クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

12-06 No.27

2012年06月26日 16時26分47秒 | Weblog
<ARTE VERUM>
QEC 2012ENC(3CD+ボーナスCD) ¥2850
2012年エリザベート王妃国際コンクール・ヴァイオリン部門
アンドレイ・バラーノフ【ロシア(第1位、クイーン・ファビオラ賞)】
成田達輝【日本(第2位、ウジェーヌ・イザイ賞)】
シン・ヒョンス【韓国(第3位)】
エステル・ユー【韓国(第4位)】
チェン・ユーチェン【台湾(第5位)】
アルティオム・シシュコフ【ベラルーシ(第6位)】
[CD1]
(1)ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 op.77
/アンドレイ・バラーノフ
(2)シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47/シン・ヒョンス
[CD2]
(1)イザイ:ソナタ ニ短調 op.27-3/成田達輝
(2)ヴィクトール・キーシン:カプリス/アンドレイ・バラーノフ
(3)ラヴェル:ソナタ ト長調/チェン・ユーチェン
(4)ブロッホ:ニーグン/アルティオム・シシュコフ
(5)パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.6/成田達輝
[CD3]
(1)ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61/エステル・ユー
(2)ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108/シン・ヒョンス
(3)酒井健治:ヴァイオリン協奏曲
[ボーナスCD]
(1)モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 ト長調 KV 216(カデンツァ:S.フランコ)
/アンドレイ・バラーノフ
(2)モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 KV 218(カデンツァ:J.ヨアヒム)
/シン・ヒョンス
(3)モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 イ長調 KV 219(カデンツァ:J.ヨアヒム)
/アルティオム・シシュコフ
管弦楽/ベルギー国立管弦楽団、
ジルベール・ヴァルガ指揮[CD1][CD2:(5)][CD3:(1)&(8)]
ピアノ/ダナ・プロトポペスク[CD2:(2)]、
ダニエル・ブルーメンタール[CD2:(3)]、ダシャ・モロズ[CD2:(4)]、
佐藤卓史[CD3:(2)]
ライヴ録音/2012年5月7-12日(セミ・ファイナル)および2012年5月21-26日
(ファイナル)
2012年5月に行われた世界三大コンクールのひとつ、エリザベート王妃国際音
楽コンクール・ヴァイオリン部門の、セミ・ファイナルおよびファイナルの実
況ライヴ録音が早くも登場!第2位に入賞し大きな話題となった、20歳の成田
達輝(1992年生まれ)の演奏が聴けるとあって、注目です!さらに、2011年に作
曲家部門で日本人として35年ぶりにグランプリに輝いた酒井健治の「ヴァイオ
リンとオーケストラのための協奏曲」も成田の演奏で収録されており、話題性
満点のセットとなっています!
第1位になったバラーノフのショスタコーヴィチの協奏曲は、研ぎ澄まされた音
色と極限までの集中で、圧巻の出来栄え。成田のパガニーニの協奏曲の演奏は、
「優雅な演奏」と地元メディアでも絶賛されたとおり、実にノーブルな音色で、
美しいヴィブラートを活かしながら、ふくよかに歌います。そしてピントが見
事に絞られた美しい音程の高音部、超絶技巧的なパッセージでの精緻で自在な
技巧は完璧。曲の最後まで途切れることのない集中で聴かせます。イザイのソ
ロでも、よく通る音色でダイナミックな作品を美しく響かせています。
酒井健治の作品は、演奏時間9分弱の単一楽章からなる作品で、冒頭、ヴァイオ
リンが執拗に繰り返すGの音色の上に、様々な要素が襲いかかる場面から始ま
り、最後はまたヴァイオリンの奏でるGの音色が響く中曲が閉じます。演奏後の
客席の盛り上がりからも、作品の力、そして、成田の演奏がいかに素晴しいも
のだったがよくわかる録音となっています。




