A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

DCPRG@新木場 Studio Coast 2012.4.12 (thu)

2012年04月14日 00時25分08秒 | 素晴らしき変態音楽



「Ron Zacapa presents DCPRG」
出演:DCPRG, [GUEST] Simi Lab, 兎眠りおん, 大谷能生, [Opening Act] Killer Smells

先日このブログで最新作「SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA」を取り上げ"このアルバムはヒップホップ・アルバムではない"と書いたが、その後雑誌やネットでの菊地成孔氏のインタビューを読むと、彼が長年のヒップホップ/ラップ・ファンであり、いつかはヒップホップ的な作品を制作したいと思い続けていたことが語られている。インパルスからの初スタジオ・アルバムを制作するにあたってその野望を実現させた。最初その意図をレコード会社に伝えたところディレクターがいきなりコモンに連絡を取ったらしく菊地氏はひっくり返ったという。コモンは日程的にNGになり、それならばと共演を打診したのが神奈川・相模原を中心に活動を広げる20代の流動的不定形クルー「Simi Lab」だった。彼らが昨年リリースした作品はヒップホップ界で高く評価され話題になり、菊地氏もこのユニットに惚れ込み自分のラジオ番組でも何度も紹介したらしい。

そんな訳でSimi Labのパフォーマンスも観られるこのライヴがとても楽しみだった。新木場までは少し時間がかかるのでStudio Coastへ着いた時にはOAのKiller Smellは終わっており、Simi Labの最後の2曲が聴けた。2400人収容の会場はほぼ満員。年齢的には20~30代中心。Simi Lab人気も相当なもので女性を含む4人のラッパーの煽りに反応して腕を振り上げたり歓声が起ったり盛り上がっている。前も書いたようにこのジャンルは個人的にまったく守備範囲外なので下手なことを書くと馬脚を現すことを承知の上で感想を言えば「これの何処が新しいんだろう」というのが正直なところ。25年前にRUN D.M.C.の初来日公演を観たが、音楽的には何にも進化していない気がした。確かに4人のマイク回しやライムの踏み方は熟れたものだが、世代的に共感出来ないのか感性が衰えたせいか、私には魅力は理解出来ない。こればっかりは申し訳ないがお許し願いたい。



Simi Labが退場するとまもなくDCPRGのメンバーがぞろぞろ登場。客席も含めステージ全体を観たかったので2階席へ移動。類家心平氏のリバーブを目一杯かけたトランペット・ソロが延々と続く新作収録の「殺陣」からスタート。これは馴染みの世界。ふたりのドラマーとパーカッションが複雑なポリリズムを叩き出し、キーボードや管楽器がアブストラクトなフレーズを重ねる。大村孝佳氏のギターはやはり白眉。ギターの早弾きには殆ど興味はないが大村氏の駆け巡る高速フレーズには抵抗出来ない。そんな中かろうじてアリガス氏のダブ風の重いベースが反復メロディでグルーヴを産み出す。CDレビューで"このリズムじゃ踊れない"と書いたが観客はベースのビートに合わせてうねるように踊っている。私の隣の若い女性はピョンピョン飛び跳ねながら観ている。今の若者はこれで踊るんだ、と妙に感心。菊地氏も変則的なビートの上で手拍子をして客を煽る。演奏の展開が変わるごとに大きな歓声が上がる。ステージと観客が一体となって盛り上がるステージを観ているうちに渋さ知らズを思い出した。渋さがお囃子や舞踏など日本的な要素を取り入れお祭り騒ぎを創出するのに対しDCPRGはクラブ仕込みのエレクトロニックなサウンドで客を踊らせる。サウンドの感触は異なれど目指す世界が似ているのは事実だと思う。しかもキャパ2000人のスタンディングのホールを満員にするジャズ・バンドはこの2者以外に思いつかない。あ、ジャズじゃないけどROVOもいるか。

「Catch 22」ではJAZZ DOMMUNISTERSこと大谷能生氏がラップで参加し、噂のヴォーカロイド兎眠りおんの歌を菊地氏がCDJで操作、さらに自らマイクを握ってラップを聴かせる。歌詞を書いた紙を唄い終わるごとに丸めて客席に投げ込むのが可笑しい。「Microphone Tyson」「Uncommon Unremix 」ではSimi Labの4人が参加。DCPRGの演奏をバックにしたラップは単独の演奏とは打って変わってエキサイティングで面白かった。「Duran」ではCDJでAmiri Baraka氏の演説を重ねる。Baraka氏がLeroi Jones氏と同一人物であることを知り驚く。Leroi Jones氏は60年代アメリカン・カウンターカルチャーを代表する詩人/作家で、確かESPレーベルからレコードを出していた筈。今でも存命でDCPRGのレコーディング時には本人から許可が来ないまま音源を使用、CDが完成した頃にBaraka氏から「使ってくれてありがとう」という許可が届いたけど本人は聴いていないだろう(笑)と菊地氏。

