A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【盤魔殿アマルガム Vol.39】LAIBACH/Ka Baird & Pekka Airaksinen/村八分/ENNO VELTHUYS/MAKKENZ/Ti-Tho

2022年08月01日 00時23分27秒 | 素晴らしき変態音楽


●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


LAIBACH / Volk (Mute) 2006
疫病&戦争時代が到来したのみならず、元日本国首相にして現与党最高実力者が白昼堂々カルト宗教がらみの怨念で殺害される時代を迎えてしまった「今ここ」。民族や宗教、国家などの根幹がゆらぎまくっている現在においてライバッハの存在意義がかつてないほど大きくなっている。どう大きくなっているかについて詳しくは8/8阿佐ヶ谷TABASA開催のトークイベント(withケロッピー前田)で話すが、とにかく彼らの2006年問題作「Volk国家」を聴いてほしい。ユーゴスラビア社会主義連邦共和国という故郷を喪失したライバッハが国家をテーマに各国の「国歌」をカバーするヤバいやつ。かつてセルジュ・ゲーンズブールが仏国歌をレゲエ・ヴァージョンで歌って右翼に命狙わりたり、かと思えば日本では「君が代」を歌っただけで左派から総スカン食ったりと左右問わずデリケートな扱いの「国歌」。この「国歌」に対し批判でも皮肉でもギャグでもなく、ガチ真摯に取り組むライバッハの生真面目さと、その生真面目さゆえに暴露される「国歌」の在り様が強烈(事実この作品に激怒したロシアはライバッハを出禁にした)。


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


Ka Baird & Pekka Airaksinen / Hungry Shell(2021 / Rvng Intl. – FRKWYS17)
フィンランドで60年代に結成されたザ・スペルマ(ランコではない)はアヴァンギャルド/フリージャズ/サイケデリックをミックスした過激な音楽と猥雑なパフォーマンスで世間を騒がせ、挙句の果てにメンバー二人が猥褻罪で逮捕されたため70年に解散。その後創設メンバーのペッカ・アイラクシネンは仏教思想に傾倒し瞑想法を自己開発しながら、エレクトロニクス/アンビエント/ニューエイジ/即興音楽家として地下活動を続けてきた。
一方2001年にウィスコンシン州で結成されたフィメール・アヴァン・サイケ・バンドSpires That In The Sunset Rise(夕陽に映える尖塔)のメンバーでもあるカー(キャサリン)・ベアードは、異端ヴォイス&マルチパフォーマーとしてNYを拠点にソロ活動する。二人が2018年11月オランダ・ユトレヒトでコラボした音源がこのアルバム。アイラクシネンが瞑想中に書いた詩をベアードが朗読し、アイラクシネンの幻惑的なエレクトロニクスと、ベアードの物音フルートやリズムマシンがクールに並走する音世界は、北欧の白夜と都会の喧騒の猥雑なヘヴィペッティングであり、シュールリアリスティックなマーシャルアートである。2倍の年の差の行為で精力を使い果たしたアイラクシネンは本作のレコーディングの6か月後に74歳で死去。産み落とされた『空腹な貝殻』は「哀楽死年(アイラクシネン)」への弔辞に違いない。


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規


村八分『ライブ』2022 Digitally Remastered / Limited Edition(限定盤2CD)
1973年の1stリリースから何回再発されたんだろうか?京都大学西部講堂で行われたラストライブを収録したオリジナルアルバムが初盤発売当時の被せ帯付き&紙ジャケ仕様で8年ぶりに最新リマスタリングでリイシューされたという事で、この作品をチョイス!
今回のリイシューでは、1973年発売時の2枚組LPに収録された全曲をオリジナルアナログマスターから、2014年リイシュー時と同様にエンジニア中村宗一郎氏によって新たにリマスタリングを施しています。更にこのアルバムの最後に収録された73年4月エレックスタジオで収録された「序曲」レコーディング時のアウトテイクで2005年に限定発売された『村八分BOX-Limited Edition-』でしか聴けなかった6曲を最新リマスタリングで収録したディスクを含めた2枚組仕様になっており、しかも2001年リイシュー時のボーナストラック「ゴミ箱のふた」はフルバージョンが収録されています(通常盤はショートヴァージョン)。リリースされる度に入手していましたが、今回のリマスタリングが個人的には1番好みで、音のシャープさを格段に感じられるなぁと思いました。皆々様、機会があれば是非是非聴いてみて下さいましまし。 
  

●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


ENNO VELTHUYS ‎/ A GLIMPSE OF LIGHT
フルクサス創設に関わったWillem de Ridderに見出されたシンセサイザー奏者であり、60年代には様々なバンドでギタリストとして活動し、ドローイング作品も残したオランダの音楽家Enno Velthuys。
本作は1984年にリリースされた氏のカセット作品を2021年にオランダのレーベルDead Mind Recordsがオリジナルマスターテープを使用して
再発した限定数のLP。
不定形にゆったりと動く雲原ような低音のドローン。
その低音の纏う"もや"の中に仄かな光芒を放つ電子音が揺曳し、やがて薄明の中に神秘を顕す…
雲すれすれに這う陰が背後に迫り、掴まれるような生々しい、奇妙な感覚が起こる…
その時、低音は真下に広がる波一つ立たない海の強い重力に引き寄せられる…
後半、回廊を渡る幽体の為に現れる鍵盤が地層まで重厚に響き、、、聴者の胸を閉じる。
作品を通して、基本的な音構成は低音のロングトーンと電子音、そして鍵盤という非常にシンプルなものである。
ゆったりとした音の運びの動きはその実、非常に微細かつ繊細であるが、
結果、響きを陰のようにして空間に深く滲ませ、聴く者の内側へと急速に広げる氏の表現力には脱帽する…


