なんだこれくしょんツアー
~きゃりーぱみゅぱみゅの宇宙シアター~
2013年11月23日(土) 埼玉 大宮ソニックシティ 大ホール
9月7日神奈川からスタートした「なんだこれくしょんツアー」全23公演のツアー・ファイナル。このツアーは関東近郊4公演を観た。ミュージカル仕立てのパッケージ・ショーなので、途中から新曲「もったいないとらんど」が加わったくらいでセットリスト・演出・振付けは殆ど同じ。それだけにきゃりー本人の気分や場所・場所・観客の違い、ツアーを重ねることによる進化が伺えてなかなか面白かった。この日は最終日なので、会場にアソビシステムの中川社長やアートディレクターの増田セバスチャンズを始めスタッフの姿が見られた。出演者と観客ともに気合いと安堵感が混在した一種独特なテンションが会場に漲っていた。
【考察】アイドルの存在意義とは?Part2
以前アイドルの存在意義に関する考察で、我が子の成長を愛でるような親心が重要な鍵だと分析した。今回のツアーを観て、さらに一歩進んだ考えに至った。歌と踊りに合わせてライトを振る観客は、まるできゃりーの奴隷のようだ。しかしそこには主従関係の押し付けがましさはない。むしろ嬉々としてステージからの指示に従っている。それは幼い子供と親の関係に近い。「見つけたよ」「出来るようになったよ」と得意げに話したり歌ったりする幼児を前にして、怒ったり無視したりする親はおるまい。目を細めて、すごいねーと微笑むのが普通の反応である。拍手してやるかもしれない。練習を重ねてきたアイドルの一生懸命のステージを、よく出来たね、と褒める観客たち。大宮ソニックシティに当てはめれば、きゃりー=幼児/観客=親の関係である。
しかしこれは一方通行の関係ではないことに注意。視点(point of view)を変えれば立場は逆転する。幼稚園のお遊戯の時間に保母が教える歌や振付けを園児たちは嬉しそうに真似する。アイドルに言われるままに手を上げたり下げたり叩いたり一生懸命真似る観客たち。ソニックシティを幼稚園とすれば、きゃりー=保母/観客=園児の関係であることも間違いない。
つまり、アイドルのコンサートに参加することで、観客は支配者(親)と被支配者(幼児)の両方の役割を演ずることが出来るのである。人間は誰でも矛盾したふたつの顔を備えており、自分の置かれた環境に応じてどちらか一方を使い分ける。判り易く言えば、社長の前ではへいこら頭を下げて、部下に対しては偉そうに怒鳴り散らす中間管理職。嫌われ者の典型だが、似た資質は誰でもあるに違いない。それに気づき苦悩する人々も多いだろう。しかしアイドルの前では卑怯な振る舞いをする必要は無い。保護者面して支配欲を満たすと同時に、相手に無条件に隷属する服従の歓びを味わえる。まるで女王様と下僕を同時に演ずるひとりSMショー。この倒錯感こそアイドルに魅せられる本能的要因に違いあるまい。
ひとりの指導者に頼るよりも、複数の師を持った方がバラエティを楽しめる。あるときはアイドル、あるときはロケンロー、あるときは変態音楽。シチュエーションを変えてプレイを楽しむのが最高の歓びだという事実が、ライヴ現場愛好家の存在理由なのかもしれない。
<Set List>
1. なんだこれくしょん
2. インベーダーインベーダー
3. くらくら
4. Super Scooter Happy
5. Drinker
6. み
7. ぱみゅぱみゅレボリューション
8. ふりそでーしょん
9. きゃりーANAN
10. みんなのうた
11. キミに100パーセント
12. ファッションモンスター
13. にんじゃりばんばん
14. のりことのりお
15. さいごのアイスクリーム
16. つけまつける
17. Unite Unite
18. おとななこども
encore
en1. もったいないとらんど
en2. ちゃんちゃかちゃんちゃん
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きゃりーちゃん
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やってケロ
▼きゃりーの大宮の印象は不良の街
▼きゃりーの今一番のお気に入りはでんぱ組.inc