アンコールで「こんな辺鄙なところまで高いお金を払って観に来てくれてありがとう。でもその価値はあったでしょ」とMCしてSimi Labの曲とDCPRGの曲をマッシュアップ。この共演が産み出す化学反応は素晴らしいものだった。



<Set List>
01. 殺陣 / Tate Contact & Solo Dancers
02. Plamate At Hanoi
03. Circle / Line
04. Catch 22 feat. JAZZ DOMMUNISTERS & 兎眠りおん
05. Microphone Tyson feat. SIMI LAB
06. Uncommon Unremix feat. SIMI LAB
07. Structure I - La Sructure de la Magie Moderne
08. Duran feat. "DOPE"(78) by AMIRI BARAKA
-Encore-
09. Mirror Balls feat. SIMI LAB / The Blues

とは言えど
やっぱり分からぬ
ヒップホップ

Twitterに「DCPRGの物販でミュージックマガジン売ってて笑ったw」というツィートがあり吹いた。
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湯浅湾/Hair Stylistics@渋谷O-Nest 2012.4.10 (tue)

2012年04月12日 00時37分57秒 | 素晴らしき変態音楽


湯浅湾ミニ・アルバム『砂潮(さごしお)』発売記念春のツアー 陸の飛び魚

評論家の湯浅学氏率いるロック・バンド湯浅湾のレコ発イベント。彼らはHair Stylisticsと同じく爆音映画祭で知られる企画事務所boidに所属していることもあり、何度かライヴを観たことがある。ご存知の方も多いと思うが湯浅氏は幻の名盤解放同盟としてユニークな音源の発掘/紹介をする音楽評論家として知られる。バンド・メンバーは湯浅氏(vo,g)、牧野琢磨氏(g/New Residential Quarters:略称NRQ)、松村正人氏(b/『スタジオ・ボイス』編集長・奄美出身)、山口元輝氏(ds/Shing02バンド)の4人。1997年にデビューし今まで3作のアルバムをリリース。今回は4曲入ミニ・アルバム「砂潮」の発売記念ツアーで、大阪、名古屋、四日市と周りこの日が最終日。ゲストにHair Stylisticsが出演することもあり興味を惹かれる。

開場と同時に入場するとステージで中原氏がセッティング中。シンセのACアダプターを忘れた、と焦っている様子。中原氏はいつもこの調子だ。会場には15脚ほど椅子が並べてあり、ステージ下手の椅子を確保。最初はパラパラだった観客も開演時間が近づくと6割ほどの入りでいい感じになった。男女半々サブカル好きそうな客層。ヘアスタがオープニングだと思っていたら、湯浅湾のメンバーがぞろぞろとステージに登場。「あとで中原君が出てきたりしますから」との湯浅氏のMCで共演するんだな、と理解。湯浅氏はブラック・ミュージックから歌謡曲、コリアン音楽、裸のラリーズまで幅広い音楽に精通しているが、バンドのサウンドは基本的にはっぴぃえんどの流れを汲むフォーキーなメロディに牧野氏の流麗なギターが加わるというスタイル。「歯の生えたケツの穴」「猿に似たおばさん」「豚は悪くない」などの曲名や独特な歌詞の世界は正直言ってあまり理解できないが、好きな人には堪らないのだろう、かなり大きな歓声が上がる。曲間の飾り気の全くない湯浅氏のMCやステージ上でメンバー同士で次の曲なんだっけと確認しあうユルさがなんだかアレだが、曲調や目指す世界は悪くない。特にジェファーソン・エアプレインのヨーマ・コーコネンやクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスのジョン・シポリーナを髣髴させる牧野氏のサイケデリックなギター・プレイにはいつも惚れ惚れしてしまう。50分ほどして中原氏が加わりバンド・サウンドに奇怪な電子音を加える。スプーキー・トゥースとピエール・アンリの共演を思わせる演奏が20分に亘り続いた。

これで第1部が終わりバンドはそこで退場するが中原氏はそのままステージに残りHair Stylisticsとしてのソロ演奏に突入。最近は狭いギャラリーでの演奏だけだったから立派な音響システムで奏でられる大音響に陶酔。新規購入したシンセも大活躍でジャーマン・トランス的なドローンから激しいハーシュ・ノイズへと表情が変わるサウンドが気持ち良かった。約20分の演奏。



休みなく湯浅湾のメンバーが登場し、第2部が始まる。今度も1時間ほどのバンド演奏に続きリボン・シンセを片手に中原氏が参加、共演を繰り広げる。アンコールも含め2時間半ノン・ストップの長尺ライヴだった。演奏後中原氏は「あまり上手くいかなかった」と嘆いていたが、彼の嘆きはいつものこと、なかなか楽しいライヴだった。



