A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ完全コレクション#15】訳ありレコードのC~Collectors/Colours/Comfortable Chair/Common People/Corporation

2020年08月15日 01時19分29秒 | 素晴らしき変態音楽


サイケに限らずレコード・コレクターの世界にはレア盤と呼ばれ高値で取引されるレコードがある。マイナーレーベルの少数プレスであれば発売された時点ですでに稀少価値が生じることは理解できる。しかしメジャーなレコード会社から全国リリースされたにもかかわらず、配給や宣伝に問題があり市場に並ぶこともなく、ほとんど売れずに廃盤になったレコードが、40年以上経ってレア盤とされ高い需要を生む状況は不幸という言うしかない。その一方で見落とされ評価されることなく廉価盤コーナーの隅で売れ残る盤もある。筆者の嗜好としては誰からも見向きもされない不幸なレコードに希望の光を灯すことが何よりの歓びではあるが、どちらも不幸な運命を辿った「訳あり盤」である。なぜかCにはそういった訳あり盤が少なくない。

●The Collectors / Grass And Wild Strawberries

1969 / Canada: New Syndrome Records ‎– WS 1774 / 1996.7.12 Los Angeles Aron's Records $9.98

カナダのヴァンクーヴァ―で1961年に結成。最初はThe Classicsと名乗り2枚のシングルをリリースし66年にThe Collectorsに改名した。メンバーはBill Henderson (g), Claire Lawrence (sax,org,fl), Glenn Miller (b), Ross Turney (ds), Howie Vickers (vo)。68年のデビュー・アルバム『The Collectors』に続く2ndアルバムが本作『Grass And Wild Strawberries』。すべての歌詞を劇作家のGeorge Rygaが手掛けたコンセプト・アルバム。すとーりーが分からなくても、サックス、フルートを取り入れフォークやジャズの要素を持つプログレッシヴ・サイケが魅力的。特にA-6 Seventheenth Summerのミニマルなサウンドが面白い。

The Collectors - Seventeenth Summer (Live on Canadian T.V.)



●The Collectors / Seventeenth Summer

1987 / UK compilation: Edsel Records ‎– ED 214 / 1988.10.30 渋谷Tower Records ¥1,390

シングルや1stアルバムの曲を含むベスト・アルバム。初期のガレージパンクからフルートを取り入れ複雑なサウンドに変化していく様子がよくわかる。B面はすべて2ndアルバムからの選曲。Edselの発掘盤は詳細な解説や写真がついているので嬉しい。69年にヴォーカルのHowie Vickersが脱退し、残ったメンバーは70年にChillwackに名前を変えて、88年までカナダを代表するロックバンドとして活動を続けた。
http://shadwell.tripod.com/colbiog.html

The Collectors "Lydia Purple" 1968



●Colours / Colours

1968 / US: Dot Records ‎– DLP 25854 / 1986.6.6 下北沢レコファン ¥1,550

1967年にロサンゼルスにて結成。メンバーはGary Montgomery (p), Rob Edwards (g), Jack Dalton (g), Carl Radle (b), Chuck Blackwell (ds)。68年の1stアルバムは、英国風にColoursと綴ったバンド名に相応しく、ビートルズなどブリティッシュ系の洗練されたサイケポップが満載。シタール、バグパイプ、室内楽、スパニッシュ・ギター、テープ逆回転などのギミックを適度に導入し、臭みのないヴォーカル・ハーモニーで作り出す世界は、ミレニウムやサジタリアスに負けない上質なドリームポップである。なぜか評価が低いが、ソングライティングの素晴らしさを含め、極上のサイケ・アルバムだと思う。シタールポップの名曲A-5 Rather Be Me、シカゴのAortaにカヴァーされたB-4 Catalepticなど素晴らしい。

Colours -[7]- Brother Lou's Love Colony



●Colours / Atmosphere

1969 / US: Dot Records ‎– DLP 25935 / 1986.12.2 下北沢レコファン ¥1,100

69年の2ndアルバムではまるで別のバンドのようなギター中心のアシッド・ロックに転身した。ホーンセクションを導入した70年代カントリーロック風もある。メンバー・クレジットはなく、作詞作曲にGary MontgomeryとJack Daltonが載っているだけ。もしかしたら前作はアレンジャーのDave Robertsの色の強くて、本作のほうがメンバー自身のサウンドなのかもしれない。そう思って聴けば、ツインギターが印象的なアーシーなロック1-4 I Tried To Make You Love Me Last Night、ドライヴィング・ナンバーB-6 You're Highなど聴きどころも少なくない。しかしセールス的には苦戦して69年に解散。その後ベースのCarl RadleはDelaney & Bonnie、Derek & the Dominoesに参加しエリック・クラプトンのバンドでも活躍。ドラムのChuck BlackwellはLeon Russell, Joe Cocker, Taj Mahal, Freddie Kingなどと活動した。

