<BONGIOVANNI>
AB 20014(DVD-Video) \4950
字幕:伊英
ジョルダーノ:「王様」
ジュゼッペ・アルトマーレ(Br 王様)
パトリツィア・チーニャ(S ロザリーナ)
ファビオ・アンドレオッティ(T コロンベッロ)
フランチェスコ・ファチーニ(Bs 粉挽き)
マリア・スコーニャ(Ms 粉挽きの妻)ほか
ジャンナ・フラッタ(指)カピタナータ交響楽団,
“ウンベルト・ジョルダーノ”リリコ合唱団
演出,装置,衣装:ヌッチ・ラドガーナ
収録:2006年1月,フォッジャ
ジョルダーノの「王様」は、1929年1月12日にミラノのスカラ座で初演されたオ
ペラ。ジョルダーノはこの後オペラを完成させていないので、事実上の彼の最
後のオペラです。
粉挽きの娘ロザリーナは、コロンベッロという青年と婚約していたのに、突然
恋人に冷淡になってしまった。理由を尋ねると、彼女は6日前に森の中で美しい
王様に出会い、心を奪われてしまったのだという。王様としか結婚しないとい
うロザリーナに困り果てるコロンベッロたちは、何とか王様に謁見し、事情を
話す。すると王様は、彼女を宮廷に連れてくるように命じ、さらに彼女を一晩
宮廷に泊まらせるという。これにコロンベッロたちは反対するが、王様は彼ら
を捕らえさせ、ロザリーナを呼ぶ。王の寝室で、ロザリーナは喜びに浸ってい
る。しかし王様の本当の姿は禿げ頭の老人。これにはロザリーナは幻滅、現実
に立ち返る。すべては王様の意図通りで、ロザリーナとコロンベッロが結ばれ
めでたし。
初演はトスカニーニが指揮し、スカラ座の優れた歌手たちが出演したものの、
成功は収められませんでいた。しかし近年、大人のためのお伽噺といった内容
が評価され、上演の機会も増えています。ラドガーナの演出は、ちょっとオリ
エンタル趣味を混ぜ込みつつも、極めて真っ当なもの。指揮者のフラッタが金
髪の美しいイタリア美女というのも映像ならでは楽しみです。
GB 2440 2枚組 \4350
STEREO
マスカーニ:「パリジーナ」
アタラー・ハッザン(S パリジーナ・マラテスタ)
ジュゼッペ・ヴェンディッテッリ(T ウーゴ・デステ)
アルド・プロッティ(Br ニッコロ・デステ)
カーティア・アンジェローニ(Ms ステッラ・デッラッサッシーノ)
フェルッチョ・フルラネット(Bs アルドブランディーノ・デイ・ランゴーニ)
ほか
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ(指)
ローマ歌劇場管弦楽団,合唱団
録音:1978年12月
「パリジーナ」は1913年12月15日にスカラ座で初演された、マスカーニの比較
的後期の作品。台本は、フェッラーラ侯ニッコロ3世の妻パリジーナが、ニッコ
ロの庶子ウーゴと愛し合ったために二人とも斬首されたという有名な話を素材
にしたバイロンの原作に基づいて、イタリアの文豪ガブリエーレ・ダヌンツィ
オが書いています。初演は、作品が長大で休憩込みで5時間にも達し、音楽の
素晴らしさにもかかわらず好評を得られず、マスカーニは大幅にカットをいれ
た改訂版をこしらえています。第二次世界大戦後は、ダヌンツィオの人気が下
降したこともあって数えるほどしか上演がありませんが、その中でも最も重要
なのが、このCDに収録されている1978年12月のローマ歌劇場での上演。名匠ガ
ヴァッツェーニの指揮によって、「パリジーナ」の豊かな美しさが引き出され
ています。パリジーナを歌うアタラー・ハッザンはイスラエル生まれ、ニュー
ヨーク育ちのソプラノで、ニューヨーク・シティ・オペラやメトロポリタン歌
劇場で活躍しました。ニッコロを名バリトン、プロッティが歌っているのもマ
ニアには嬉しいでしょう。さらに脇役に、当時まだ29歳だったフルラネットが
出演しています。
<haenssler>
98 253 \2080
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集Vol.3
第27番ハ長調KV.303(293c)/ 第33番ヘ長調KV.377(374e)/ 第34番変ロ長調
KV.378(317d)/ 第41番変ホ長調KV.481
ドミトリ・シトコヴェツキー(Vn)
コンスタンチン・リフシッツ(P)
録音:2008年2月8-10日ハイデルベルク、トンスタジオ・ヴァン・ゲースト /
ザントハウゼン、クララ・ヴィーク・オーディトリアム
リフシッツ&シトコヴェツキーによるモーツァルトのソナタ・シリーズ第3弾。
メロディアスな内容で、全ソナタ中屈指の人気作である第33番に、パートの比
重が対等になる最後の3曲のひとつ、第41番ほかを収めています。
ときに美しく溶け合い、ときにはげしくぶつかり合うさまは、気鋭のピアニス
トとヴェテランの味わいとの互いの長所がうまい具合に活きたもの。モダン楽
器による正攻法のスタイルというかれらの方向性は、結果としてロマンティッ
クで、たっぷりとゆたかな音楽の流れを獲得することに成功しています。
98 551 6枚組 \3950