<Coviello CLASSICS>
COV 51207 ¥2350
ベルリンの動物たち
(1)私のゴリラは動物園に別荘がある/(2)こうもり
(3)ミミズはこんなに領地を持っている/(4)漁師/(5)とんぼ/(6)鱈
(7)ハンノキの王/(8)蛆虫/(9)ノミ/(10)イゲルとアゲル/(11)鱒
(12)モグラの歌【3匹の毛虫/童謡/蟲/ミミズ/民謡/蝿/蚊に刺された象
/ペキンダック】/(13)私のオウムは堅い実を食べる/(14)雌鶏
(15)カンガルー/(16)人類の進化
アンサンブル・ヴォーカルツァイト、フィリップ・マイヤース(Pf)
録音:2011年
鉄道や鳥をテーマにしたアルバムがあるのだから、動物の音楽も一挙にまとめ
てみようと出来た好企画。哺乳類のみならず、鳥類、魚類、昆虫まで盛りだく
さん。蚊に刺されたと感じる象、ミミズの語源、蝿の悲愴的な短い飛行および
蛆虫の存在の深みまでを音楽で表現。さらにヨハン・シュトラウスの喜歌劇
「こうもり」全曲を3分で演じるという信じ難い芸当も披露。いずれも男声4人
のヴォーカル・アンサブルにより、巧みなアレンジで、面白い言葉遊びとアク
ロバット的歌唱で、ユーモアあふれる世界を創りだしています。




<Alba>
ABCD 294(SACD-Hybrid) ¥1980
嘆き-ペール・ヘンリク・ノルドグレン(1944-2008)
(1)弦楽のための交響曲Op.43(1978) 
(2)弦楽のための協奏曲Op.54(1982)
(3)全世界が嘆くだろうOp.26b(1974)(弦楽オーケストラのための)
(4)オーボエ協奏曲Op.116(2001)
ユハ・カンガス(指)オストロボスニア室内管、アンニ・ハーパニエミ(Ob)
 [録音:2008年12月1日-3日、2009年5月4日-5日(オーボエ協奏曲)
/スネルマン・ホール(コッコラ、フィンランド)]
2008年に亡くなった作曲家ペール・ヘンリク・ノルドグレンの遺産を紹介する
シリーズ。ノルドグレンと緊密な関係を続けたオストロボスニア室内管弦楽団
とユハ・カンガスによるアルバム『嘆き』では、悲しみの気分の濃い作品が4曲
演奏されました。《弦楽のための交響曲》は、管弦楽のための8曲の交響曲とは
別に、1978年に作曲された作品。この作品の2つの楽章、「悲歌の〈エスプレシ
ーヴォ〉と弔いの音楽〈アダージョ〉」はノルドグレンの葬儀で演奏されまし
た。《全世界が嘆くだろう》は、1968年、既成秩序に反抗する学生たちが蜂起
しフランス五月革命の年、ユハの父、エイノ・カンガスの学生オケのために作
曲されました。曲の基になったのはフィンランドの古い賛美歌です。1974年、
弦楽オーケストラのために改訂され、ユハ・カンガスとオストロボスニア室内
管が初演しました。《オーボエ協奏曲》は、スウェーデンのオーボエ奏者ヤー
レンの提案から生まれた「想像できるかぎりもっとも美しい楽器の組み合わせ」
のオーボエと弦楽のための音楽を書きたいというノルドグレンの夢が実現した
作品。ヤーレンから伝えられた新しいテクニックにインスピレーションを得た
といわれます。タピオラ・シンフォニエッタのオーボエ奏者アンニ・ハーパニ
エミソロを務めます。

