A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のポストパンク禁断症状#13】Electroscope エレクトロスコープのLoFiアコースティック・アンビエント迷宮世界

2022年02月03日 01時40分06秒 | 素晴らしき変態音楽


在宅勤務生活が2年近くなり、ずっと通勤電車や都会の喧騒から離れて暮らしているせいか、フリージャズの激烈なフリークトーンの応酬や、ノイズ・インダストリアルの電子雑音や、フリー・インプロヴィゼーションのピリピリした緊張感が、鬱陶しく感じられて耐えきれないことが増えてきた。ほぼ毎日近くの公園をジョギングしているのだが、耳に入る小鳥のさえずりや風に木の葉が揺れる音が史上最高に美しい音楽に思えてきた。昨年アンビエントミュージックを演奏するユニットMOGRE MOGRUを結成したこともあり、これまでほとんど興味を惹かれたことのなかったニューエイジ・ミュージックや環境音楽を聴いてみたが、人工甘味料たっぷりのお菓子のようでイマイチいけ好かない。

そんな時にネットオークションサイトで出会ったレコードがElectroscopeの『Journey To The Centre Of Electroscope』だった。ジャケットが気になって試聴してみたら、チープな電子音にクラリネットやピアニカとしって生楽器が絡む牧歌的なサウンドで、何よりも気負いが全くない弛緩・脱力しきったユルい雰囲気が、公園の野鳥の声と同じ美しさを湛えているのだった。さっそく落札し、届いたのは如何にも自主制作盤といった感じの手書き文字のジャケットに挟まれた透明オレンジのカラーレコード。オルゴールの音から始まり、微睡むようなピアニカとクラリネットの室内楽、浮遊するハンドメイド・エレクトロニクス、朴訥としたギターの爪弾きと寝言のようなヴォイス、霧の中に吸い込まれる鉄琴、気紛れに反復する単旋律のオルガン、それらが木霊し反響する深い音楽の森。何かを表現したいという強い欲求ではなく、単純に音と音を鳴らすだけの平和な歓びに満ちた世界。聴くたびに音の渦に耽溺して眩暈がする迷宮レコードだ。

エレクトロスコープ Electroscope


スコットランド出身のゲイル・ブローガン Gayle Broganとジョン・カヴァノー John Cavanaghのデュオ。ゲイル・ブローガン(旧姓ハリソン)は元プライマル・スクリームのJim Beattieが90年代半ばに結成したAdventures in Stereoのメンバーでもあった。1996年に声優・ラジオDJでもあるジョン・カヴァノーとのデュオとしてエレクトロスコープを結成。ジョー・ミークとユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(ジョー・バード)を繋ぐ存在と呼ばれる。片面カセット『Where The Oscilloscope Meets The Magic Eye』(96)、1stアルバム『Homemade Electroscope』(97)、2ndアルバム『Journey To The Centre Of Electroscope』(99)、スプリット・アルバム『Life And Hope In The Psychozoic Era / Electroscope』(2000)の他、多数のシングル、EP、コンピレーションをリリース、2000年に活動休止するまでの4年間に104曲の作品を発表した。その後ゲイルはPefkin名義でソロ活動するとともに、Meadowsilver、Burd Ellenといったユニットでアンビエントミュージックとスコットランド・トラッドを融合したサウンドを追求。ジョンもPhosphene名義でソロ活動する。2010年以降、ゲイルとジョンは再びエレクトロスコープとして散発的に活動をしている。

https://electroscope.bandcamp.com/

Electroscope (w. Mount Vernon Arts Lab) - Sky Men




検電器
音の迷子を
救い出す



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