A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ蒐集癖】第5夜:<地味渋ジャケ編>カリオペ/ゴスペル・オーク

2016年06月01日 00時43分58秒 | 素晴らしき変態音楽


サイケと言うと極彩色の色気狂いなヴィジュアルを想像してしまうが、地味で渋いジャケットのレコードに、聴き手の平衡感覚を狂わせたり、必要以上にリラックスさせ仕事をする気をなくさせたり、手当たり次第周りの人や動物すべてにキスして回りたくさせたりする、危険度たっぷりのサイケデリックサウンドが収録されているケースは少なくない。逆に上辺だけサイケを真似た偽物より、地味変(じみへん)こそリアルサイケな在り方ではなかろうか。今回取り上げた2枚は、筆者にとってはサイケであろうと無かろうと、聴くたびに落ち着く気分が味わえる鎮静剤ロックと言える。

●Calliope『Steamed』(Buddah Records BDS-5023 1968)
¥1350/1985.8.25/吉祥寺Disk Inn 2


CALLOPE – Clyde Heaton, Danny O'Keefe, John Simpson, Paul Goldsmith
Producer – Lewis Merenstein

ブッダレコードは60年代バブルガムミュージックやグッドタイムサウンドでヒットを飛ばしたレーベルだが、もともとサイケな要素がある。「仏陀」という名称、タイダイ風のレーベル面を見れば明か。上半身裸の4人の男が暮夜けて写るジャケットを見てピンと来た。カリオペとは蒸気オルガンであり、ギリシャ神話の叙事詩の女神のこと。オルガン入りのヘヴィサイケで、「カリフォルニア・ドリーミング」のファズヴァージョンがかっこいい。「ライク・ア・ローリング・ストーン」「ハウンド・ドッグ」などカヴァー曲、ダニー・オキーフ作のオリジナルもキャッチーかつファジーでよい。

ワシントン州シアトル出身のサイケデリック・ロック・バンド。70年代にシンガーソングライターとして活躍するダニー・オキーフ(1943年ワシントン州スポーケイン生)がベース/ヴォーカルを担当しているが、彼のバイオからオミットされる場合もある。決して悪い過去ではないと思うが、当然時代の熱に浮かれた仏陀レーベルの大人たちに乗せられて創ったアルバムとも言えるだろう。そんな空気感も含めB級好きには堪えられない一枚。

Calliope - 1968 - Steamed [Full Album]



●Gospel Oak『Gospel Oak』(Kapp Records KS-3635 1970)
¥667(3枚で¥2000)/1995.5.31/下北沢FLASH DISC RANCH


John Rapp - vocals, rhythm guitar, bass guitar
Bob Le Gate - lead guitar, vocals
Matthew Kelly - harmonica, percussion guitar
Gordon Huntley - pedal steel guitar
Cliff Hall - piano, organ
Kerry Gaines - drums, percussion

ぶっとい木の根元でポーズをとる4人の男たち。幻想的な内ジャケのポートレートから、プログレっぽい香りがするが、サウンドはカントリータッチのライトフォークロック。CSNを思わせるハーモニーとアコギのアルペジオのバックにファズギターが鳴り、ブルースハープが唸る世界はただのフォークロックじゃない。かといってドサイケでもないし、<時代の狭間のヒッピーロック>と呼ぶのが妥当だろう。しかし6人組なのに4人しか映っていないのは何故だろう。ゴスペル・オークとは北ロンドンの地名であり、地下鉄の駅名である。



サンフランシスコ生まれのマシュー・ケリーは1960年代後半に、メル・ブラウン、チャンピオン・ジャック・デュプリー、ジョン・リー・フッカー、Tボーン・ウォーカーなどの有名ブルースマンのバックでハーモニカを演奏し、音楽キャリアをスタートした。しかし彼は一攫千金を夢見てブリティッシュ・インヴェンジョン発生の地イギリスへ移住した。

同じ頃ドラマーのケリー・ゲインズ、キーボードのクリフ・ホール、ペダルスティールのゴードン・ハントリー、リード・ギターのボブ・ル・ゲイト、シンガー/ベーシストのジョニー・ラップはイギリスにいた。なんとかビートルズのパブリシストのトニー・バロウの関心を引くことに成功し、バロウがマネージャーになり、コネを使ってKAPPとのレコード契約を獲得した。レーベルはバンドをロンドンへ呼び、ケリーと引き合わせた。拡大したラインナップは、プロデューサーのマイク・リーンダーとロジャー・ワトソンとともにセルフタイトルLPでデビューした。

アルバム・リリース後マシュー・ケリーがアメリカに帰国し、ゴスペル・オークは自動消滅。ケリーはサンフランシスコロックシーンで活躍し、Grateful Dead、The New Riders Of Purple Sage、Kingfishなどで活躍する。

Gospel Oak - S/T 1970 (Full Album)


地味だけど
渋いけど
変だけど

コメント
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