ABCD 339(SACD-Hybrid) ¥1980
セッポ・ポホヨラ:
(1)交響曲第1番(2002) 
(2)交響曲第2番(2006)
サカリ・オラモ(指)フィンランド放送交響楽団 
[録音:2010年8月30日-9月1日(第1番)、2011年4月14日-15日/文化ホール
(ヘルシンキ)]
1990年代、生粋のモダニストからスタートしながら、次第にモダニズムから距
離を置き「自分の声」で語るようになった世代の作曲家のひとり、セッポ・ポ
ホヨラ(1965-)の弦楽四重奏曲集(ABCD334)に続き、2曲の交響曲が紹介されま
す。どちらも彼がより簡素で伝統的な響きのスタイルを探るようになった2000
年代の作品。両曲ともベートーヴェンやシベリウスの交響曲のように主題を有
機的に展開するのではなく、いろいろなエピソードから音楽を構成する方法を
採っています。第1番は優れた音楽家でもあった二人の兄を追悼して作曲され
ました。ベートーヴェンの〈歓喜の歌〉をはじめとするいくつかの引用には、
自分自身への皮肉も含め、さまざまな思いがこめられているとのこと。第2番
はオーケストレーションにポホヨラの本領が発揮されているといわれます。
「管弦楽のための協奏曲」と呼ばれてもいいくらい、それぞれの楽器が強い印
象を与える音色で色彩のパレットに加わります。ポホヨラの従兄にあたるサカ
リ・オラモがフィンランド放送交響楽団を指揮。世界初録音。

ABCD 340(SACD-Hybrid) ¥1980
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集Vol.1
(1)ピアノ三重奏曲第5番ニ長調Op.70の1「幽霊」
(2)ピアノ三重奏曲第6番 変ホ長調Op.70の2
(3)ピアノ三重奏曲 変ロ長調WoO39
テロ・ラトヴァラ(Vn)、マルコ・ユロネン(Vc)、リスト・ラウリアラ(Pf)
[録音:20010年11月25日-28日/アクスティーカ(ユリヴィエスカ、
フィンランド)]
コシュホルム音楽祭の芸術監督を務めるフィンランドのチェリスト、マルコ・
ユロネン(1966-)がベートーヴェンの三重奏曲シリーズを開始。ヴァイオリン
のテロ・ラトヴァラは、2011年秋からタンペレ・フィルハーモニックの准コン
サートマスター。ピアノのリスト・ラウリアラ(1949-)は、1972年にシベリウ
ス・アカデミーのディプロマを取得。フィンランド、ヨーロッパ、日本、アメ
リカなどでソロと室内楽のピアニストとして活動しています。

NCD 46(SACD-Hybrid) ¥1980
フィンランド・ルター教会賛美歌集
真実の精神(484番)/イエス様、あなたはお気づきです(513番)
イエスの歌だけを歌えれば(343番 1, 2, 6)/一日と一瞬を正しく(338番)
一番高い丘に登ろう(515番)/汝の平安をわれらに(514番)
イエスよ、あなたが一番おわかりになっています(510番)
主よ、わたしを危難よりお守りください(509番)
最初に井戸を掘った者は(512番)/学校がまた始まると(485番)
ああ、なんと輝かしい春よ(567番)/讃えることのなんと素晴らしき(342番)
今、この世は栄え(571番 1-3)
天にまします父よ、わが祈りをお聞きください(501番)
主よ、あなたからの贈り物を受け取りました(507番)
目を上げ天を仰ぐ(490番)/子供たちを愛する神(492番)
すべては神の御手に(499番)/道は整った(511番)
創り主は讃えられよ(462番)/夕べになりました、わが創り主よ(563番)
タパニ・ティリラ(指)オウライネン・ユース合唱団、
ヴェリ・アイナリ(Org、Harm)、ミンナ・ユリカウマ、
ライサ・パイヴィネン(Vn)、スサンナ・ニエトゥラ(Va)、
シニ・ヒュヴァイネン(Vc)、エサ=ペッカ・シルヴォラ、
ヴィーヴェ・マエメツ(Pf)、ウッラ=マリア・ポユヒュタリ(Fl)、
ヤンネ・ニエトゥラ(Trp)、ブラヴァーデ・リコダーアンサンブル
フィンランド、北部オストロボスニアのオウライネン市に1972年に創設された
団員約30人の女声合唱団、オウライネン・ユース合唱団のアルバム第2弾。ル
ター教会の賛美歌集から、子供時代、青春、学校、春、夕べの祈りをテーマに
した賛美歌が21曲歌垂れています。原曲を尊重しつつ、共演する楽器の異なる
音色に合わせた新しい響きを探る試みが行われています。





