A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

酒井俊 灰野敬二 瀬尾高志@新宿Pit Inn 2013.11.25(mon)

2013年11月27日 00時45分37秒 | 灰野敬二さんのこと

(撮影・掲載については主催者から許可を得ています)

やんてらの企画 vol.10 酒井俊 灰野敬二 瀬尾高志

【MEMBERS】酒井 俊(Vo)灰野敬二(Vo,G)瀬尾高志(B)

ここ3年ほどライヴの企画をさせて頂いてる「やんてら」と申します。今回のテーマは「うた」です。初共演の酒井俊と灰野敬二に、瀬尾高志に加わって頂きました。酒井俊のレパートリーを両者のうたでお送りします。



昨年、灰野敬二と外山明(ds)吉田隆一(bs)それぞれとのデュオ・ライヴを企画したやんてらの企画のよる異色セッション。実は酒井俊がどういうアーティストなのか知らず、当日の昼間にググった次第。てっきり男性だと思い込んでいた。70年代半ばにデビューしたジャズ歌手で、最近は日本語で歌い、即興演奏・民族音楽の影響・トラディショナルへの傾倒を見せているという。前衛精神を体現する林栄一とだいだらぼっちというユニットを組んでいるので、オーソドックスなジャズシンガーではないことが伺える。若いときから三上寛と灰野に憧れていたらしい。ベースの瀬尾高志は酒井とも共演する34歳の中堅。酒井の曲を演奏するらしいが、ハッキリ言って噛み合うのかどうか?灰野がヴォーカリストと共演することは余りないので興味が募る。



開演時間に間に合わなかったが、月曜日の夜なので客足が遅く最前列に座れた。アンプ2台と椅子2脚と譜面台が3本並ぶ質素なステージは、自分の部屋のような居心地よい空間。10分押しで三人が登場。ブラウンの編込みヘアーにバンダナを巻いた酒井は、一見欧米のソウルシンガー風。極限まで音量を絞り灰野がギターをつま弾く。その上に酒井がオフマイクで絞り出すように唄う。一瞬にして身体が総毛立つ。初共演とは思えないとても親密な雰囲気だが、演奏は三者三様の独自のスタイルを厳格に貫いている。妥協と反発の二元構造のモノサシでは計れない立体的なぶつかり合いがダイレクトに迫る。選曲は酒井の曲よりも哀秘謡レパートリーが中心。のべ2時間の「うた」の奔流が心に身体に優しく降り注ぐ。数日前に不失者で既存の音楽の概念を破壊する厳格な演奏を見せた灰野が、微弱音で聴き手の心のほころびを繕う。酒井は時々灰野の歌に聴き惚れて恍惚の表情を浮かながら大胆に歌い叫び呟き囁きかける。瀬尾は時宜を得た絶妙のプレイで感応する。



聴き慣れた哀秘謡が、トリオ演奏により全く新しい表現に止揚される。不失者などのレギュラープロジェクトではなく一回限りの出逢いから生まれるパフォーマンスには、先行き不透明な緊張感が漲る。しかしこの三者にとって重要なのは、間違わずに上手くやり抜くうことではなく、二度と会えないかも知れないこの瞬間を共にする歓びを、心ゆくままに味わい尽くすことに違いない。3人が全身から発する歓びの波動が、狭いライヴハウスの中に満ち溢れ、体感温度を3度上げる。情感という羽布団に包まるような快感に身を委ねながら夢見心地で「うた」に浸った2時間は病める魂のリセットにたいへん有用だった。






Set List
1st set
1. 知りたくないの
2. 赤い靴
3. 四丁目の犬
4. さくら貝の歌
5. 若者たち
6. ゴンドラの唄
7. 骨まで愛して

2nd set
1. 黒い瞳
2. 昭和ブルース
3. ヨイトマケの唄
4. 浜千鳥
5. カナリヤ
6. シャボン玉
7. 花巻農業高校
Encore
8. 見上げてごらん夜の星を

眠りとは
快楽の旅の
終着地

やんてら企画スケジュール>
2013年12月20日(金) 入谷なってるハウス
『やんてらの総力戦 vol.8 寒波日和』
組原正(グンジョーガクレヨン)+佐藤優介(カメラ=万年筆)
ニュー山バンド:柴田聡子,クリストフ・シャルル,貝和由佳子

2014年3月1日(土)入谷なってるハウス
早川義夫+熊坂るつこ+坂本弘道



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