●DJ Bothis a.k.a. 山田遼


MAKKENZ - 陸の外海の外 CD TRUMAN RECORDS (2009)
普段ヒップホップは滅多に聴かないっていうか、あまりピンとくるアーティストや作品に巡り合う機会がなかったのだが、makkenzの作品を初めて聴いた時はけっこうビックリしました。たしか何気なくYouTubeを観ていたら、たまたま「YUKARI」のPVを見つけて、その一般的なヒップホップの枠を逸脱した世界観に圧倒されたのを覚えています。まず、トラックに深みがあっていい感じに幻想的で、そこに乗っかる言葉選びのセンスも抜群。そして何より、彼は声がいい。独特の靄とそこに埋もれない重低倍音を同時に発声できていて、聴いていて気持ちがいい。いい声してる。サビの部分で「子供が産みたい」と畳み掛けるように連呼する場面には、なんとも言い知れぬ不安と諦念が混ざり合い、唯一無二のグルーブ感が漂っています。
本作『陸の外海の外』はmakkenz自身のレーベル「TRUMANRECORDS」より出版された4thアルバムで、一曲目の「娑婆の歌」からもう最高。天才だと思う。


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


Ti-Tho / Freuziel SUEZAN STUDIO SSZ3086/87
またSUEZAN STUDIOが貴重なリリースを発表してくれた!
1980年代前半にドイツ・ハンブルクで活動した知られざるジャーマン・ニューウェイブ男女デュオTi-Tho(ティ・トー)。Christina Maria CalcagnoのTiとThomas StelterのThoを取ったネーミングだ。ドイツの名門自主レーベルZickzack〈ツィックツァック〉から1982年にシングル「夢みるダンサー(Traumtänzer)」で鮮烈なデビューをとげた当時、クリスティーナはティーンエイジャーだった。その後1983年にTELDECから「象を狩る者(Elefantenjäger)」、1985年にPolydorから「L.C.B.A.P.(Love Can Be A Pain)(愛は痛みになりうる)」、1985年には同じくPolydorから「Walking in The Rain(雨に歩けば)」と都合4枚のシングルを発表したがアルバムを残すことなく7年間の活動にピリオドを打った。デュオ解散後マリアは女優として活動し、数多くの子供向けラジオドラマなどの音源を残している。一方トーマスは80年代までは音楽プロデューサーとして活動していたようだが、現在の活動は不明だ。解散後の2015年にはVinyl on Demandからコンピレーションが出ているし、またZickzackからのコンピレーションSelbstdarstellungにも曲が収録されているので彼らの音楽を聴くのは少し容易になってきた。だがしかし、今回の再発は、彼らの全公式音源に加え、大量の未発表曲、デモ音源など150分を超える合計48曲を2枚のCDに収録した完全版。トム・ドクピル(ザ・ヴィルトシャフツヴンダー)参加、ツィックツァック主催者アルフレート・ヒルスベルク監修。
・初回盤のみ2枚組仕様・マリーザ・カルカーノ本人による回顧録(独語/日本語)と完全ディスコグラフィを掲載したフルカラー・ブックレット付属・2022年版最新デジタル・リマスター使用・限定プレス&日本初リリース。

<―――――――――――----EVENT INFORMATION――――――――――――――>


2022年7月31日(日) 京都市美術館(京都市京セラ美術館)本館 南回廊 2階


混沌の首儀式
「EVOCATION/死者の魂を喚び起こす」

12:00〜13:00頃
*11:30から作品の前で瞑想しております。より深くご体感されたい方はお早めにお越し下さい。
<展覧会詳細>LINK展19 EVOCACIÓN 〜魂の喚起〜
7月26日(火)~7月31日(日)時間:10:00~18:00(最終日は16:00まで) 入場料無料 https://kyotocity-kyocera.museum


2022年8月3日(水)  吉祥寺NEPO ★MOGRE MOGRU出演


【Deep Science】
open/start 18:30/19:00
adv/door ¥2,200(+1order) 
streaming ¥1,000

出演〉
ジョコンダの憂鬱
YOSHIO(ケーナ奏者)
Marc Lowe
MOGRE MOGRU

〈チケット予約方法〉
・NEPOのHP予約
https://nepo.co.jp/contacts/index/1515?tab=booking
・各アーティストの取り置きも受け付けます。

<配信>
https://nepostream.myshopify.com


2022年8月8日(月) 阿佐ヶ谷TABASA


ケロッピー前田presents狂気音楽 a.k.a.クレイジーミュージック探訪
ライバッハ編

出演:ケロッピー前田、持田保

19:00スタート予定
1000円+1D

旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国体制が統治者チトーの死により崩壊の兆しを見せ始めた1980年、現スロベニアにて結成された「新スロベニア芸術」集団ライバッハ。そのファシズムを題材とした芸術運動は国家からの弾圧やユーゴスラビア紛争によるメンバーの死を経験しながらも現在に至るまで「西側にはない」独自すぎる表現方法を貫き通している。クレイジーミュージックではそんなライバッハの活動を通して、ユーゴスラビアの歴史やファシズム、パロディという抵抗運動などを検証していく予定。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【私のB級サイケ蒐集癖】第38... | トップ | ★MIX音源試聴あり!!【イベン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

素晴らしき変態音楽」カテゴリの最新記事