ヘアスタと
サイケ・ギターの
果たしあい

湯浅湾は6月までライヴがないそうだ。ヘアスタは4/28六本木Super Deluxeでの「dEnOISE 4」に狂うクルーとの共演で出演する。

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「ジャズ非常階段」~非常階段 featuring 坂田明、豊住芳三郎@新宿ピットイン 2012.4.9 (mon)

2012年04月11日 01時04分03秒 | 素晴らしき変態音楽


非常階段が新宿ピットインに初出演、しかもゲストが坂田明さんと豊住芳三郎(SABU)さん、というニュースを知ったのは1月頃だった。坂田さんのライヴを観に行った時フライヤーかピットイン情報紙で知ったのである。2009年非常階段が難波ベアーズで坂田さんと共演したことは知っていたし(非常階段本に写真が載っている)、同年新大久保Earthdomで豊住さんと共演した映像はYouTubeに上がっている。しかし今回はジャズの殿堂ピットインである。非常階段のライヴを観た人ならお分かりの通り、それは"演奏を観る"だけのものではない。JOJO広重さんを中心にメンバーが観客を煽り、正に暴動寸前の混沌を巻き起こすひとつの"体験/儀式"である。私が一番最近彼らを観たのは2011年4月30日六本木Super Deluxe。広重さん自身が事前にTwitterで「渋谷HMV閉店イベントの時の混乱の再現を」と煽っていたそのライヴは文字通り演奏者と観客が入り混じってのカオスだった。メンバーと客の乱闘騒ぎも起きた。私は美川さんの真横という"安全地帯"に身を置きその一部始終をiPhoneで撮影した。YouTubeのアカウントが削除されたためその動画はYouTubeにはないが幸いにもPCにデータが残っており、時々観返しては混沌の美を反芻している。

そんな非常階段がピットインという伝統あるジャズ・クラブでどんなパフォーマンスを繰り広げるのか。ファンじゃなくても気になるところである。この日のピットインは普段のジャズ・ライヴでは見かけない今風のファッションの若者と坂田さんとSABUさんファンの年配客が半々、しかも90%が男性という異様な雰囲気。友人と「今日はコサカイさんはステージダイヴするかなぁ」「ステージが低いからダイヴは無理だけど客席乱入くらいはするかもね」という会話を交わす。自分が被害者になるとはつゆ知らず。このライヴのチケット発売日をしっかりメモっていたのだが当日すっかり忘れていて遅れて予約をしたので最前列は取れず3列目を確保。立ち見席も満員でトータル160人を超える動員だったそうだ。

広重さんが登場し「今日は真面目に演奏します」と宣言。1st Setはメンバーを入れ替えてのトリオ・セッションが4組。まずは広重+美川+SABUトリオ。広重の「おりゃー!」という気合いと共に炸裂するノイズ演奏。SABUさんもパワフルに叩きまくりJAZZ非常階段の"JAZZ"は単に"@ピットイン"という意味だったと理解する。トリオなので各メンバーの音がよく聴き取れる。広重さんも美川さんも単なるノイズではない表情豊かな音を出していることを思い知る。続いてJUNKO+コサカイ+SABUのトリオ。JUNKOさんの金切り声でスタート。コサカイ氏はアコギを使用。彼は自分のバンド宇宙エンジンではvo&g担当である。SABUさんとコサカイ氏のデュオだったら高柳昌行+富樫雅彦風のフリー・インプロに聴こえたかもしれないがそれをぶち壊しノイズ化するJUNKOさんの悲鳴の凄まじさ。座って落ち着いて聴いているのでそんな冷静な分析をしてしまう。3番目は美川+コサカイ+坂田というインキャパシタンツ+サックスのトリオ。以前菊地成孔氏と中原昌也氏の共演を聴いて、エレクトロ・ノイズとサックスの親和性に気付いたが、今回は坂田さんのアルトがノイズの音域に近いのでより破壊的な音響が耳を突き刺す。基本的に機械的な指先の演奏(インキャパのふたりは全身を使っているが)である電子音と肉体性の発露である管楽器という演奏方法の正反対の楽器が同じようなノイズを発しあうところが面白い。1st Setで個人的に一番面白かったのがこのトリオだった。最後は広重+JUNKO+坂田のトリオ。坂田さんはクラリネットを演奏。JUNKOさんの叫びが白石民夫さんのサックスのフリークトーンを思わせる。広重さんはいつものノイズ・ギターだが最初のトリオほど混沌としておらず、組み合わせが変わるとこうも印象が変わるものだ、と感心した。ここで15分の休憩。2nd setの集団演奏への期待が高まる。