「J.S.バッハ:待降節&クリスマス・カンタータ集」
[CD 1]
カンタータ第62番「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV.62
(待降節第1日曜日用)
録音:1979年10月、1980年2、4月
カンタータ第36番「喜び勇んで羽ばたき昇れ」BWV.36(待降節第1日曜日用)
録音:1980年8月、1981年2月、1982年3月
カンタータ第61番「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV.61
(待降節第1日曜日用)
録音:1977年12月、1978年1月
[CD 2]
カンタータ第132番「道を備えよ」BWV.132(待降節第4日曜日用)
録音:1976年9月、1977年1、4月
カンタータ第63番「キリスト者よ、この日を銘記せよ」BWV.63(降誕節第1日用)
録音:1971年2月、1981年3月
カンタータ第91番「讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ」BWV.91
(降誕節第1日用)
録音:1972年2月、1984年
[CD 3]
カンタータ第110番「われらが口を笑いにて満たすべし」BWV.110
(降誕節第1日用)
録音:1975年1、2、5月
カンタータ第191番「いと高きところには神に栄光あれ」BWV.191
(降誕節第1日用)
録音:1971年2、5月
[CD 4]
カンタータ第40番「神の子の現われたまいしは」BWV.40(降誕節第2日用)
録音:1970年6、7月
カンタータ第57番「試練に耐えうる人は幸いなり」BWV.57(降誕節第2日用)
録音: 1981年11月、1982年2月
カンタータ第121番「キリストを、われらさやけく頌め讃うべし」BWV.121
(降誕節第2日用)
録音:1980年2、4月
[CD 5]
カンタータ第64番「見よ、父なる神の大いなる愛を」BWV.64(降誕節第3日用)
録音:1977年9月、1978年1月、1981年4月
カンタータ第133番「われ汝にありて喜び」BWV.133(降誕節第3日用)
録音:1980年2、4月
カンタータ第151番「甘き慰めなるかな、わがイエスは来ませり」BWV.151
(降誕節第3日)
録音:1971年2月
[CD 6]
カンタータ第122番「新たに生まれし嬰児」BWV.122(降誕節後第1日曜日)
録音:1972年2月
カンタータ第65番「彼らみなシバより来らん」BWV.65(顕現節)
録音:1978年9月、1979年2月
カンタータ第123番「いと尊きインマヌエル、虔しき者らを率いたもう君侯」
BWV.123(顕現節)
録音:1980年2、4月
アーリン・オジェー、ヘレン・ドナート、カトリン・グラーフ、インガ・ニー
ルセン、ノブコ・ガモウ=ヤマモト(S)
ユリア・ハマリ、ドリス・ゾッフェル、アン・マレー、ヒルデガルド・ラウリ
ヒ、ガブリエーレ・シュレッケンバッハ、ヘレン・ワッツ、ヘルラン・ガード
ウ、ヴェレナ・ゴール(A)
ペーター・シュライアー、クルト・エクヴィルツ、アルド・バルディン、アー
ダルベルト・クラウス(T)
ヴォルフガング・シェーネ、ヴァルター・ヘルトヴァイン、ジークムント・ニ
ムスゲルン、フィリップ・フッテンロッハー、ハンス=フリードリヒ・クンツ、
ニクラウス・テューラー(Bs)
ヘルムート・リリング(指)
シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム
シュトゥットガルト・ゲヒンゲン聖歌隊
場所:シュトゥットガルト記念教会
ヘンスラー社による不滅の金字塔「バッハ大全集」でシリーズの監修を務めた
リリング。巨匠が完成させたカンタータの全曲録音より、当セットでは待降節
と降誕節(クリスマス)にちなんだナンバーを収めています。
多彩なソリストの並ぶなか、目を引くのがいまは亡きオジェー。これは美声で
知られた彼女の姿を知るうえで、最良の録音といえるのではないでしょうか。
さらに、器楽のゲストもじつに豪華な顔ぶれで、フルートのペーター=ルーカ
ス・グラーフ(第110番、第123番、第151番、第191番)、オーボエの宮本文昭
(第57番)やインゴ・ゴリツキ(第132番、第151番)、ファゴットのクラウス・
トゥーネマン(第110番)といった具合。アンサンブルもよく練られており、や
さしさと喜ばしい雰囲気に満ちた内容に、安定した音楽を聞かせるリリングの
手腕はさすがといったところでしょう。
なお、ブックレットは演奏家およびトラック・リストとドイツ語&英語歌詞訳
のみの仕様となっています。
<Simax>
PSC 1170(SACD-Hybrid) \2280
オリヴィエ・メシアン:初期のオルガン作品集
キリストの昇天(1934)、
二枚折の絵-地上の生と至福の永遠性に関するエッセイ(1929)、
前奏曲(c.1930s pub.2002)、聖体秘蹟への捧げ物(c.1930s pub.2001)、
