<TESTAMENT>
SBT21384 2枚組 \3700
ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」全曲
ヘルマン・ウーデ(Br)、アストリッド・ヴァルナイ(S)、
ルートヴィヒ・ヴェーバー(Bs)、ルドルフ・ルスティヒ(T)、
ヨーゼフ・トラクセル(T)、エリーザベト・シェルテル(Ms)
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団 ((合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
指揮:ヨーゼフ・カイルベルト
録音:1955年
世界中の喝采を浴びながら続々登場の55年ステレオ・リングの狭間、もうひ
とつの待望のリリース!なぜかCD化はモノラルだった同年のオランダ人、ス
テレオ・ヴァージョンで登場!
3月に「ジークフリート」がリリースとなり、世界中を興奮の坩堝にまでした、
55年のカイルベルトによるステレオ・リング。なんと、お膝元バイロイトの
新聞に「史上最高のリング!」なる評まで現れ(書いたのはしかも、バイロ
イトの広報官!)、これ以上ないお墨付きまで頂いています。そのリング・
リリースの狭間に、もうひとつの朗報が。同年の「オランダ人」はすでに発
売になっていたのですが、なぜかCDはモノラルのマスターが使われており、
70年代ステレオのLPが発売されていたことから、ステレオ版の「オランダ人」
の発売が熱望されていました。今、55年当時のデッカの録音技術の熟成度と、
カイルベルトその人への感嘆にもにた喝采の中、遂にステレオ・マスターの
「オランダ人」がリリースとなります。
バイロイトにおいてデッカは、すでにパルジファルとリング全曲を1951年に
録音。そのリングのうち「神々のたそがれ」もまた、テスタメントの大発見
として99年リリースされました。(SBT 4175)しかしながら、52年から54年は、
EMIバイロイト間のエクスクルーシヴ条項に阻まれ録音は行われません。51年
のモノラル録音もすでに完成され洗練されていたことは残された録音からも
明らか。なんと52年のEMI内部資料にはかのウォルター・レッグが「音質のこ
とでいえば、我々自身の録音をリリースする際、デッカのものと比較される
のが正直恐ろしい。」と発言した記録が残っているとか。そして55年、デッ
カはステレオでも同等以上のクオリティを維持し、かのリング、そしてこの
オランダ人の録音を敢行したのです。
バイロイト側では、このプロダクトは「不意の一撃」とともにスタートしま
した。すでに常連だったカイルベルトとクナッパーツブッシュはともに、
1954年の二の舞が起こらないか心配していました。54年、ヴィーラント・ワ
ーグナーが新演出「タンホイザー」の指揮者に選んだのは、マルケヴィチ。
しかしながら、オケピットと舞台上のどうしようもない齟齬(特に合唱)が
元で、なんと最後のゲネプロが終わった後に、マルケヴィチはその立場を放
止むを得ず、カイルベルトがその代役を務めました。翌年、ヴォルフガング
が同様に実験的な「オランダ人」を予定していることをききつけたカイルベ
ルトとクナ。このふたりはとても親友と呼べるような間柄ではなかったので
すが、この時ばかりは共同戦線をはり、このプロダクトをふたりでシェアし
て上演することを認めさせたのです。
こうしてカイルベルトは最終ゲネプロ以外のすべてのリハーサルと後半3日間
の上演を担当することになりました。もちろん芸風がまったく異なるクナと
のコラボレーションをカイルベルトが喜んだ訳ではありませんが、この時ば
かりは「共同作業」がよい意味で機能しました。つまり、非常にベーシック
な準備がカイルベルトによって行われたことで、どちらの演奏にも好影響を
与えたのです。(とはいえ、クナッパーツブッシュによる第一夜の放送には、
カイルベルトが確立した速いテンポに感化され、オーケストラが指揮者を追
い越そうとする傾向が聴いてとれたとの評もあります。)
だからといってこの二巨匠がこれを機に仲良くなったなどという事実はあり
ません。非公認情報筋によると、こんなエピソードも残っています。オラン
ダ人のスコアのある歌い出し部分にクナによって印がつけられているのを発
見したカイルベルト。彼は大声で笑い出すのをなんとか堪えてひとこと。
「気をつけろ。○●はいつもここでとちるらしい!」(あまりの過激さのた
め、英・独・仏のライナーノーツとも伏字になっております・・・。)