照明が暗転しステージに全員が登場。広重氏の気合いの合図で一斉に全力の騒音を奏でる。先ほどのトリオとは異なり全ての音が団子状になって襲いかかる爆音大会。勿論会場が会場なだけにいつもの非常階段に比べれば耳に優しい音量であるが、テンションが非常に高くそれが一瞬ともだれることなく継続する。時にサックスが、時にJUNKOさんのシャウトが、時に電子音が、と立ち上がる音響が変化するのが面白い。それにしても凄いのがSABUさんのドラムだ。69歳という年齢を全く感じさせないパワフルなスネアの連打に客席から歓声が上がる。坂田さんもずっと全力で吹き続け、遂にはマイクを掴んで怒声でシャウト。観客席でも我慢できず立ちあがって激しく身体をくねらす人の姿がちらほら。この演奏を前に大人しく座っているのはある意味拷問かもしれない。ハイテンションな演奏が30分くらい過ぎたところでコサカイ氏が動いた。それまでも何度かエフェクターを並べたテーブルの前から移動しようという素振りを見せていたので「いよいよ来るな~」と身構えていたところだった。ステージ右手から通路に乱入。そしてよりによって私の上にいきなりダイヴ。来た!と思った時には目の前にコサカイ氏の巨体が降ってきた。座ったままでダイヴを受け止めるのは至難の業である。何が何だかわからないところへ興奮した客が便乗して折り重なる。ピットインの3列目がこんな危険地帯だとは思わなかった(w。しかしピットインで演奏者の肉体の下敷きになるという有り得ない体験が出来たことはちょっと誇らしくもある。コサカイ氏はステージへ戻ると自分のエフェクター・テーブルを投げ飛ばし破壊。こりゃ若干音量が小さくお客が座っているだけでいつもの非常階段の演奏と変わらない。40分の演奏が終わるとピットインとは思えない野太い大歓声。メンバーがステージを去って客電が点きBGMが流れても止まないアンコールの拍手は、ピットインの店長が「もう終わりです。アンコールはやりません」と叫ぶまで5分以上続いた。会場を後にするお客さんはみんな満足そうな笑顔に溢れていた。ピットイン史上間違いなく最も過激で最高の混沌だったに違いない。



楽屋に顔を出すと坂田さん、広重さん、JUNKOさんが楽しそうに談笑中。坂田さんに「吹き続けで大丈夫でしたか」と聴いたら、にこにこして「ずっと吹かしてくれるから気持ちいい。こんなバンドは非常階段だけだよ。他の人は大人だから途中で止めちゃうからね」と坂田さん。ということは非常階段も坂田さんもSABUさんもみんなガキってこと?いやはや参りました。

ジャンル超え
全て備えた
ノイズ帝王

この日の演奏はレコーディングされCDでリリースされる予定というから観れなかった人もお楽しみに。本当はDVDを出してほしいところだが。
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山本精一 弾き語り@渋谷 Bar Isshee 2012.4.8 (sun)

2012年04月10日 00時48分22秒 | 素晴らしき変態音楽


山本精一・渋谷Bar Isshee3ヶ月連続ライヴの2回目。
前回は「完全ギターインプロヴィゼーション」だったが今回は「弾き語り90分」完全予約制。山本氏は何作か弾き語りのソロ・アルバムを出しておりそのファンが多いので、第1回以上の早さで予約完了になったという。今回は山本氏の意向で予約なしの当日来たお客さんも入れることになったので、開場30分前でBar Issheeのある4階から2階まで階段に長い列が出来た。こんなに入りきるのかなと思ったが、何とかしたらしい。ただし奥には椅子とソファがありゆったりできたが、Barの入り口付近はぎゅう詰めの立ち見状態で、山本氏も演奏の途中で「かなり悲惨な人もいるけど大丈夫やろか」としきりに気を使っていた。

照明は前回以上に暗く、山本氏の表情は勿論分からずかろうじてギターのピックガードの白さが判別できるくらい。恐らく観るよりも奏でられる音だけに耳を傾けてほしいという意図かと思われる。その割に自分の演奏場所の周りにに結界を設けそこに入るなとか、近くのお客さんに「そこに座られると顔が気になって演奏できん」と移動させたりとか繊細な一面も。結局暗過ぎて見えないからいいや、ということになったけど(w

山本氏の歌ものソロはCDで聴いたことしかない。その印象はハレルヤズ~渚にての柴山伸二氏やイディオット・オクロックの頭士奈生樹氏など関西ネオ・フォーク・ロックに通じる良質なアコースティック・ポップで、特に渚にてが大好きだったのでなかなかいいな、と思う反面、ボアダムスや想い出波止場など山本氏の参加するプロジェクトでのあくの強さを排除し漂白したような淡白なサウンドが物足りなくも感じていた。