天上の宴(1928 rev.1960)(第2版)、永遠の教会の出現(1932)
インゲル=リーセ・ウルスルード(Org)
録音:2008年9月14日-16日 聖ニコライ教会(ハルムスタード、スウェーデン)
使用楽器:聖ニコライ教会のPels & van Leeuwen オルガン(スヘルトーヘンボ
ス、オランダ)(2003年)
制作:アルネ・アクセルベルグ、インゲル=リーセ・ウルスルード
録音:アルネ・アクセルベルグ
20世紀の音楽の展開にさまざまな影響を与えたオリヴィエ・メシアン。サント
トリニテ教会のオルガニストに就任する前の1928年にオルガンのための作曲を
始め、このジャンルの作品を探ることで、彼の音楽が展開していくプロセスを
たどることができると言われます。メシアンの初期オルガン作品集。1933年に
発表した管弦楽のための作品を編曲し、新たに第3楽章を作曲した「キリストの
昇天」。後に第2部が「世の終わりのための四重奏曲」に使われた「二枚折の
絵」。「前奏曲」と「聖体秘蹟への捧げ物」は、遺品の中から見つかり、1930
年代に書かれた作品と推測されています。最初に出版されたオルガン曲「天上
の宴」は、1960年の第2版による演奏です。
インゲル=リーセ・ウルスルード(1963-)はノルウェー生まれ。ノルウェー音楽
アカデミーで教会音楽の学士号を取得。1996年、オスロ・コンサートホールで
コンサートオルガニストとしてデビュー。ノルウェー音楽アカデミー、トロン
ハイム音楽院、ベルゲンのグリーグ・アカデミーで教えながら、オスロのウラ
ニエンボルグ教会の首席オルガニストを務めています。多くの優秀録音で高名
なエンジニア、アルネ・アクセルベルグが共同制作と録音・編集を担当。ス
ウェーデン西海岸の都市ハルムスタードの聖ニコライ教会で録音セッションが
行われました。5.1チャンネル・サラウンド(またはステレオ)のSACDと、2チャ
ンネルにミックスダウンした CD のハイブリッド・ディスク。宗教作品にふさ
わしい清澄なオルガンの音は、このアルバムの愉しみのひとつでしょう。メシ
アンの曲についてのノーツは、ウルスルード自身が執筆しました。
<Alba>
ABCD 269 \1980
ペール・ヘンリク・ノルドグレン(1944-2008):天空の光 作品63(1984-85)
メルヤ・ヴィルッカラ(S) アンシ・ヒルヴォネン(T)
リトヴァ・タルヴィティエ(ヨウヒッコ)
中央オストロボスニア室内合唱団 カウスティネン児童合唱団
民俗楽器オーケストラ
オストロボスニア室内管弦楽団 ユハ・カンガス(指)
録音:1999年12月4日-5日 民俗芸術センター、カウスティネンホール(フィンラ
ンド)(ライヴ)]
制作:ラウラ・ヘイキンヘイモ 録音:アンティ・リンタマキ
ペール・ヘンリク・ノルドグレンの「天空の光」は、フィンランド音楽のなか
でも異彩を放つ作品のひとつに挙げられます。『カレヴァラ』出版150周年を
記念する作品としてカウスティネン文化委員会から委嘱を受けたノルドグレン
は、『カレヴァラ』にも描かれた創造と太陽の解放の物語を題材に、「導入部」
「夜と昼の鳥」「月を呑みこんだ者の追放」「地底の国マナラ深く、悪の力が
光を隠す」「太陽と月と星の解放」の5つの部分からなる作品を完成させまし
た。オーケストレーションは独創的です。2組の弦楽五重奏、木管五重奏、2組
の打楽器、ハープシコード、ピアノという編成のオーケストラ、児童合唱と混
声合唱、ソプラノとテノールの独唱、さらにフィンランドの太古の響きと色を
求め、5つの5弦カンテレ、3つの36弦カンテレ、2つの山羊の角笛、葦笛、牧童
笛、うなり板、打奏板、シャーマンドラム、ヨウヒッコ(2-4弦の弓形竪琴)に
よる民俗楽器オーケストラが加えられました。フィンランド伝統の楽器が使
われた背景には、技術の専門化した現代社会と、技巧に走り、学究的になりす
ぎた現代音楽への抗議がこめらているといわれます。「夜と昼の鳥」と「太陽
と月と星の解放」に合唱と独唱が加わり、『カレヴァラ』によらない独自のテ
クストを歌います。初演は1985年2月3日のカウスティネン室内音楽週間。コッ
コラ管弦楽団とカウスティネンの音楽家のアンサンブルをヨルマ・パヌラが指
揮しました。この作品が1999年に演奏された際に第3部分として追加された、
歌手(テノール)、ヨウヒッコとサンプリングテープのための「間奏曲-天体の
宇宙ダンス」が最後のトラックに収録されています。
<Anthonello MODE>
AMOE 10011 \2450
「カチュワとトナーダ」-南米ペルーのバロック音楽・トルヒーヨ写本-
われらが主の生誕に寄せて(ヴァイオリンと通奏低音を伴う2声または4声のカ
チュワ)/われらが主キリストの生誕に寄せて(通奏低音を伴う声楽のためのカ
チュワ)/コンゴ(声楽と通奏低音を伴う、歌い踊るためのトナーダ)/チモの
バイレ(ヴァイオリンと通奏低音のための)/ピファーノと太鼓を伴うバイレ
(4人または8人、あるいはそれ以上の数の踊り手が手に刀やハンカチを持って