<Simax>
PSC 1302 ¥2280
北緯69度42分東経19度からの展望
(1)ウェーベルン:弦楽オーケストラのための5楽章Op.5
(2)ペルト:ベンジャミン・ブリテン追悼のカントゥス
(3)クルターグ:遠方より III(弦楽四重奏のための)
(4)フレードリク・ホーグベリ:
ヒッティング・ザ・ファーストベース(2008)(コントラバス協奏曲)
(5)ルトスワフスキ:葬送音楽
コールビョルン・ホルテ(指)
トロムソ室内管弦楽団、
ダーン・ステュッフェ(Cb)
[録音:2011年10月17日-19日、2012年1月17日-19日/モールセルヴ教会
(ノルウェー)]
北緯69度42分東経19度に位置するトロムソは、人口約6万7千、北極圏ノルウェ
ー最大の町。この町のトロムソ室内管弦楽団は、ノルウェー唯一の常設のプロ
の室内管弦楽団としてコンサート活動を行っています。芸術監督は、2006年8月
に指名された、ヴァイオリニストのコールビョルン・ホルテ(1973-)。スウェー
デンの作曲家フレードリク・ホーグベリ(1971-)のコントラバス協奏曲《ヒッ
ティング・ザ・ファーストベース》の曲名の「ヒット」にはベースボールの
「ヒット」とポストモダンの爆発が聞き手の感覚を「打つ」の二つが重ねられ
ました。〈トッピングをありったけ載っけたピザのように〉〈ブルース〉
〈アニメ・レーシングカーのビデオゲームにつける音楽のように〉〈ワン・
ノート・カデンツァ〉〈熟し切っていないカデンツァ〉〈ホームラン〉の6部
分が続けて演奏されます。独奏のダーン・ステュッフェは、今日のノルウェー
音楽を支え彩る音楽家のひとり。ゲーリー・カーのアシスタントとノルウェー
・オペラ管弦楽団の首席を経てオスロ・フィルハーモニック管弦楽団の副首席
奏者を務めながら、ソロと室内楽の活動を行っています。



<ALTUS>
ALT 239/40 2枚組 ¥3150
ステレオ
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21、第9番ニ短調「合唱付き」 Op.125
カール・シューリヒト(指揮)、フランス国立放送管弦楽団
アグネス・ギーベル(ソプラノ)、マルガ・ヘフゲン(アルト)、
ラグナー・ウルフング(テノール)、
エドゥアルト・ヴォリッツ(バス)、
フランス国立放送合唱団、ルネ・アリックス(合唱指揮)
録音:1965年6月15日実況録音 シャンゼリゼ劇場(パリ)、ステレオ
当シリーズの目玉でライヴの第9のステレオは初めてとなります。シューリヒト
のライヴにおけるステレオ録音は大変少なく(FMのステレオ放送は概ね1965年か
ら)大変うれしい発掘です。平成の盤鬼平林直哉氏は「鮮明なステレオ録音ゆえ
に生き生きとした音は如実の伝わり、情熱に溢れかえった響きに陶然とするの
みである。ライヴゆえの豊かな雰囲気はシューリヒトの第9のベストパフォー
マンスにしたい。」と絶賛です。
「オリジナル・マスターから復刻されたのは今回が初めてである。この2曲と
もに正規のスタジオ録音並みの鮮明なステレオというのが何よりも嬉しい。
個人的にはシューリヒトの第9番のベスト・パフォーマンスにしたい。」
(平林直哉)