しかし実際に生で聴く山本氏のヴォーカルはずっと味があり奥の深いもので、暗闇の中ということもあり直接心の奥まで浸透した。歌詞の世界はところどころに工藤冬里さんを想わせるユニークな言葉が散りばめられ、渚にてとも違った独自の感性を湛えている。ジャックスの「時計を止めて」「からっぽの世界」を含めカヴァー曲も披露したがどの曲も山本氏ならではの独特の視点に貫かれており予想以上にふくよかなものだった。前回のギターソロは気持ち良すぎて文字通り夢の世界に遊んでしまったが、今回は眠くもならずじっくり堪能することが出来た。1時間ほど演奏したところで「本編はおしまい。休憩しよか」と中断し、手書きの歌詞カードのコピーを配るが「立っている人が疲れるだろうから」とすぐに演奏再開、そこから30分強、のべ100分に及ぶ精一ワールドに想像の翼を広げた。数々のバンドでの捻くれて過激な演奏ではなく純粋で素直な山本氏の精神世界が感じられとても気に入った。久々に心洗われるライヴだった。

▼真っ暗で何も映っていないけど演奏を聴いてください。



Bar Issheeは料金はお客さんの気持ち次第の投げ銭制である。山本氏は「ユニヴェル・ゼロと同じ8000円くらいの価値はあったやろ~」と大声で言っていた。確かに!でも2000円にしといたけどw

*4/10追記 thanks to TAKE'S HOMEPAGE
<Set List>
1.すみれの花咲く頃
2.まさおの夢
3.虚空の屋根
4.オーブル街
5.宝石の海
6.赤ん坊の目
7.B1のシャケ
8.あんなに好きだったこと
9.待ち合わせ
10.キネマ館に雨が降る
11.時計を止めて
12.ハルモニア
(休憩)
13.Mothlight
14.からっぽの世界
15.O Caroline
16.せいか

▼配られた手書きの歌詞


▼Bar Issheeの壁に描かれた山本氏による石田店長の似顔絵


心の歌
聴かせてもらった
渋谷の夜

次の5月29日は完全カヴァー大会になるとのこと。30~40曲くらいやるかもしれないと言う。その日は予約制ではないから早めに並べば誰でも入場できる。
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Hair Stylistics x 東野祥子+カジワラトシオ@清澄白河 SPROUT Curation 2012.4.7 (sat)

2012年04月09日 00時26分49秒 | 素晴らしき変態音楽


中原昌也展ウィークエンド・ライヴの最終回。
3回目だから通いなれたギャラリーへ行くとまだ誰もいない。開演が30分変更になったという。仕方なく階段に座ってツイッターをチェックしていたら中原昌也氏のツイートが。購入したばかりのシンセを紛失したらしくパニくってる様子。今日のライヴのことも直前まで忘れていたらしい。大丈夫かな~と思っていたら共演者の東野祥子嬢とカジワラトシオ氏が到着。ダンス・カンパニーBaby-Qを主宰する東野嬢はとても小柄で華奢な可愛らしいお嬢さん。カジワラ氏は初めてだが1990年代ニューヨークでクリスチャン・マークレーと共に活動していた日本のターンテーブル奏者の第一人者。鼻の感じがフランク・ザッパを思わせる風貌。10分程して中原氏が到着。ギャラリー満員のお客さんの見守る中セッティングを始める。バタバタしている中原氏の携帯が鳴る。紛失したシンセが見つかったらしい。しきりに「良かった~ホッとした~」と呟いている。想像するに酔っぱらって飲み屋に忘れてきたんじゃなかろうかw。いずれにせよ中原氏が冷静さを取り戻せて良かった。

この日は東野嬢のダンスのスペースを空けて前の方の観客は床に座って鑑賞。前回同様セット出来た順に音を出し始める。最近使ってなかったヴィンテージのEMSシンセを使用。カジワラ氏は2台のターンテーブル。左右からの電子音が絡み合う中、東野嬢が登場、柔らかい身体のバネをフルに使ってパフォーマンスを始める。その動きは予測不可能な意外性に満ちていて目が離せない。東野嬢のダンスはいつ観てもキビキビしていて気持ちがいい。暗黒舞踏をはじめとするいわゆる「Botoh」が日本古来の怨念や湿っぽい情念を内包しているのに比べ、彼女のダンスは一切の意味性を排除してあくまでムーヴメント(運動)としての肉体性を提示するもので、精神的な煩わしさなしに純粋に楽しめる。中原氏とカジワラ氏の演奏も彼女の動きに呼応するように鋭さを増していく。特に中原氏の音の際立ちは今回の3回の連続ライヴの中で最も才気溢れるものだった。



約1時間のパフォーマンスに充分満足。刷り上がったばかりの中原氏の新著「悲惨すぎる家なき子の死」を早速購入しサインをしてもらう。「機材が少ない方がいい演奏になるんじゃないの?」と聞いたら「そうかも知れないですね~」と中原氏。次は10日の渋谷O-nestでの湯浅湾のレコ発で会おうと言って別れた。


身体の
可能性を
思い知る

清澄白河の駅の側の中華料理屋で友人と食事をしていたら、中原氏を含むギャラリー関係者が打ち上げにやってきた。確かにこの近くに食事が出来る店はここしかないからな~。
SPROUT Curationでの中原昌也展は4/14までやっているのでぜひ観ていただきたい。中原氏の絵画作品も購入出来るよ。
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カート・コバーンの魂を受け継ぐ新世代~「NEVERMIND TRIBUTE」

2012年04月07日 00時38分35秒 | ロッケンロール万歳!