踊るコントラダンサ形式の舞曲)/チモのトナーダ/優美な少女(声楽と通奏低
音を伴う、歌い踊るためのトナーダ)/うさぎ(声楽と通奏低音を伴う、歌い踊
るためのトナーダ)/嫉妬深い女(ランバイェケの町を起源とする歌うためのト
ナーダ)/鳩(ランバイェケの町を起源とする歌い踊るためのトナディーヤ)/
踊るためのランチャス/ダイヤモンド(チャチャポヤスを起源とする歌い踊る
ためのトナーダ)/トゥパマロ(カハマルカを起源とするトナーダ)/ウィチョ
ー(チャチャポヤスを起源とするトナーダ)/小悪魔(グアマクチョを起源とす
る歌うためのトナーダ)/別れ(グアマクチョを起源とするカチュワ)/トゥパ
マロ(カハマルカを起源とするトナーダ)/ウィチョー(トルヒーヨのカルメル
派修道女を讃えて、オトゥスコの8人の踊り子が歌い踊った牧歌的カチュワ)/
善良な恋人(山岳地帯を起源とするカチュイータ)
アントネッロ - 濱田芳通(リコーダー)、石川かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
西山まりえ(ハープ)、
アドリアン・ファン・デル・スプール(歌・ギター)、
わだみつひろ(パーカッション)、戸田薫(ヴァイオリン)、
藤沢エリカ(歌)、岡庭弥生(歌)
ジャケット・デザイン:さそうあきら
今日ペルーの音楽といえば「コンドルは飛んでいく」に代表されるフォルクロ
ーレであり、その音楽は第二次大戦後、メディアに乗って世界中に広まりまし
た。しかしそれ以前のペルーの音楽状況を知る資料は決して多くありません。
今回アントネッロが取り上げた「トルヒーヨの写本」とは1778年にペルー北部
最大の都市トルヒーヨに赴任したスペインの司教バルタサール・マルティネス
・コンパニョンによって収集されたこの地域の生活・音楽・芸術・文化を総称
したもの。なかでもそこに残された音楽の重要性は、非常に高いと言えるでし
ょう。というのも、この時代におけるこの地域の音楽は、今日主として口頭で
伝承されているもの以外には存在せず、それだけに、これらの資料はラテンア
メリカ音楽の起源と進化を知るうえで、きわめて貴重なもの。これらの写本は、
スペインによる南アメリカの植民地支配の最後の30年間における音楽に関して、
豊かな情報を与えてくれます。
ここでアントネッロと共演しているアドリアン・ファン・デル・スプールはア
ルゼンチンに生まれ、オランダのアムステルダム・スウェーリンク音楽院で指
揮と作曲を学んだ後、ユトレヒト音楽祭の音楽監督をつとめる声楽家兼ギター
奏者。このトルヒーヨ写本研究における世界的権威であり、かねてからこの写
本に興味を抱いていた濱田芳通のたっての希望でレコーディングが実現したも
の。
「天正少年使節の音楽」(AMOE.10004)でキリシタン時代からの日本人の音楽の
源流をさかのぼって比類なき高い評価を受けたアントネッロが、再び万を持し
て放つ超大作。
AMOE 10012 \2450
ユーモラス・トビー -ヒューム大尉のガンバ曲集-
トバイアス・ヒューム(1569-1645):
1.グッド・アゲイン
2.タバコ
3.兵士の決意
4.愛の気晴らし
5.音楽の情熱
6.ヒューム大尉のパヴァン
7.兵士のガリアルド
8.アルメイン
9.ジグ
10.兵士の歌
11.聞け、聞け
12.貴婦人のジグ
13.死
14.ジグ
15.兵士のマーチ
16.ガンバの心
17.パヴァン
石川かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)&アントネッロ
濱田芳通(コルネット)西山まりえ(ハープ)春日保人(バリトン)
わだみつひろ(パーカッション)
ジャケット・デザイン:さそうあきら
アントネッロのコア・メンバーとして活躍する石川をソロ・フューチャーした
アルバムは他社からリリースされすでに廃盤となったバッハのソナタ集以来久
々のリリース。
マレと並び、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者にとって重要なヒュームのレパートリ
ーだが、これまでの他の奏者による録音を遥かに凌駕するものであることは一
聴して明らか。西山まりえのハープ、濱田芳通のコルネット、わだみつひろの
パーカッション、春日保人の歌など、アントネッロ・ファンにおなじみのメン
バーがゲスト参加しているなど、アントネッロ流のこだわりが遺憾なく発揮さ
れています。石川自身による、オーヴァーダビングを駆使した二重奏、三重奏
も適宜取り入れられ、三次元的な広がりを効果的に演出。ヒュームの曲になじ
みがないリスナーにも楽しめるように作られています。
すでに無伴奏の作品2曲(ヒューム大尉のパヴァン、グッド・アゲイン)は、
24Bit/96kHzによるハイレゾルーションWAVファイルが共同通信社のMOOK「PCオ
ーディオFAN」の付録データCDに収録(ライヴによるテイクでこのCDのセッショ
ンテイクとは別)。MOOKは6月18日の発売からわずか数日にして品切れになるな
ど大好評。同時に、石川の高いレベルの演奏も大きな話題になっています。