Colours - The Three Best Songs from ATMOSPHERE



●The Comfortable Chair / The Comfortable Chair

1968 / US: Ode Records ‎– Z12-44005 / 1991.7.12 下北沢Flash Disc Ranch ¥1,280

60年代後半カリフォルニアで結成されたサンシャイン・ロック・サイケ・バンド。メンバーはBernie Schwartz (vo), Barbara Wallace (vo), Gene Garfin (woodwind,perc), Tad Baczek (g), Gary Davis (key), Greg Leroy (b,g), Warner Davis (ds)。メンバーのうち数人はマハリシ・ヨギの超越瞑想のメンバーで、バンド名は瞑想するための心地よい椅子に由来する。唯一のアルバムはザ・ドアーズのジョン・デンズモア、ロビー・クリーガーのプロデュース。男女ヴォーカル、オルガン、木管による美しいサイケ・フォークロックは、ジェファーソン・エアプレインに似ているが、よりバロック/マドリガル風のエレガントで瞑想的なサウンドを聴かせる。自然音をサンプリングしたA-1 Ain't No Good No More、ドラマティックなB-4 Stars In Heavenが特にいい。69年コメディ映画『How to Commit Marriage』にロックバンド役で出演、貴重な演奏シーンが観れる。しかしカリフォルニア以外では知られることもなく71年に解散した。
https://web.archive.org/web/20160901185238/http://comfortable-chair.com/default.htm

"How to commit marriage"~The Comfortable Chair - A Child's Garden



●The Common People / Of The People / By The People / For The People From The Common People

1969 / US: Capitol Records ‎– ST-266 / 1992.8.20 渋谷Disk Union 2 ¥6,000

カリフォルニア州Baldwin Parkで64年に結成されたハイスクール・バンドを前身とする。メンバーはDenny Robinett (vo,g), Jerrald Robinett (ds), John Bartley III (g), Michael McCarthy (b), William Fausto (p,org)。ローカルレーベルで2枚のシングルをリリースしたのち、The Seeds,Lollipop ShoppeのマネージャーだったTim Hudsonに見いだされCaptolと契約して69年にリリースした唯一のアルバム。Gandalf、Foodと並びCapitol三大メロウ・サイケと呼ばれるレア名盤である。ジャケット通りの薄明に漂うような幻想的なソフト・サイケは絶品。ファズギターやオーケストレーションも効果的。B面はコミカルなビートルズ風ナンバーやファンキーなホーンを配したガレージロックが飛び出し多く別の顔を見せる。しかしアルバムリリース直後にドラムのJerrald Robinettが溺死。アルバムもほとんどノープロモーションで売れず失意のうちにバンドは解散した。
http://www.terrascope.co.uk/Features/Common%20People.htm

THE COMMON PEOPLE - Take from you



●Copperhead / Copperhead

1973 / UK reissue 1984: Edsel Records ‎– ED 136 / 1985.12.20 下北沢レコファン ¥350

Quicksilver Messenger Serviceを脱退したギタリストJohn Cipollinaが70年に結成した。メンバーはJohn Cipollina (g), Gary Phillips (vo,g), Jim McPherson (vo,p,b), Hutch Hutchinson (vo,b), David Weber (ds)。73年にColumbiaからリリースされた唯一のアルバムは、シスコサウンドを継承するアメリカン・ロックで、シポリーナのドライヴィング・ギターがたっぷり楽しめる。不幸なことに彼らと契約したClive DavisがColumbiaを首になった煽りでCopperheadも契約も切られ、まもなく解散した。

Roller Derby Star - Copperhead



●The Corporation / The Corporation

1969 / US: Capitol Records ‎– ST 175 / 1991.9.14 ¥2,480

1968年にウィスコンシン州ミルウォーキーで結成。メンバーはKenneth Berdoll (b,vo), John Kondos (g,key,fl), Nick Kondos (ds,vo), Patrick McCarthy (key,tb), Daniel Vincent Peil (vo), Gerard Jon Smith (g,vo)。Capitolからの1stアルバム。A面はファズ・ギターのハードサイケからソウルフルなコーラスのゴスペルロックまで多才ぶりを発揮するが、画期的なのはB面すべてを使ったジョン・コルトレーン作曲のIndiaのヴァリエーションである。20分に亘るサイケデリック・ジャムは、ロックの壁を超えてジャズやインド音楽、現代音楽まで含む幅広い世界を目指す冒険である。ドラッグをキメたユルユルのジャム・セッションが多かった時代に、彼らの覚醒した集団即興は異彩を放つ。地元ではトップ3に入るヒットになったが、印税のことでCapitolと揉めて契約解除になった。

The Corporation - I Want To Get Out Of My Grave



●The Corporation / Hassels In My Mind

1970 / US: Age Of Aquarius ‎– KS-4250 / 1996.11.6 Boston Plant Records $7.99

ウィスコンシンのローカルレーベルCuca Records傘下のAge Of Aquariusからリリースされた3rdアルバム。1stのA面をさらに深く突き詰めたヘヴィサイケとソウルブルースが満載。特にファズギターの暴れっぷりが凄いB-1 Sky Facesは世の音楽がサイケデリックからハードロックへの移行する時期にサイケ側から放った報復の一撃と呼べるだろう。しかしバンドは70年に解散。その後メンバーは目立った音楽活動はしていない。

The Corporation - Sky Faces


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