ALT 236/7 2枚組 ¥3150
モノラル
ベートーヴェン:エグモント序曲、交響曲第6番ヘ長調「田園」Op.68
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
カール・シューリヒト(指揮)、フランス国立放送管弦楽団
録音:1963年7月3日、リヨン、モノラル
当初このブラームスのマスターテープは失われたことになっていましたが関係
者の真剣な捜索によりマスターテープが発見され今日発売に至りました。盤鬼
平林直哉氏は「近接したマイクによる収録音のため指揮者の解釈が手に取るよ
うにわかり、ファンには見逃せない。シューリヒトとフランスのオーケストラ
との組み合わせは実に魅惑的」と述べておられます。

ALT 238 ¥2450
モノラル
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
カール・シューリヒト(指揮)、フランス国立放送管弦楽団
録音:1963年9月11日、ブザンソン、モノラル
シューリヒトのブルックナー7番はコンセール・コロンヌ管を振ったALT169も
大変好評でしたが新たに晩年のフランス国立の演奏が加わりました。旧盤
(ALT169)との大きな違いは2楽章で旧盤では使用されなかったトライアングル
が使用されており平成の盤鬼平林直哉氏は「ALT169も音質は良かったが当盤は
さらに厚みと奥行きがあるので全体的な聴きごたえは勝っている。このような
演奏ならいくつでてきても大歓迎である。」と絶賛しております。

ALTDVD 010(DVD-Video) ¥4580
日本語字幕付
チェリビダッケの庭
モーツアルト:
弦楽四重奏曲第15番、交響曲第41番「ジュピター」、レクイエム
ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番
シューベルト:交響曲第5番
ブルックナー:交響曲第9番
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
出演:セルジュ・チェリビダッケ
イオアン・チェレビダーキ監督
映画「チェリビダッケの庭」は、波乱万丈の人生を送ってきたチェリビダッケ
が晩年を迎え、自らの音楽体験を若い学生やオーケストラそして聴衆にメッセ
ージとして伝えていく様を、独特の形で映像化した作品である。監督は、長男
のセルジュ・イオアン・チェレビダーキ。映画の中で、父親であるチェリビ
ダッケはドキュメント撮影の対象であると同時にドラマの主人公にもなってお
り、監督はこの作品を「ドキュドラマ」と称している。なお、チェリビダッケ
というのはいわゆる通称であり、本名はチェレビダーキである。また、様々な
印刷物において誤りが目立つため、ここにあらためて生没について記しておき
たい。チェリビダッケは1912年7月11日(ルーマニアの旧暦では6月28日)に生ま
れ、1996年8月14日に他界した。私は初上映に参集し、監督の依頼により日本
語訳を担当することとなった。禅問答にも例えられるチェリビダッケの言葉を、
限られた文字数の範囲で日本語字幕に訳すのは、相当の意識の集中と勇気を要
するが、極めて楽しみな仕事であった。映画では、芸術家としての信条やブル
ックナーの音楽についての思いが、チェリビダッケ自身の口から雄弁に語られ
ていく。指揮者のドキュメントは多々あるが、このような映像作品をもつ指揮
者はチェリビダッケのみであろう。
「チェリビダッケの庭」訳者 石原良也




<Phil harmonie>
PHIL 06015 2枚組 ¥3980
J.S.バッハ:6つのパルティータ(全曲)
[CD1](1)第2番 ハ短調 BWV.826 (2)第3番 イ短調 BWV.827 
(3)第4番 ニ長調 BWV.828 
[CD2](1)第1番 変ロ長調 BWV.825 (2)第5番 ト長調 BWV.829 
(3)第6番 ホ短調 BWV.830
ピ=シェン・チェン(Pf)
録音:2011年6月7-8日、アッテンバッハ(ベルクノイシュタット、ドイツ)
H.レイグラフ、T.ニコラーエワ、W. ケンプら巨匠に師事し、世界的に活躍す
る台湾の女流ピアニスト、ピ=シェン・チェンによるJ.S.バッハの6つのパル
ティータ。シェーンベルクやケージといった前衛音楽作品の演奏・録音にも
積極的なピ=シェン・チェンですが、J.S.バッハもまた彼女の主たるレパート
リーの一つといえましょう。ゴルドベルク変奏曲(PHIL 06006)でも好評を博し
た迷いのないシンプルな演奏は今回も健在。過度な装飾や情感を排した誠実な
演奏が心に真っ直ぐ響きます。全体的に堅実なテンポを保っている印象があり
ますが、第6番のサラバンドなどでは適度な情感を込めた演奏でじっくりと聴
かせてくれます!