AB 20014(DVD-Video) \4950
字幕:伊英
ジョルダーノ:「王様」
ジュゼッペ・アルトマーレ(Br 王様)
パトリツィア・チーニャ(S ロザリーナ)
ファビオ・アンドレオッティ(T コロンベッロ)
フランチェスコ・ファチーニ(Bs 粉挽き)
マリア・スコーニャ(Ms 粉挽きの妻)ほか
ジャンナ・フラッタ(指)カピタナータ交響楽団,
“ウンベルト・ジョルダーノ”リリコ合唱団
演出,装置,衣装:ヌッチ・ラドガーナ
収録:2006年1月,フォッジャ
ジョルダーノの「王様」は、1929年1月12日にミラノのスカラ座で初演されたオ
ペラ。ジョルダーノはこの後オペラを完成させていないので、事実上の彼の最
後のオペラです。
粉挽きの娘ロザリーナは、コロンベッロという青年と婚約していたのに、突然
恋人に冷淡になってしまった。理由を尋ねると、彼女は6日前に森の中で美しい
王様に出会い、心を奪われてしまったのだという。王様としか結婚しないとい
うロザリーナに困り果てるコロンベッロたちは、何とか王様に謁見し、事情を
話す。すると王様は、彼女を宮廷に連れてくるように命じ、さらに彼女を一晩
宮廷に泊まらせるという。これにコロンベッロたちは反対するが、王様は彼ら
を捕らえさせ、ロザリーナを呼ぶ。王の寝室で、ロザリーナは喜びに浸ってい
る。しかし王様の本当の姿は禿げ頭の老人。これにはロザリーナは幻滅、現実
に立ち返る。すべては王様の意図通りで、ロザリーナとコロンベッロが結ばれ
めでたし。
初演はトスカニーニが指揮し、スカラ座の優れた歌手たちが出演したものの、
成功は収められませんでいた。しかし近年、大人のためのお伽噺といった内容
が評価され、上演の機会も増えています。ラドガーナの演出は、ちょっとオリ
エンタル趣味を混ぜ込みつつも、極めて真っ当なもの。指揮者のフラッタが金
髪の美しいイタリア美女というのも映像ならでは楽しみです。
GB 2440 2枚組 \4350
STEREO
マスカーニ:「パリジーナ」
アタラー・ハッザン(S パリジーナ・マラテスタ)
ジュゼッペ・ヴェンディッテッリ(T ウーゴ・デステ)
アルド・プロッティ(Br ニッコロ・デステ)
カーティア・アンジェローニ(Ms ステッラ・デッラッサッシーノ)
フェルッチョ・フルラネット(Bs アルドブランディーノ・デイ・ランゴーニ)
ほか
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ(指)
ローマ歌劇場管弦楽団,合唱団
録音:1978年12月
「パリジーナ」は1913年12月15日にスカラ座で初演された、マスカーニの比較
的後期の作品。台本は、フェッラーラ侯ニッコロ3世の妻パリジーナが、ニッコ
ロの庶子ウーゴと愛し合ったために二人とも斬首されたという有名な話を素材
にしたバイロンの原作に基づいて、イタリアの文豪ガブリエーレ・ダヌンツィ
オが書いています。初演は、作品が長大で休憩込みで5時間にも達し、音楽の
素晴らしさにもかかわらず好評を得られず、マスカーニは大幅にカットをいれ
た改訂版をこしらえています。第二次世界大戦後は、ダヌンツィオの人気が下
降したこともあって数えるほどしか上演がありませんが、その中でも最も重要
なのが、このCDに収録されている1978年12月のローマ歌劇場での上演。名匠ガ
ヴァッツェーニの指揮によって、「パリジーナ」の豊かな美しさが引き出され
ています。パリジーナを歌うアタラー・ハッザンはイスラエル生まれ、ニュー
ヨーク育ちのソプラノで、ニューヨーク・シティ・オペラやメトロポリタン歌
劇場で活躍しました。ニッコロを名バリトン、プロッティが歌っているのもマ
ニアには嬉しいでしょう。さらに脇役に、当時まだ29歳だったフルラネットが
出演しています。
<haenssler>
98 253 \2080
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集Vol.3
第27番ハ長調KV.303(293c)/ 第33番ヘ長調KV.377(374e)/ 第34番変ロ長調
KV.378(317d)/ 第41番変ホ長調KV.481
ドミトリ・シトコヴェツキー(Vn)
コンスタンチン・リフシッツ(P)
録音:2008年2月8-10日ハイデルベルク、トンスタジオ・ヴァン・ゲースト /
ザントハウゼン、クララ・ヴィーク・オーディトリアム
リフシッツ&シトコヴェツキーによるモーツァルトのソナタ・シリーズ第3弾。
メロディアスな内容で、全ソナタ中屈指の人気作である第33番に、パートの比
重が対等になる最後の3曲のひとつ、第41番ほかを収めています。
ときに美しく溶け合い、ときにはげしくぶつかり合うさまは、気鋭のピアニス
トとヴェテランの味わいとの互いの長所がうまい具合に活きたもの。モダン楽
器による正攻法のスタイルというかれらの方向性は、結果としてロマンティッ
クで、たっぷりとゆたかな音楽の流れを獲得することに成功しています。
98 551 6枚組 \3950
「J.S.バッハ:待降節&クリスマス・カンタータ集」