これだけの万全の体制でのぞんだにもかかわらず、ヴォルフガングによるオ
ランダ人はヴィーラントほど実験的抽象的ではなく、非常に現実主義的でし
た。船は、小さな点として水平線に現れ、客席を巻き込むように大きくなっ
ていくよう投影されました。船員たちは第一幕中舞台に現れることなく、ゼ
ンタたちがいる糸紡ぎ部屋は舞台右手の大きな窓のみからライティングされ
ました。第三幕は不気味に帆を広げる幽霊船のマストに支配されました。
56年DeccaによりこのLPはリリースされますが、この時はモノラルで(当時、
ステレオの再生装置を持っていた人が何人いたか考えるにそれは致し方ない
ともいえますが)、しかも商業的にもアイテムとしてそれほど重要視されて
はいなかったとのこと。ステレオ版のリリースは70年代になってからでした。
その後のTeldecからのCDもなぜかモノラルに戻るなど、この演奏内容にして
この音質の重要極まりないレコーディングは長く、正当な評価のテーブルに
さえのってこなかったきらいがあります。その理由は、同年のリングがカル
ショウ/ショルティのプロジェクトのため封印されていたことと同様の影響
もあったでしょう。それに加え、初期LP時代を支えたふたりのプロデューサ
ーが、スタジオ録音の魅力に取りつかれていたこともあげられます。客席の
咳、雑音からも切り離され、音の間違いも完璧に正せるスタジオ録音。あの
時代を思い起こせば、それに魅了されるのは止むを得ないともいえます。カ
ルショウとレッグ。この偉大なプロデューサーふたりがスタジオ録音を推し
進めたことにより、レコード評論界もリスナーも「ライヴ録音」から遠ざか
ってゆきます。そして遂には、グレン・グールドのようなアーティストを生
み出すにまで至ったレコード業界。彼らの思考が間違っていたとは誰も反論
できないでしょう。しかし録音再生技術は彼らの想像を超え発展し、ホーム
シアターが設置されサラウンドでオペラを鑑賞することまで可能な時代がや
ってきました。ここに至ってやっと、カイルベルトのステレオ「さまよえる
オランダ人」の真価が認められる時代になったのかも知れません。
<EMI CLASSICS>
CDC-3599562 \2080
ショスタコーヴィチ:
弦楽四重奏曲第3番
弦楽四重奏曲第7番
弦楽四重奏曲第8番
セント・ローレンス弦楽四重奏団
気鋭の若手カルテットによるショスタコーヴィチ作品の名曲集
生誕100年の年に彼らがショスタコーヴィチ作品の中でも最も有名な作品で名
演を聴かせます。3番は第2次大戦の終了からスターリンの死までの間に作曲さ
れた作品の中で最も演奏される機会の多い作品。7番は1960年春に作曲され最
も短く初めての短調の四重奏曲。8番は同年、戦災のひどかったドレスデン訪
問中のわずか三日間で作曲された作品でソ連国内では「ドレスデン」四重奏
曲と呼ばれるようになった作品。
CDC-3422562 \2080
ヴォルフ:歌曲集
メーリケ詩集より
希望の復活;子供と蜜蜂;めぐりあい;つきることのない愛;世をのがれて;
春に;旅路;真夜中に;古い絵に;祈り;眠りに寄す;愛する人に;
ペレグリーナその1;ペレグリーナその2;狩人;恋する者の歌;別れ
アイヒェンドルフ詩集より
音楽師;語らぬ愛;セレナード;夜の魔力;船乗りの別れ
ゲーテ詩集より
良い夫と良い妻;ガニュメデス
イアン・ボストリッジ(テナー)
アントニオ・パッパーノ(ピアノ)
詩と音楽が見事に融合したヴォルフ作品のための理想的顔合わせが遂に実現
ドイツ系歌曲の精華といわれるヴォルフ作品を演奏するには詩への深い理解と
表現力そして歌とピアノの緊密なコラボレーションが要求されますが、その理
想的パートナーシップとして、現代最高のリート歌手であり深い分析でドイツ
歌曲に取り組むボストリッジと指揮者パッパーノの組み合わせ以上のコンビを
想像するのはむずかしいことです。
CDC-3568302 \2080
ショスタコーヴィチ:
交響曲第3番Op.20 「メーデー」
交響曲第14番Op.135 「死者の歌」*
ラリッサ・ゴゴレウスカヤ(ソプラノ)*
セルゲイ・アレクサシュキン(バス)*
バイエルン放送合唱団、交響楽団
マリス・ヤンソンス指揮
生誕100年の年に遂に完成したヤンソンスの交響曲録音
ショスタコーヴィチの初期と後期を代表する2つの交響曲がヤンソンス録音の
締めくくりとなります。まもなく全集ボックス・セットの発売も予定しており
ます。
