A Challenge To Fate

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土耳古(トルコ)自由奔放ジャズ楽団『コンストラクト』の<有機宇宙的構造主義音楽>

2015年01月07日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽



35年前に入信した太陽神サン・ラー、現役ジャズ界最長寿(当ブログ調べ)マーシャル・アレン、コスモポリタン最大主義者ドン・チェリー。この3人を辿る大河ドラマの旅は、アジアとヨーロッパの2つの大州にまたがる文化の坩堝 Türkiye Cumhuriyeti(テュルキイェ・ジュムフリイェティ)通称 Türkiye(テュルキイェ)、英語表記はRepublic of Turkey通称 Turkey、中国名土耳其、和名土耳古、乃ちトルコ共和国へと筆者を誘(いざな)った。
『世界はもう終わってるって、知らなかった?』~サン・ラ生誕100周年は世紀の終焉か?
【キルトが描く自由精神有機世界】ドン&モキ・チェリーのコスモポリタン最大主義(マキシマリズム)



7月のサン・ラ・アーケストラ来日公演の興奮も冷め掛けた10月下旬、御茶の水のレコ屋で遭遇した宇宙曼荼羅ジャケに堂々と記された「MARSHALL ALLEN」の文字が網膜に夕焼け色の残像となって焼き付いた。担当楽器名以外は発音も不明な面々ながら、『Live At Sant'Anna Arresi Jazz Festival』と題されたコズミックなオーラを放つ30センチ塩ビ盤を、ジャケット込金壱千七百四拾九圓也の端金(はしたがね)と引換に入手し自宅へと持ち帰った。小さ過ぎるセンターホールを愛撫する様に優しく上下左右に捻りながらターンテーブルの中心に装着。レコヲド針をプチっと音を立てて盤面に落とし僅かな塵ノイズが約3.5秒続いた後に、流暢なトルコ語のアナウンスに導かれて始まったエキゾ音響が、徐々に宇宙と交信する電波系自由即興音楽に変幻し、ラクダに乗った遊牧民が行き交う月の砂漠の幻想に迷い込んだ。2013年8月30日イタリア・サーディナに於けるライヴ盤は「SATURN CALLS, SANT'ANNA RESPONDS:サターン(土星)が呼び、サントアンナ(フェスの名称)が応える」と銘記され、サン・ラーと彼のアーケストラの遺産に捧げられている。



Konstrukt(コンストラクト)=構造という名のイスタンブール出身の4人組が奏でるのは「フリー・オーガニック・ミュージック(自由有機音楽)」。発音不明のメンバーは以下の通り:

Umut Çağlar(g,key,syn)
Korhan Futaci(sax,fl)
Korhan Argüden(ds)
Özün Usta(b)



トルコのジャズとして筆者が唯一イメージするのはドン・チェリーの『ライヴ・イン・アンカラ』(78)である。1969年トルコの首都アンカラのアメリカ大使館でのライヴ録音で、バックを務めるのはトルコのミュージシャン、セルチュク・スン(b)、オカイ・テミズ(ds,perc)、イルファン・スュメール(perc,ts)。ドンの妻でジャケットのタペストリーを制作したモキ・チェリーによる日記風のライナーに、出逢いを求めて欧州各地を旅する当時のドン・チェリー一家のドタバタ道中が綴られている。



このライヴ盤が決してトルコジャズを代表するわけではないことは重々承知しているが、ドン・チェリーが残したまま草原の地中深くに潜伏していた有機音楽(Organic Music)の種子が、40年後に発芽してトルコ音楽界に「新構造主義」の花を咲かせたのは間違いない。その証拠に、この4人組はマーシャル・アレンをはじめ、エヴァン・パーカー、ペーター・ブロッツマン、ジョー・マクフィー、ウィリアム・パーカーといった「自由音楽(Free Music)」歴戦の闘士たちと交歓している。来る1月17日には日本自由音楽代表・坂田明と”飛んでイスタンブール”で交歓する。

▼Left:with Evan Parker / Right:with Joe McPhee
 



しかし彼らは決してベテラン音楽家の虎の威を借りているわけではない。マーシャル・アレンはLP B面のみの参加であり、本作でとりわけトリップ度が高いのは、4人のみの演奏を収めたA面なのである。トルコの伝統音楽を新世界へ解放する自由の意思は、先達の築いた砂漠の轍を灌漑し肥沃な土壌に新たな種子を植える宇宙開拓者のパワーが漲っている。





トルコが現在どのような国際状況にあるのかは不勉強のため知らないが、太古から東西文化の交流の地として豊穣な果実を育んできた「土耳古」=ANCIENT(古) EAR(耳) SOIL(土)生まれの自由奔放構造主義者の奏でる調べは、全世界の音楽風土への最良の有機肥料に違いない。


KonstruKt公式サイト



辺境と
呼ぶのは間違い
国際主義者





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