[CD 1]
カンタータ第62番「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV.62
(待降節第1日曜日用)
録音:1979年10月、1980年2、4月
カンタータ第36番「喜び勇んで羽ばたき昇れ」BWV.36(待降節第1日曜日用)
録音:1980年8月、1981年2月、1982年3月
カンタータ第61番「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV.61
(待降節第1日曜日用)
録音:1977年12月、1978年1月
[CD 2]
カンタータ第132番「道を備えよ」BWV.132(待降節第4日曜日用)
録音:1976年9月、1977年1、4月
カンタータ第63番「キリスト者よ、この日を銘記せよ」BWV.63(降誕節第1日用)
録音:1971年2月、1981年3月
カンタータ第91番「讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ」BWV.91
(降誕節第1日用)
録音:1972年2月、1984年
[CD 3]
カンタータ第110番「われらが口を笑いにて満たすべし」BWV.110
(降誕節第1日用)
録音:1975年1、2、5月
カンタータ第191番「いと高きところには神に栄光あれ」BWV.191
(降誕節第1日用)
録音:1971年2、5月
[CD 4]
カンタータ第40番「神の子の現われたまいしは」BWV.40(降誕節第2日用)
録音:1970年6、7月
カンタータ第57番「試練に耐えうる人は幸いなり」BWV.57(降誕節第2日用)
録音: 1981年11月、1982年2月
カンタータ第121番「キリストを、われらさやけく頌め讃うべし」BWV.121
(降誕節第2日用)
録音:1980年2、4月
[CD 5]
カンタータ第64番「見よ、父なる神の大いなる愛を」BWV.64(降誕節第3日用)
録音:1977年9月、1978年1月、1981年4月
カンタータ第133番「われ汝にありて喜び」BWV.133(降誕節第3日用)
録音:1980年2、4月
カンタータ第151番「甘き慰めなるかな、わがイエスは来ませり」BWV.151
(降誕節第3日)
録音:1971年2月
[CD 6]
カンタータ第122番「新たに生まれし嬰児」BWV.122(降誕節後第1日曜日)
録音:1972年2月
カンタータ第65番「彼らみなシバより来らん」BWV.65(顕現節)
録音:1978年9月、1979年2月
カンタータ第123番「いと尊きインマヌエル、虔しき者らを率いたもう君侯」
BWV.123(顕現節)
録音:1980年2、4月
アーリン・オジェー、ヘレン・ドナート、カトリン・グラーフ、インガ・ニー
ルセン、ノブコ・ガモウ=ヤマモト(S)
ユリア・ハマリ、ドリス・ゾッフェル、アン・マレー、ヒルデガルド・ラウリ
ヒ、ガブリエーレ・シュレッケンバッハ、ヘレン・ワッツ、ヘルラン・ガード
ウ、ヴェレナ・ゴール(A)
ペーター・シュライアー、クルト・エクヴィルツ、アルド・バルディン、アー
ダルベルト・クラウス(T)
ヴォルフガング・シェーネ、ヴァルター・ヘルトヴァイン、ジークムント・ニ
ムスゲルン、フィリップ・フッテンロッハー、ハンス=フリードリヒ・クンツ、
ニクラウス・テューラー(Bs)
ヘルムート・リリング(指)
シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム
シュトゥットガルト・ゲヒンゲン聖歌隊
場所:シュトゥットガルト記念教会
ヘンスラー社による不滅の金字塔「バッハ大全集」でシリーズの監修を務めた
リリング。巨匠が完成させたカンタータの全曲録音より、当セットでは待降節
と降誕節(クリスマス)にちなんだナンバーを収めています。
多彩なソリストの並ぶなか、目を引くのがいまは亡きオジェー。これは美声で
知られた彼女の姿を知るうえで、最良の録音といえるのではないでしょうか。
さらに、器楽のゲストもじつに豪華な顔ぶれで、フルートのペーター=ルーカ
ス・グラーフ(第110番、第123番、第151番、第191番)、オーボエの宮本文昭
(第57番)やインゴ・ゴリツキ(第132番、第151番)、ファゴットのクラウス・
トゥーネマン(第110番)といった具合。アンサンブルもよく練られており、や
さしさと喜ばしい雰囲気に満ちた内容に、安定した音楽を聞かせるリリングの
手腕はさすがといったところでしょう。
なお、ブックレットは演奏家およびトラック・リストとドイツ語&英語歌詞訳
のみの仕様となっています。
<Simax>
PSC 1170(SACD-Hybrid) \2280
オリヴィエ・メシアン:初期のオルガン作品集
キリストの昇天(1934)、
二枚折の絵-地上の生と至福の永遠性に関するエッセイ(1929)、
前奏曲(c.1930s pub.2002)、聖体秘蹟への捧げ物(c.1930s pub.2001)、