●GREAT ARTISTS ON THE 20TH CENTURY
20世紀を代表するアーティストに焦点を当ててその名録音を収録したシリーズ
の最終発売5点。今回の発売を加え全50点が出揃います。
CDM-3565172 \1450
モーツァルト:
ピアノ協奏曲第20番
ピアノ協奏曲第27番
コンサート・ロンド K382* (1967年、1971年*録音)
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
イギリス室内管弦楽団
CDM-3565252 \1450
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第2番*
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
コンセルトヘボウ管弦楽団、ベルナルト・ハイティンク指揮
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、ヘスス・ロペス=コボス指揮*
(1983年、1976年録音)
CDM-3565212 \1450
プッチーニ:
グローリア・ミサ*
交響的前奏曲
菊の花
ロベルト・アラーニャ(テナー)*
トーマス・ハンプソン(バリトン)*
ロンドン交響楽団、合唱団
アントニオ・パッパーノ指揮 (2000年録音)
CDM-3565352 \1450
デ・ロス・アンヘレス「歌の翼に、サルスエラ・アリア集*」
ブラームス、チャピ、ドリーブ、ドヴォルザーク、グリーグ、アーン、
イラディエル、アイリッシュ・トラディショナル、マルティーニ、
メンデルスゾーン 他の作品
ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
シンフォニア・オブ・ロンドン、スペイン国立管弦楽団
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮 (1964年、1967年*録音)
CDM-3565292 \1450
シュヴァルツコップ「SONGS YOU LOVE」
バッハ、ブラームス、ドヴォルザーク、グリーグ、アーン、イエンゼン、
マルティーニ、メンデルスゾーン、モーツァルト、シューマン、シベリウス、
R.シュトラウス、チャイコフスキー、ヴォルフ 他
エリザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
ジェラルド・ムーア(ピアノ) (1954年、1956年、1958年録音)
●CLASSICS FOR PLEASURE
CZS-3676962 2枚組 \1480
ビゼー:「カルメン」
バンブリー、ヴィッカース、フレーニ
パリ・オペラ国立劇場合唱団、管弦楽団
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮
12Pブックレット
CZS-3677022 2枚組 \1480
ビゼー:「真珠採り」
コトルバス、ヴァンゾ、サラビア、ソワイエ
パリ・オペラ国立劇場合唱団、管弦楽団
ジョルジュ・プレートル指揮
12Pブックレット
CZS-3677102 2枚組 \1480
モーツァルト:「フィガロの結婚」
ユリナッチ、シュッティ、スティーヴンス、シンクレア、クエノー、
ブルスカンティーニ、カラブレーゼ、ウォレス、
グラインドボーン・フェスティヴァル合唱団、管弦楽団
ヴィットリオ・グイ指揮
12Pブックレット
CZS-3677152 2枚組 \1480
プッチーニ:「ラ・ボエーム」
スコット、クラウス、ネブレット、ミルンズ、プリシュカ、マヌグエラ
トリニティ少年合唱団、アンブロジアン・オペラ合唱団
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団、
ジェイムズ・レヴァイン指揮
12Pブックレット
CZS-3677202 2枚組 \1480
プッチーニ:「蝶々夫人」
スコット,ベルゴンツィ、パネライ、ディ・スタジオ、
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
ジョン・バルビローリ指揮
12Pブックレット
CZS-3677262 2枚組 \1480
ヴェルディ:「椿姫」
デ・ロス・アンヘレス、モンテ、セレーニ、
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
トゥッリオ・セラフィン指揮