告白しよう。私は1990年代にニルヴァーナをちゃんと聴いたことがなかった。勿論「SMELLS LIKE TEEN SPIRIT」のPVはテレビで嫌と言うほど観たし雑誌でセンセーショナルに扱われるのを読みもした。しかし何故か彼らの音楽や思想にそれほど興味を持てなかったのである。いわゆるグランジではパール・ジャムやサウンドガーデン、マッドハニーなどの方が好みだった。妙なアンチ・メジャー志向を持っていたのでニルヴァーナ、特にカート・コバーン(正確には”コベイン”だが、ここでは定着した呼び名で記す)が「グランジの象徴」として別格扱いされることに反発を覚えたのかもしれない。1994年4月5日(推定)にカートがショットガンで自殺した時も特に深い感慨はなかった。逆に彼の死後ますます神格化が進み、数々の評伝や特集記事、未発表音源CDが出る度に興味を削がれていったのが事実だ。

1991年発表の大ヒット・アルバム「NEVERMIND」をちゃんと聴いたのは昨年同アルバムのデラックス・エディションをひょんなことから手に入れた時が初めてである。リリースから20年を経て聴く「NEVERMIND」は思いの外ポップで単なるグランジを超えたエヴァーグリーンな名曲満載、全世界で3000万枚売れたというのも頷ける作品だった。しかしそれと同時に1990年代初頭という時代を如実に反映したサウンドでもあり、セックス・ピストルズに衝撃を受けた世代にとっては今一つのめり込めないことは確かだ。だから特に変な思い入れを持つことなくロック名盤のひとつとして捉えようと思う。

これだけ世界的にヒットしたバンドだからトリビュート盤もかなりの数リリースされている。その数はもしかしたらビートルズやストーンズのトリビュート盤と並ぶかもしれない。つい先日リリースされた日本の若手ロック・バンドによる「NEVERMIND TRIBUTE」というCDを聴く機会を得た。ティーンエイジャーに大人気のバンドばかりらしく知っているバンドはBACK DROP BOMB、LOW IQ 01、MAN WITH A MISSION、9mm Parabellum Bulletなど半分程度である。注目すべき点は”NIRVANA”トリビュートではなくあくまで”NEVERMIND”という一枚のアルバムへのトリビュート盤だということだ。曲順もオリジナル盤と同じに並べてある。ここに収められたカヴァー・ヴァージョンはニルヴァーナを神と崇める思い入れたっぷりの押し付けがましいものではなく、いい曲だからカヴァーしたいという素直な気持ちで演奏したものだから聴いていて風通しが良く清々しい気分になってくる。この一見醒めた感覚が2010年代のロック・バンドらしいと言えるし、カート・コバーンの亡霊に惑わされることなく素顔のニルヴァーナの楽曲を楽しめる好盤だといえる。

ジム・モリソンにしてもジミヘンにしてもジャニスにしても一時の神格化の熱狂が冷めた頃になって冷静に分析・再評価が出来るようになったわけで、ニルヴァーナに関しても声高にカート・コバーンの悲劇を喧伝する必要はもうあるまい。ひとりの才能あるミュージシャンとして客観的に受け止めて評価すべきではないか。無垢な若さに溢れるこのトリビュート盤を聴いてそんなことを考えた。



ニルヴァーナ
涅槃に遊ぶ
スピリット

1994年に出たソニック・ユースや少年ナイフなどによるカーペンターズ・トリビュートの冷徹な批評眼を彷彿させるアルバムである。
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モッズmeetsクラウトロック~ポール・ウェラー「SONIK KICKS」

2012年04月05日 00時21分58秒 | ロッケンロール万歳!


ポール・ウェラー兄貴の新作がリリースされた。マーキュリー音楽賞にノミネートされた前作「ウェイク・アップ・ネイション」から2年ぶり10作目のソロ・アルバム。現在53歳。70分を超える2008年の大作「22ドリームス」はTHE JAM時代の若さを取り戻しつつも円熟味も見事にブレンドされた名作だった。本作ではノエル・ギャラガー(オアシス)、グレアム・コクソン(ブラー)、アジズ・イブラヒム(シンプリー・レッド、ストーン・ローゼズ)、スティーヴ・クラドック(オーシャン・カラー・シーン)をゲストに迎え、さらに進化したウェラー・ワールドを聴かせてくれる。