天上の宴(1928 rev.1960)(第2版)、永遠の教会の出現(1932)
インゲル=リーセ・ウルスルード(Org)
録音:2008年9月14日-16日 聖ニコライ教会(ハルムスタード、スウェーデン)
使用楽器:聖ニコライ教会のPels & van Leeuwen オルガン(スヘルトーヘンボ
ス、オランダ)(2003年)
制作:アルネ・アクセルベルグ、インゲル=リーセ・ウルスルード
録音:アルネ・アクセルベルグ
20世紀の音楽の展開にさまざまな影響を与えたオリヴィエ・メシアン。サント
トリニテ教会のオルガニストに就任する前の1928年にオルガンのための作曲を
始め、このジャンルの作品を探ることで、彼の音楽が展開していくプロセスを
たどることができると言われます。メシアンの初期オルガン作品集。1933年に
発表した管弦楽のための作品を編曲し、新たに第3楽章を作曲した「キリストの
昇天」。後に第2部が「世の終わりのための四重奏曲」に使われた「二枚折の
絵」。「前奏曲」と「聖体秘蹟への捧げ物」は、遺品の中から見つかり、1930
年代に書かれた作品と推測されています。最初に出版されたオルガン曲「天上
の宴」は、1960年の第2版による演奏です。
インゲル=リーセ・ウルスルード(1963-)はノルウェー生まれ。ノルウェー音楽
アカデミーで教会音楽の学士号を取得。1996年、オスロ・コンサートホールで
コンサートオルガニストとしてデビュー。ノルウェー音楽アカデミー、トロン
ハイム音楽院、ベルゲンのグリーグ・アカデミーで教えながら、オスロのウラ
ニエンボルグ教会の首席オルガニストを務めています。多くの優秀録音で高名
なエンジニア、アルネ・アクセルベルグが共同制作と録音・編集を担当。ス
ウェーデン西海岸の都市ハルムスタードの聖ニコライ教会で録音セッションが
行われました。5.1チャンネル・サラウンド(またはステレオ)のSACDと、2チャ
ンネルにミックスダウンした CD のハイブリッド・ディスク。宗教作品にふさ
わしい清澄なオルガンの音は、このアルバムの愉しみのひとつでしょう。メシ
アンの曲についてのノーツは、ウルスルード自身が執筆しました。
<Alba>
ABCD 269 \1980
ペール・ヘンリク・ノルドグレン(1944-2008):天空の光 作品63(1984-85)
メルヤ・ヴィルッカラ(S) アンシ・ヒルヴォネン(T)
リトヴァ・タルヴィティエ(ヨウヒッコ)
中央オストロボスニア室内合唱団 カウスティネン児童合唱団
民俗楽器オーケストラ
オストロボスニア室内管弦楽団 ユハ・カンガス(指)
録音:1999年12月4日-5日 民俗芸術センター、カウスティネンホール(フィンラ
ンド)(ライヴ)]
制作:ラウラ・ヘイキンヘイモ 録音:アンティ・リンタマキ
ペール・ヘンリク・ノルドグレンの「天空の光」は、フィンランド音楽のなか
でも異彩を放つ作品のひとつに挙げられます。『カレヴァラ』出版150周年を
記念する作品としてカウスティネン文化委員会から委嘱を受けたノルドグレン
は、『カレヴァラ』にも描かれた創造と太陽の解放の物語を題材に、「導入部」
「夜と昼の鳥」「月を呑みこんだ者の追放」「地底の国マナラ深く、悪の力が
光を隠す」「太陽と月と星の解放」の5つの部分からなる作品を完成させまし
た。オーケストレーションは独創的です。2組の弦楽五重奏、木管五重奏、2組
の打楽器、ハープシコード、ピアノという編成のオーケストラ、児童合唱と混
声合唱、ソプラノとテノールの独唱、さらにフィンランドの太古の響きと色を
求め、5つの5弦カンテレ、3つの36弦カンテレ、2つの山羊の角笛、葦笛、牧童
笛、うなり板、打奏板、シャーマンドラム、ヨウヒッコ(2-4弦の弓形竪琴)に
よる民俗楽器オーケストラが加えられました。フィンランド伝統の楽器が使
われた背景には、技術の専門化した現代社会と、技巧に走り、学究的になりす
ぎた現代音楽への抗議がこめらているといわれます。「夜と昼の鳥」と「太陽
と月と星の解放」に合唱と独唱が加わり、『カレヴァラ』によらない独自のテ
クストを歌います。初演は1985年2月3日のカウスティネン室内音楽週間。コッ
コラ管弦楽団とカウスティネンの音楽家のアンサンブルをヨルマ・パヌラが指
揮しました。この作品が1999年に演奏された際に第3部分として追加された、
歌手(テノール)、ヨウヒッコとサンプリングテープのための「間奏曲-天体の
宇宙ダンス」が最後のトラックに収録されています。
<Anthonello MODE>
AMOE 10011 \2450
「カチュワとトナーダ」-南米ペルーのバロック音楽・トルヒーヨ写本-
われらが主の生誕に寄せて(ヴァイオリンと通奏低音を伴う2声または4声のカ
チュワ)/われらが主キリストの生誕に寄せて(通奏低音を伴う声楽のためのカ
チュワ)/コンゴ(声楽と通奏低音を伴う、歌い踊るためのトナーダ)/チモの
バイレ(ヴァイオリンと通奏低音のための)/ピファーノと太鼓を伴うバイレ
(4人または8人、あるいはそれ以上の数の踊り手が手に刀やハンカチを持って
踊るコントラダンサ形式の舞曲)/チモのトナーダ/優美な少女(声楽と通奏低