PHIL 06013 ¥2180
コルンゴルト(1897-1957):
ヴァイオリンとピアノのための作品
・組曲『から騒ぎ』op.11より(「花嫁の部屋の乙女」、
「野生リンゴとリンボク酒」、「庭の風景」、「仮面舞踏会」)
・バレエ『雪人形』より「雪人形」
・ピアノ『おとぎ話の絵』op.3より「幻想的カプリス」
・オペラ『死の都』より「マリエッタの歌」、「ピエロの踊り歌」
弦楽六重奏曲op.10(1914-15)
(1)ダニエル・ゲーデ(Vn)、セッシュ・リュー(Pf) 
(2)ベルリン・フィル弦楽六重奏団{ベルンハルト・ハルトーク(Vn)、
リュディゲル・リーベルマン(Vn)、ヴォルフラム・クリスト(Va)、
ヴァルター・キュッスナー(Va)、ゲオルク・ファウスト(Vc)、
アンスガル・シュナイダー(Vc)}
録音:2011年5月21-22日、スタジオ4(ベルリン)
10代から完成度の高い作品を多く輩出し、“ヴォルフガング”という共通の名
を持つことから「モーツァルトの再来!」とも言われた早熟の天才音楽家、エ
ーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト(1897-1957)。本アルバムではアメリ
カ亡命前、彼が神童と注目されていた10代の頃の作品を中心に収録。
メロディ・メーカーとしてのコルンゴルトの魅力満載のヴァイオリン作品は、
様々な自曲からの編曲。甘い旋律が魅力の「雪人形」は、もともとはコルンゴ
ルトが11歳で作曲したバレエ音楽「雪人形」の一部。甘い旋律が魅力で、後に
ハイフェッツも好んで演奏しました。他にも組曲「から騒ぎ」からの抜粋や、
自身のヒット作「死の都」からのメロディなど、コルンゴルトの甘いメロディ
が魅力の作品が並びます。
弦楽六重奏曲は17歳の頃に作られた作品で、若者らしい瑞々しい旋律に満ち溢
れたもの。軽やかかつ優雅なソロの掛け合いが美しく、洗練されたアンサンブ
ルに聴き入ります。
演奏陣の豪華さも本アルバムの注目されるところ。1994-2000年にウィーン・
フィルのコンサートマスターを務めていたダニエル・ゲーデの演奏は流石の
一言。多彩な曲調を含む小品集を見事に弾きこなし、繊細かつ優雅な音色で
しっとりと聴かせてくれます。弦楽六重奏曲を演奏するベルリン・フィル弦楽
六重奏団はベルリン・フィルのメンバー、元メンバーからなるアンサンブル団
体。ソリストとしても活躍する名手らによる極上のアンサンブルは見事です。




