昨年7月にYouTubeで出逢い、真夏の灼熱地獄を爽やかなサイケデリックソングで鎮めてれたテキサス生まれ27歳のシンガーソングライター、ケヴィン・モービーの3rdアルバムがアナウンスされた。タイトルは『Singing Saw(歌うノコギリ)』。アメリカで4月25日にDead Oceansレーベルからリリースされる。
リードトラック「I Have Been To The Mountain(私は山に達した)」のPVが公開された。病院を舞台に、死に際の患者の夢の舞踏を描したユーモラスでもの哀しい短編映像。ケヴィン本人は看護師役で出演している。
Kevin Morby - I Have Been To The Mountain (Official Video)
元になったのは、キング牧師の名言「I’ve Been to the Mountaintop(私は山頂に達した)」。1968年4月3日、遊説活動中のテネシー州メンフィスにあるメイソン・テンプルでのスピーチの中の言葉で、神の加護で約束の地を見たから、もう何も恐れてはいない、と力強く宣言したが、まさにその翌日に凶弾に倒れ暗殺されてしまった。
ケヴィンがこの曲を書いたのは、2014年7月17日にニューヨーク州スタテンアイランドで起きた「エリック・ガーナ―窒息死事件」がきっかけだという。警察官が逮捕にあたって絞め技を使用したために被逮捕者エリック・ガーナーが死亡した事件で、不起訴処分として大陪審への抗議行動が巻き起こり、大きな社会現象となった。
ケヴィンはこの曲を「邪悪な手段で殺された人々」の歌であり、「地球上で常に起こってきた無意味な殺人が、近年特に増えた気がする」と語る。シリアスなテーマだが、ホーンセクションと3声のコーラスを配した賑やかなサウンドと、ケヴィンの慈しみ溢れる歌声で、悲哀の中に仄かな曙光を感じさせる希望の歌になっている。
『歌うのこぎり』に綴られた9編の歌には、この「物静かな男」のHappy Sadな世界が息づいているに違いない。願わくば歌詞対訳付の日本盤でリリースしてほしいものだ。
Kevin Morby - 'Singing Saw' (Album Trailer)
01 Cut Me Down
02 I Have Been to the Mountain
03 Singing Saw
04 Drunk and on a Star
05 Dorothy
06 Ferris Wheel
07 Destroyer
08 Black Flowers
09 Water
人の世を
歌ってみたら
泣き笑い
Kevin Morby | Primavera 2015 | PitchforkTV
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