A Challenge To Fate

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DOMMUNEスタジオ見聞録 「『ドキュメント灰野敬二』を語る」~人間の記号を捨てて、魂っていう暗号になれ

2012年06月08日 00時40分05秒 | 灰野敬二さんのこと


DOMMUNEに灰野さんが2度目の出演。
「『ドキュメント灰野敬二』を語る」~人間の記号を捨てて、魂っていう暗号になれ
出演:灰野敬二、白尾一博(映画監督)、マイク・クベック(Super Deluxeエグゼクティブプロデューサー)

第1回目はロシアで起きたUstreamへのサイバー攻撃でライヴ配信が出来ず、後日録画配信したが、今回はマスコミ馬鹿騒ぎのAKB総選挙と被る事態になった。

映像作家/オーガナイザーの宇川直宏氏が主宰するDOMMUNE(ドミューン)のスタジオは青山にある。表参道から歩いて10分ほどなので、スタジオで観覧することにした。六本木通りからすぐの駒沢通り沿いの静かなエリアのカフェのB1にある。地下に降りる階段の上にひっそりと看板が出ているだけで、知らなければスタジオがあるとは思えない秘密クラブのようなスペースである。

宇川氏は5年前まで渋谷宮益坂近くのギャラリーNANZUKA UNDERGROUNDの奥にMixroofficeというスペースを開いていて、灰野さんのマンスリー・ライヴやクラブ系イベント、トークショーを開催していた。Ustreamの可能性に早くから目を付けた宇川氏は本格的にネット配信の出来るライブストリーミングチャンネル/スタジオとして2010年3月DOMMUNEを開局、最先端の感性でユニークな番組/イベントを開催。"ファイナルメディア"と称し、共同体を意味するCOMMUNE(コミューン)の先を目指した「Cの次のD」というのが「DOMMUNE」という名前の由来だという。昨年の震災後に遠藤ミチロウさん/大友良英氏/和合亮一氏による「プロジェクトFUKUSHIMA!」に連動して福島に開局した「DOMMUNE FUKUSHIMA!」や荒天のため残念ながら中止になった昨年8月のオールナイト・フェスティバル「FREEDOMMUNE0<ZERO>」など社会的に注目を集める活動を展開してきた。

スタジオの入口すぐ近くのソファに灰野さんと映画のプロデューサーの一人である裏窓の福岡氏が座っていた。挨拶すると灰野さんが「好きなだけ泣いていいからね」とひとこと。ブログを読んでいたようだ。分からないようにコメント欄に書いたのにな~、とちょっと赤面。番組スタートまで10分、と宇川氏が告げる。観客は7人。こんな近くで灰野さんを観れるというのも嬉しい。

スタジオ内はドリンク・カウンターのある核シェルターといった風情。奥の壁に設置されたプロジェクターの下のソファに出演者が座り、3か所にカメラを設置、左手にPA卓、対面する中2階にコントロール・ルームがある。カウンターにはモニターが置かれ実際の放送画面や視聴者のツイートを映し出す。宇川氏は出演者の正面のビデオ・カメラを覗きながらスタッフに指示を出したり、トークに参加したり、パソコンで番組内容をツイートしたり休む間もなく動き続ける。


おそらくこのブログを読んで下さっている方の7割は番組をご覧になったことと思うので番組内容については簡単に記すに留める。

最初に白尾氏とマイク氏が登場、お互いの灰野さんとの出会いやドキュメンタリー映画を撮影することになった経緯を語る。灰野さんは後方のソファで寛いでいる。灰野さん自身の映像アーカイヴからの蔵出映像を上映。1983年のライヴ映像。映画撮影のために借りてきた灰野さんのノート帳を披露。モニター画面には視聴者からのツイートが次々流れるのだがAKB総選挙とDOMMUNEを同時に観ている人も多いようだ。この時点で視聴者数はリアルタイムで750人、累計2000人くらい。

8時頃に灰野さんが登場。ノートに描かれた自分の考案した楽器の解説、1990年代初めの不失者のライヴやリハーサル映像を観ながら故・小沢靖さんの話などを語る。灰野さんが登場した途端に視聴者数が急上昇。煽りのツイートを打ち込む宇川氏も「このタイムライン凄くいいですよ」と漏らす。貴重映像の連発と灰野さん特有の含蓄溢れる言葉に時の経つのを忘れる。気が付くと第2部の出演者のイギリス人DJ達も到着してじっと灰野さんのトークを眺めている。最後に不失者の最新映像として去年2月の高円寺Club Mission’sでの亀川千代氏+Kiyasu氏とのトリオの演奏が流れる。ライヴの現場に私はいたが、これが不失者だとは灰野さんは言ってなかった。が、こうして”不失者”として映画にも登場するからにはこのトリオの演奏にかなり満足しているのだろう。ゆらゆら帝国のファンも映画「ドキュメント灰野敬二」は必見です。千代さんの御姿がたっぷり拝めますよ。
最終的に累計視聴者数は6000人を超え、その時点で全世界でのUstream視聴者ランキングでNo.1にランクイン。「これは凄いな~」と宇川氏も満足そう。



