が下がった思いがしました」
馮代表
A「その馮代表のエピソードで台湾の民主主義の受け取り方で逸話があります。代表を辞めて民間人として米国の会議に出たときのことです。空港カウンターで搭乗機のチケットがダブルブッキング。そのとき代替え機を頼んだら『できません』。上司に連絡依頼すると航空会社のリストと時刻表を見せられ『ここから選んで手続きをしてください。アナタにできることはそれだけです』今までは代表ですよ。しかも馬総統の友人です。日本の航空会社ならクラス上の席が空いていればお詫びを言って搭乗させてくれます。監督官庁の職員や高名な議員なら気が付けばワンクラス上もあるかもしれません」
「政府と国民の関係や間(ま)の取り方は法のもとに厳格さを求められますが、ナルホドと思っても、馮代表の心中は複雑ですね。とくに日本滞在経験の慣習をみたら首をひねりますよ」
A「続きがあります。やっとのおもいで米国に着いたのは夜も遅く、急いでホテルに向かいました。ホテルカウンターで事情を話し予約を確認すると『到着が遅れたので別の客を入れました』苦情を言うと『私がアナタにできることはこれだけです』と空港カウンターと同じ応答だった。『シャワーを浴びたい』というと、プールわきのシャワー小屋を教えてくれた。
この顛末を米在住の弟さんに話したら、『この国はそれが当たり前ですよ』といわれ、さすがの国際人であり台湾の知識人の馮元代表も嘆息していました」
後藤は赴任後、不作為、遅延がおびただしかった日本人不良官吏を内地に召喚して、無名だが気鋭な若手官吏を登用した。先ずは住民の健康を考慮した防疫、医療、くわえて教育の充実だった。
その政策は浸透して清潔簡便な営みが住民の慣習となった。
つまり、いま後藤が台湾にいたらもっと厳しい処置を内地(日本本土)に課していただろう。
そのくらい厳しい気概があったからこそ今の発展基盤がつくられたといって過言ではない
「それを考えると風評や政策の齟齬や遅漏を日本のように大手の新聞社記者クラブを総動員して宣伝したり、あるいは記事にしなかったりしても効き目がないほど市民感覚は鋭くなっているようです。その感覚が判らないと日本の生産者は偽装しても政府に働きかけて台湾の当局者に便宜を企図しても、こと健康のことは市民も政府の言うことをそのまま聞くはずはないですよ。その意味で自治体には市場調査と民情観察を促したわけです」
A「このことは政府と市民の力関係とか統治力の問題ではなく、民主主義に関する市民の受け取り方が問題になってきます。馮代表の逸話ではないですが『いまアナタにできることはそれだけです』の状況ですが、その関係が日本のように市や県や政府に依頼しても国内問題なら済むかもしれませんが、国外の問題では解決をより難しくさせます。
ですから、この台湾の市民の苦情というより、日本への提案として「国際基準の順守」を言っているのです。これは圧力でも台湾政府の国民への対応不能でもなく、かえって日本の国際競争力や製品管理の向上に役立てられる提案なのです。」
「日本政府も騒ぎを大きくしたくないとか、対応遅延を批判されたくない。あるいは放射能問題を起こしたくないという現場の不作為や先延ばしもなかったとは言えません。
今回のことは台湾の消費者にお詫びすべきことであり、不謹慎かもしれませんが、かえって台湾でよかったと思います。単なる輸出禁止ではなく、国際基準に沿って市民が歓迎する日本製品を潤沢に輸入したいとする心温まる提言なのです。
いっとき、液晶はメーカーではなく工場の立地場所で亀山モデルがありました。和牛も近江や但馬もあります。リンゴは青森です。ブラジルでは日本人の栽培で陛下が訪問時に『日本と味も香りも同じようですね』と感想をお応えしたリンゴがあります。何よりも安い。
でも、台湾では日本の津軽リンゴは愛好者が多い。国交がない自治体交流ですが、ここは国産基準を難しいことと思わず、また風評と看過せず、中身の伴った外交儀礼を学ぶよい機会かと思います。それが津輕なら国内外における真の誇りの魅せ方なのでしょう」
A「そのような理解はより底辺の広い交流が図れます。政府間はいろいろな事情がありますが、人の人情と心の方向は同じです。私の娘も日本の歴史にハマってしまい新選組や幕末に興味があります。ほかの勉強が疎かになるのが母親として心配です」
地方自治交流 青森県平川市(台中市と友好交流)
「いゃ、歴史は時空を超えた俯瞰力を養います。また人物に興味を持つことは数値選別に弄ばれたような価値観とは違う感性を浸透させます。それを基とすれば知識や技術も活かされます。台湾の繁栄もそのような感性を持った人物によって支えられ発展したものだと思います。何よりも異なることを恐れない、そして台湾の国民に浸透している義志や義行というボランティア精神がそれに添った社会づくりです。お嬢さんは心配ありません。アナタと一緒で直観力や俯瞰力、そして許容力(寛容)をいま養っている世代としても好機のようです」
A「どうしても言ってしまう(娘さんに)。でもその観点は学校教育にはない部分ですね」
「その意味では、生産性や利潤を追い求める効率的経営のなかで起きた今回の問題です。考え方によっては正式国交がないからこそ地方自治体にとっては世界を知り、真の繁栄価値を知り、じかに消費者の心情を知る好機です。
いろいろとネガティブな意見もありますが、先ずは足元を見て、かつ自分に置き換えて素直に現象に向き合うべきです。
それは棲み分けられた地域においても人々が信じ合い助け合う協働の心にもなります。日本でも官と民との問題がありますが、地方では依頼関係があります。今までは人情に基づいた無謬性を信頼する関係でしたが、さっきの馮代表の逸話と弟さんの言葉にデモクラシーの行く末をみたようにも思います。でも今回の台湾政府の要求は市民の提言として教えていただいたように思います。信じ合える、困った時に助け合える友の忠告は有り難く甘受するのが日本人の応えであるべきです。こちらの逸話ですが、日本の若者が台湾に旅行に行って行儀が悪かったのを台湾のオバサンが咎めた、『昔の日本人ならそんな行儀の悪いことはしなかった』
じつは私も一度怒られたくて行くのですが、まだその機会?に恵まれてはいません」
A「今日は○○(秘書官)とも楽しみにしていました。こんど家もこの近所なので遊びに来てください」
「昨日は一時間くらいしか寝ていないと聴きましたが、○○さんの調整に期待がかかると身体か心配です。はやくゆっくりお休みになれるように願っています。外交官は応答直観力と許容量が肝心ですが、○○さんはその能力に溢れている。その点は心配していませんよ」
A「次回はもっとゆっくりしましょう」
国内消費者者ともかく、海外に「分らないだろう」と偽装商品を輸出する心が日本人として悲しいことだ
日本人を信頼する台湾の人たちも、その日本人の変化が辛く悲しいのだ。
国内消費でもラベル偽装やブランド地域に輸送してそこで梱包して送る「…産」も多いようだが、食べ物はともかく、日本人の劣化が激しい。それも、みな金儲けだ。今までは嘲笑していたどこかの国とその点では同化傾向にあるようだ。
今回の問題に際して丁度、符合したように台湾外交部の俊英が調整に臨んでいる。
なんというめぐり合わせなのだろう。
どことなく飯店からでる姿に凛とした雰囲気をあった。
「人情は国法より重し」
これも縁と清談の妙なのだろう。