<harmonia mundi>
HMU 807522(SACD-Hybrid) ¥2500
バーバー:
(1)十二夜 op.42-1 (2)水の歌で歌うop.42-2 (3)2つの合唱曲 op.8 
(4)生まれ変わり(全3曲)op.16 (5)ストップウォッチと軍用地図 op.15 
(6)「この輝く夜にきっと」op.13-3 (7)アニュス・デイ op.11 
(8)恋人たち*(R.キアー編/室内合唱団&オーケストラ版) op.43 
(9)昇天日のための合唱「イースター・コラール」
(R.キアー編/室内合唱団&オーケストラ版)*
*世界初録音
コンスピラーレ{クレイグ・ヘッラ・ジョンソン(指揮)、
カンパニー・オブ・ヴォイシズ、室内オーケストラ}
録音:2011年9月
アメリカが誇る合唱団体、コンスピラーレ(またの名をクレイグ・ヘッラ・ジョ
ンソン&カンパニー・オブ・ヴォイシズ)によるサミュエル・バーバーの合唱作
品集。「アニュス・デイ」や「この輝く夜にきっと」といった20世紀の合唱を
語るに外せないバーバーの代表作を、本場アメリカを代表する名門の演奏で、
さらにはSACD Hybrid盤の高音質でたっぷりと堪能できるのは嬉しい限りです。
非常にゆったりとしたテンポの「アニュス・デイ」では、抑えの効いた美しい
弱音から、クライマックスへの盛り上がりの大音量まで、名門の面目躍如の演
奏です。さらに注目されるのは、本アルバムには世界初録音となる編曲作品が
2曲収録されていること! いずれもジョンソンの依頼を受けたロバート・キア
ーが、他ならぬコンスピラーレの演奏のために室内合唱団&オーケストラ用に
編曲したものとなります。「恋人たち」では、80人の音楽家達による原曲の巨
大なオーケストレーションを15人編成まで凝縮し、弦管打楽器全てのパートが
ソロという密なアンサンブルが実現されています。カンパニー・オブ・ヴォイ
シズの洗練された歌声と、ソリスト妙技の光る器楽伴奏隊との絶妙なハーモニ
ーは必聴の美しさです!

HMC 905269 ¥2450
ティエリー・ペク(b.1965):
(1)畏怖(2005-2010) (2)ソレイユ・ティグル(太陽・虎)(2009) 
(3)マノア(2005) (4)花の咲いた木(2010) 
(5)改革の散歩道(1995-2011) (6)ダンソン
アンサンブル・ヴァリアンス、ペルキュシオン・クラヴィエ・ドゥ・リヨン
録音:2012年1月
現代音楽と伝承音楽を融合した作風で世界的に高い注目を集めているフランス
の現代作曲家、ティエリー・ペクの作品集。本アルバムでは、とりわけアメリ
カ・ラテン音楽の要素を強く盛り込んだ作品を中心に収録。多様な音楽が混ざ
りあうブラジルの謝肉祭にインスピレーションを受けて作曲された「畏怖」で
は、躍動感あふれるリズム感と、目まぐるしく入れ替わる多彩な曲調に引き込
まれます。原曲は管弦楽編成ですが、今回はピアノ、フルート、サックス、
チェロ、打楽器という小編成。今回のアルバムの収録のためにペク自身が編曲
した新版での演奏です!フルート独奏曲「ダンソン」は、様々な演奏法を駆使
した多彩な音色が愉しい小品。「改革の散歩道」では、ラテン情緒あふれる旋
律とリズミカルなアンサンブルに心踊ります。技巧的な作品から親しみやすい
民俗音楽まで多彩な曲調を含む、まさに“グローバル”なペクの魅力に迫る1枚
です!
アンサンブル・ヴァリアンスはペクが2009年に設立したアンサンブル団体。ペ
クの作品に造詣深く、鍵盤打楽器アンサンブル団体、ペルキュシオン・クラ
ヴィエ・ドゥ・リヨンとのセッションも見事。卓越したアンサンブルで、躍動
感にはあふれつつも、安定したアンサンブルを聴かせてくれます。halmonia
mundiレーベルでの録音も着々と進み、ロト指揮による『ジャガー交響曲』
(HMC 905267)も好評のペク。2012年4月にはレ・ヴァン・フランセの来日公演
で六重奏曲が委嘱初演され、今後日本でもさらなる注目必至の作曲家といえま
しょう!

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 12-06 No.26 | トップ | 12-06 No.28-2 »

Weblog」カテゴリの最新記事