パソコンの画面では分からないスタジオの現場ならではの臨場感を体験出来たし、出演者の方々とも話せたので大満足。とても面白いのでお近くの方は気軽に足を運んでみて欲しい。

ユーストじゃ
分かり切れない
現場感

そういえば灰野さん@DOMMUNEの第3回目がいつなのか聞き忘れた。
その前に映画前夜祭ライヴがあるのをお忘れなく。

2012年6月16日(土) 高円寺 HIGH「ドキュメント灰野敬二」前夜祭
出演:七尾旅人、メルツバウ、ジム・オルーク&石橋英子、灰野敬二/不失者
開場 午後6時30分/開演 午後7時00分
前売 3000円+ドリンク/当日 3500円+ドリンク
前売り券は高円寺HIGH新宿裏窓店頭で発売中。


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5 コメント

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墓碑銘 (miro)
2012-06-09 01:24:19
辺さん
伝説には誰かがきちんと墓碑銘を建ててあげなければ風化し陳腐な昔話になってしまうだけです。出来れば自らの手で幕引きをして欲しいものです。灰野さんがよくいう「覚悟」が必要なんだと思います。
返信する
ロック ()
2012-06-09 00:02:52
ディランが「いま、ロックだと思われているものは、ロックの墓石なんだ。それが10億ドル単位のビジネスになっている」と発言していましたけど、この前ディスクユニオンに行ったときにそれを改めて感じました。
いまや伝説的なバンドですら沖縄のツタヤでレンタルされるくらいですからね。

それに対して、灰野さんの現役っぷりは本当に凄い。Dommuneで昔の映像も観ましたが、やはり現在の演奏の方が良いですから。どんどん研ぎ澄まされている感じがします。
数年前に工藤冬里氏と少し話した時に灰野さんについて「60年代のロックをやり続けている唯一の人」と表現していて尊敬の念を感じました。本当にできるだけ沢山の方に映画観てほしいですね。製作に関わった訳じゃないけど本当に思います。
返信する
幸福と不幸 (miro)
2012-06-08 10:03:30
辺さま、OZさま

いつもコメントどうもありがとうございます。

灰野さんは自分自身の姿勢が誤解されるのを何より嫌がっているようなので、聴き手が理解するまでとことん説明しますね。
それを理解している方が増えて多くの方から敬意を持って接してもらえているのは本当に幸せなことだと思います。

屍まで喰いものにされる某バンドの不幸を考えると心が痛んで止みません。
返信する
DOMMUNE (OZ)
2012-06-08 03:58:37
ブログ主様

たびたび失礼いたします。

今回、灰野さんが、登場したパートは
少なかったのですが、面白い内容でした。

1か月前に、やはりDOMMUNEで鈴木いづみ特集
をやっていて、最近、彼女の作品を読んでいたのですが、阿部薫のみならず、まさに白尾監督が触れていたフレッド・フリス来日時の公演の「ミュージックマガジン」誌のライブ評(美術家=彦坂尚嘉氏によるもの)などいろいろなことを思い出しました。

灰野さんが、ご自身の年令と時代と遭うべくして
敬愛する大野一男先生のように若い人たちから
評価されているのは喜ばしいことですね。

こうやって、映像で灰野ヒストリーを
見ていると灰野さんの変わらない部分と
変わってきた部分が
いろいろうかがえて興味深かったです。

灰野さんの「音楽思考」ノートが開示されるとは
思わなかったのですが、これも上梓予定の
灰野本に一部収録されるのか否か楽しみです。
(まずは、ドキュメンタリー映画ですが)
 読んだところで、灰野さんの解説が
なければ理解不能ですが、ここまで
見せるようになった灰野さんも凄いですね。

やはり、今年は、灰野さんの節目の年なので
今後も見逃せません。

追っかけよろしくお願い致します。


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放映 ()
2012-06-08 01:42:35
昨日、残業を放棄して観ました。灰野さんの話、面白かったですね。ドキュメント灰野敬二、色んな人に観て欲しいですね。沖縄でも上映予定があるみたいなので楽しみです。
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