手元にポール自身の書いた楽曲解説があるのだが、何度も名前が出て来るのがクラウトロック、そしてノイ!なのである。ちょうど昨日BBCの「クラウトロック特集」の紹介をしたばかりだから、この偶然に驚いてしまった。兄貴曰く「この曲は、躍動的な、ノイ!風のサウンドにしたかったんだ。」(track 1 "Green")、「ノイ!のアルバムは全作買ったんだ、多分お察しの通りね。」(track 3 "Kling I Klang")、「この曲にはゴシック的な雰囲気がある。それとクラウトロックのリズムがね。」(track 10 "Around The Lake")。所々に飛び交う電子音に兄貴のクラウトロックへの傾倒ぶりが滲み出ている。勿論クラウトロックはあくまで要素のひとつであり、アルバム全体を通して兄貴ならではのソウルやブリティッシュ・ビートの色が濃いから、別にクラウトロックを意識しなくても充分楽しめる作品である。何と言っても兄貴のヴォーカルの溌剌とした輝きといったら!50歳を過ぎてますます若返っているように思える。兄貴がTHE JAMでデビューした1977年にはエリック・クラプトンやピート・タウンゼンドはまだ30代だった訳で、その歳をとっくに超えてしまった兄貴が枯れることなしに走り続けていることには大いに勇気づけられる。

アルバムからの1stビデオ・クリップは90年代初頭の"ハシエンダ"時代を思わせる電脳ドラッグ色に溢れていて嬉しくなってくる。



キング・オブ・
モッズも今や
大ベテラン

私が入手したのはCDのみの通常盤だが、ハードブック仕様DVD付きのデラックス盤もリリースされているので、よりディープに兄貴の世界に浸りたい方にはそちらがおススメ。
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英BBC Four制作、クラウトロックのドキュメンタリー番組のフル映像がYouTubeに

2012年04月04日 00時21分41秒 | 動画の歓び


英BBC Fourが近年放送した「クラウトロック」のドキュメンタリー番組『Krautrock: The Rebirth of Germany』の映像がYouTubeに。番組では1968年から77年にかけてドイツに登場した実験的バンドをフィーチャー。クラフトワーク(Kraftwerk)、Can、ファウスト(Faust)、Popol Vuh、ノイ!(Neu!)らの音楽とインタビューを特集。当時オンエアされた約1時間分の映像があり。
(amass)



[Music played]
1. Popol Vuh/Aguirre I L'acrime de Rey
2. Jimi Hendrix/All Along the Watchtower
3. Richard Wagner/Siegfried's Funeral Music
4. Amon Düül II/Kannan
5. Amon Düül II /Luzifer's Ghilom
6. Popol Vuh/Wehe Khorazin
7. Popol Vuh/Aguirre II
8. Tangerine Dream/Phaedra
9. Cluster/Fur Die Katz
10. Tangerine Dream/Fly and collision of Cosmo Sola
11. CAN/Mother Sky
12. CAN/Vitamin C
13. Kraftwerk/Autobahn
14. Neu!/Hallogallo
15. Faust/Krautrock
16. Kraftwerk/Showroom Dummies
17. Kraftwerk/Geiger Counter
18. Kraftwerk/Radioactivity
19. Harmonia/Watussi
20. David Bowie/A New Career in a New Town

英語だが平易なので理解しやすい。何といっても貴重映像満載、さすがBBCである。難を言えばクラウス・シュルツェとアシュラ・テンペルの映像がないことだろうか。

クラウトは
一度喰らうと
抜け出せない

NEU!のミヒャエル・ローターが来るはずだったフェス「I'll Be Your Mirror」が延期になってしまった。しかしこれで灰野さんの出演の可能性が出てきた訳で再アレンジに期待したい。    


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坂田明+かわいしのぶ+坂口光央+Jimanica@渋谷 Bar Isshee 2012.4.1 (sun)

2012年04月03日 00時43分39秒 | 素晴らしき変態音楽


渋谷Bar Isshee坂田明2daysの初日はかわいしのぶ(bass)、坂口光央(key)、Jimanica(drums)という若手ミュージシャンとの初顔合わせセッション。どの人も観るのは初めてだったので坂田さんの世界がどのように拡張するのか楽しみに会場へ向かった。

観客は10数人だが、共演ミュージシャンの知り合いが多く普段の坂田さんの客層より若い。久しぶり!という挨拶が飛び交う和気あいあいとした雰囲気の中、坂田さんがそろそろやろうか、と演奏スタート。いきなりパワー全開のフリー演奏が炸裂する。かわい嬢は美人だが元SUPER JUNKY MONKEYということが頷ける男性顔負けのパワフルなフレーズを連発、ナスノミツル氏率いるtenelevenのメンバーでもある坂口氏はシンセの電子音を飛ばしカンタベリー風のロック・フレイヴァーを加える。凄かったのはJimanica氏のドラム。目の前に座っていたこともあるが、耳を圧する大迫力のドラミングで演奏を盛り上げる。坂田さんは彼らに鼓舞されたように思い切りブロウしまくる、正に四つ巴の格闘技セッション。やはり若い世代だけあってロックの影響を強く受けているのでとてもカッコいいジャズ・ロック的展開が楽しめた。2曲目ではかわい嬢のおもちゃ/鉄琴と坂田さんの鳴りモノで比較的静かに始まるが徐々にヒートアップし後半は激しいバトルに。3曲目もまたパワー溢れるくんずほぐれつの爆音セッション。ここで休憩。