音を伴う、歌い踊るためのトナーダ)/うさぎ(声楽と通奏低音を伴う、歌い踊
るためのトナーダ)/嫉妬深い女(ランバイェケの町を起源とする歌うためのト
ナーダ)/鳩(ランバイェケの町を起源とする歌い踊るためのトナディーヤ)/
踊るためのランチャス/ダイヤモンド(チャチャポヤスを起源とする歌い踊る
ためのトナーダ)/トゥパマロ(カハマルカを起源とするトナーダ)/ウィチョ
ー(チャチャポヤスを起源とするトナーダ)/小悪魔(グアマクチョを起源とす
る歌うためのトナーダ)/別れ(グアマクチョを起源とするカチュワ)/トゥパ
マロ(カハマルカを起源とするトナーダ)/ウィチョー(トルヒーヨのカルメル
派修道女を讃えて、オトゥスコの8人の踊り子が歌い踊った牧歌的カチュワ)/
善良な恋人(山岳地帯を起源とするカチュイータ)
アントネッロ - 濱田芳通(リコーダー)、石川かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
西山まりえ(ハープ)、
アドリアン・ファン・デル・スプール(歌・ギター)、
わだみつひろ(パーカッション)、戸田薫(ヴァイオリン)、
藤沢エリカ(歌)、岡庭弥生(歌)
ジャケット・デザイン:さそうあきら
今日ペルーの音楽といえば「コンドルは飛んでいく」に代表されるフォルクロ
ーレであり、その音楽は第二次大戦後、メディアに乗って世界中に広まりまし
た。しかしそれ以前のペルーの音楽状況を知る資料は決して多くありません。
今回アントネッロが取り上げた「トルヒーヨの写本」とは1778年にペルー北部
最大の都市トルヒーヨに赴任したスペインの司教バルタサール・マルティネス
・コンパニョンによって収集されたこの地域の生活・音楽・芸術・文化を総称
したもの。なかでもそこに残された音楽の重要性は、非常に高いと言えるでし
ょう。というのも、この時代におけるこの地域の音楽は、今日主として口頭で
伝承されているもの以外には存在せず、それだけに、これらの資料はラテンア
メリカ音楽の起源と進化を知るうえで、きわめて貴重なもの。これらの写本は、
スペインによる南アメリカの植民地支配の最後の30年間における音楽に関して、
豊かな情報を与えてくれます。
ここでアントネッロと共演しているアドリアン・ファン・デル・スプールはア
ルゼンチンに生まれ、オランダのアムステルダム・スウェーリンク音楽院で指
揮と作曲を学んだ後、ユトレヒト音楽祭の音楽監督をつとめる声楽家兼ギター
奏者。このトルヒーヨ写本研究における世界的権威であり、かねてからこの写
本に興味を抱いていた濱田芳通のたっての希望でレコーディングが実現したも
の。
「天正少年使節の音楽」(AMOE.10004)でキリシタン時代からの日本人の音楽の
源流をさかのぼって比類なき高い評価を受けたアントネッロが、再び万を持し
て放つ超大作。
AMOE 10012 \2450
ユーモラス・トビー -ヒューム大尉のガンバ曲集-
トバイアス・ヒューム(1569-1645):
1.グッド・アゲイン
2.タバコ
3.兵士の決意
4.愛の気晴らし
5.音楽の情熱
6.ヒューム大尉のパヴァン
7.兵士のガリアルド
8.アルメイン
9.ジグ
10.兵士の歌
11.聞け、聞け
12.貴婦人のジグ
13.死
14.ジグ
15.兵士のマーチ
16.ガンバの心
17.パヴァン
石川かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)&アントネッロ
濱田芳通(コルネット)西山まりえ(ハープ)春日保人(バリトン)
わだみつひろ(パーカッション)
ジャケット・デザイン:さそうあきら
アントネッロのコア・メンバーとして活躍する石川をソロ・フューチャーした
アルバムは他社からリリースされすでに廃盤となったバッハのソナタ集以来久
々のリリース。
マレと並び、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者にとって重要なヒュームのレパートリ
ーだが、これまでの他の奏者による録音を遥かに凌駕するものであることは一
聴して明らか。西山まりえのハープ、濱田芳通のコルネット、わだみつひろの
パーカッション、春日保人の歌など、アントネッロ・ファンにおなじみのメン
バーがゲスト参加しているなど、アントネッロ流のこだわりが遺憾なく発揮さ
れています。石川自身による、オーヴァーダビングを駆使した二重奏、三重奏
も適宜取り入れられ、三次元的な広がりを効果的に演出。ヒュームの曲になじ
みがないリスナーにも楽しめるように作られています。
すでに無伴奏の作品2曲(ヒューム大尉のパヴァン、グッド・アゲイン)は、
24Bit/96kHzによるハイレゾルーションWAVファイルが共同通信社のMOOK「PCオ
ーディオFAN」の付録データCDに収録(ライヴによるテイクでこのCDのセッショ
ンテイクとは別)。MOOKは6月18日の発売からわずか数日にして品切れになるな
ど大好評。同時に、石川の高いレベルの演奏も大きな話題になっています。