A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

落とし前は自分で付けろ~中原昌也「ニートピア2010」

2008年05月20日 23時00分55秒 | 書物について
中原昌也氏の最新刊には短編が13編掲載されている。どれも比較的短く、20分ほどの通勤電車の中で読み終える長さだ。
それにしてもこの人の小説は何てナンセンスな厭世観に満ちているのだろうか。ノイズ・ミュージックとスプラッター映画への愛着がこのような特殊な創造力を産み出したのだろうか。
ストーリーが空中へ放り投げられたまま宙ぶらりんに放置され、落とし前が付かない。誰も彼も見境なしに暴力と汚辱の対象にされる。特に「誰が見ても人でなし」の4ページににも亘る醜悪で虫酸の走る言葉の羅列の破壊力、「怪力の文芸編集者」の時間感覚を麻痺させる繰り返し、「舞台動物」を始めとする動物への偏愛、そしてところどころに無意味に挿入される氏の小説を書くことへの嫌悪、それらが読む者の心象を傷つける。ストーリーはあってないようなものだから、文章のスピードとインパクトが彼の小説の真髄なのだろう。決して心地よい文章ではないが続きを読みたくなる中毒性はHair Stylisticsとして彼がクリエイトするノイズに通じるものがある。
小説を金儲けのためと言い切り、原稿料は膨大なCDやDVD、毎夜の飲み代に費やされる。全くナンセンスな金と魂の連鎖である。

意味のない
殺人事件の
読後感

それにしても"ニートピア2010"がどんなプロジェクトなのか気に掛かる(本書には詳細の記載はない^^;)。

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