2ndセットは坂田さんの息の長いブロウで始まる。1stセットでお互いの手の内を確認したためか、無軌道だった展開がひとつの方向性を持ち始めた。1曲目は30分に及ぶ長いセットで全体的に激しいプレイの応酬が続く。テンション高いままで延々と続くので申し訳ないが私は途中夢の世界を泳いでしまった。2曲目は坂田さんがドラム・ソロから始めようと要請しJimanica氏のソロでスタート。坂田さんが詩吟のような歌を唸り前半こそ静的だったが、後半は激烈な爆音演奏に突入、全員が全力で走りぬける迫力満点の演奏。最高潮に盛り上がったところで坂田さんがサックスを大きく振り下ろし演奏終了。全員力を出し切った満足感で思わず万歳の嵐が起る。親子以上に年の離れたメンバーとの共演を終え坂田さんも嬉しそうだ。若さゆえのエネルギーとそれに一歩も引けを取らない坂田さんの偉大さを実感したライヴだった。



翌日の二日目は加藤崇之(g)、吉野弘志(b)というベテラン勢との共演。都合で観に行けないが気心の知れた相手との共演でまた違った坂田さんの魅力が発揮されたことと思う。

坂田さん
若いツバメに
負けはせぬ

次回の坂田さんは4/9ピットインでの「JAZZ非常階段」へのゲスト参加。King Of Noise=非常階段がジャズの聖地でどのような演奏を繰り広げるのか、そして坂田さんと豊住芳三郎(ds)さんという大ベテランが彼らにどう絡んでいくのか興味は尽きない。
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Hair Stylistics + 伊東篤宏@清澄白河 SPROUT Caution 2012.3.31 (sat)

2012年04月02日 00時34分53秒 | 素晴らしき変態音楽


中原昌也個展 ウィークエンド・ライヴ vol.2は蛍光灯を楽器化したオリジナル・インストゥルメントOptron奏者、伊東篤宏氏との共演。中原氏とは何度も共演しており旧知の仲。私が前回観たのは2010年11月恵比寿での伊東氏の個展のときだから1年半ぶり。

昼間の洋輔さんのコンサートからハシゴして開場時間にギャラリーへ行くと何のセッティングもされていない。中原氏が雨のため電車で機材を運ぶことが出来ず急遽タクシーで会場へ向かっているとのこと。展示を観たり、他のギャラリーを覗いたりして時間を潰していたら、開演時間ギリギリに中原氏が到着。慌ててテーブルを出して機材のセッティングを始める。セッティングの様子を見れるのは滅多にない機会だから面白かった。「あー、あれ忘れた」「これどう繋ぐんだっけな」などと独り言を呟きながら作業する中原氏。伊東氏は用意したエアシンセが電源コードの故障で使用出来ず。あたふたしているふたりの周りを観客が取り囲む。前回のウィークエンド・ライヴの時の倍近く50人程で満員。このブログで知って観に来た人もいるのかもしれない。

伊東氏のセッティングが終わり低いノイズ音を出し始める。中原氏は準備出来たものから順番にスイッチを入れ音を出し、そのままセッションに突入。Optronの効果を出すために照明が落とされる。伊東氏の演奏を初めて観たのは7年位前。サウンドが蛍光灯の光に呼応して変化するのが視覚的にも面白くて印象的だったが、さらに様々なエフェクターを使用してより多彩な音色が出せるようになった。中原氏は前回使ったリボン・シンセなどの飛び道具はなしで基本的にエフェクター/シーケンサーを使った正統派(?)ノイズ演奏。タンジェリン・ドリームを思わせるドローン音から次第に脈動するリズムの上に電子音を重ねてゆく。緩急に富んだストーリー性のある演奏で50分があっという間に過ぎた。演奏が一旦終了すると中原氏が「もう少しやりましょうか?」伊東氏「お客さんが辛くなければね」。「大丈夫!」という声が観客の中から上がり演奏再開。今度はリズムレスのアブストラクトな演奏を10分。ふたりの見事なコンビネーションで充実した時間を過ごした。



次回は4/7(sat)東野祥子嬢とカジワラトシオ氏との共演だが狭いギャラリーに満員の観客が押し寄せたら東野嬢のダンスを披露するスペースはあるのだろうか、といらぬ心配をしてしまう。

オプトロン
進化してます
新楽器

中原昌也氏が音楽を担当した映画「アノソラノアオ」が渋谷ユーロスペースで公開中。主題歌は坂本慎太郎氏だというから何を置いても観に行かねばなるまい。
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