12Pブックレット
●MID-PRICE OPERA
EMI、Virginの豊富なオペラ録音の名盤をお求め易い価格でご案内。
今月の10点さらに翌月にも10点を発売する予定です。
ブックレットは充実した解説ノートを収録(歌詞テキストは掲載されません)
CMS-3586452 2枚組 \2650
ヴェルディ:「アイーダ」
ニルソン、コレッリ、バンブリー、セレーニ
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
メータ指揮
36Pブックレット
CMS-3586762 2枚組 \2650
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」
コレッリ、セレーニ、ステッラ、マラグ、
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
サンティーニ指揮
32Pブックレット
CMS-3586992 2枚組 \2650
ワーグナー:「ラインの黄金」
モリス、リポヴシェク、ツェドニク、アダム、ハーゲ
バイエルン放送交響楽団
ハイティンク指揮
32Pブックレット
CMS-3587052 4枚組 \5280
ワーグナー:「ワルキューレ」
ゴルトベルク、サルミネン、モリス、スチューダー、マルトン
バイエルン放送交響楽団
ハイティンク指揮
48Pブックレット
CMS-3586182 3枚組 \3950
R.シュトラウス:「ばらの騎士」
テ・カナワ、フォン・オッター、ヘンドリックス、リドル、グルントヘーバー
クラーク、パウエル、リーチ
ドレスデン・シュターツカペレ、
ハイティンク指揮
44Pブックレット
VMD-3586572 2枚組 \2650
プーランク:「カルメル会修道女の対話」
デュボス、ヤカール、ゴール、デュピュイ、フルニエ、ヴァン・ダム、
ヴィアラ
リヨン国立オペラ合唱団、管弦楽団
ナガノ指揮
36Pブックレット
CMS-3586072 2枚組 \2650
モーツァルト:「魔笛」
ローテンベルガー、モーザー、シュライアー、ベリー、モル、アダム
ミュンヘン、バイエルン州立オペラ合唱団、管弦楽団
サヴァリッシュ指揮
36Pブックレット
CMS-3586382 3枚組 \3950
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」
アレン、ヴァネス、ユーイング、ゲイル、ルイス、ヴァン・アレン、
ロウンズリー、カヴラコス、
グラインドボーン合唱団、
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ハイティンク指揮
40Pブックレット
CMS-3586502 2枚組 \2650
プッチーニ:「ラ・ボエーム」
アラーニャ、ヴァドゥーヴァ、ハンプソン、スウェンソン、
キーンリーサイド、ラメイ
ロンドン・ヴォイセズ、フィルハーモニア管弦楽団
パッパーノ指揮
32Pブックレット
CMS-3586242 3枚組 \3950
グノー:「ロミオとジュリエット」
アラーニャ、ゲオルギュー、ヴァン・ダム、キーンリーサイド、
トドロヴィチ、フォンダリー、
トゥールーズ・カピトール合唱団、管弦楽団
プラッソン指揮
32Pブックレット
SBT21384 2枚組 \3700
ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」全曲
ヘルマン・ウーデ(Br)、アストリッド・ヴァルナイ(S)、
ルートヴィヒ・ヴェーバー(Bs)、ルドルフ・ルスティヒ(T)、
ヨーゼフ・トラクセル(T)、エリーザベト・シェルテル(Ms)
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団 ((合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
指揮:ヨーゼフ・カイルベルト
録音:1955年
世界中の喝采を浴びながら続々登場の55年ステレオ・リングの狭間、もうひ
とつの待望のリリース!なぜかCD化はモノラルだった同年のオランダ人、ス
テレオ・ヴァージョンで登場!
3月に「ジークフリート」がリリースとなり、世界中を興奮の坩堝にまでした、
55年のカイルベルトによるステレオ・リング。なんと、お膝元バイロイトの
新聞に「史上最高のリング!」なる評まで現れ(書いたのはしかも、バイロ
イトの広報官!)、これ以上ないお墨付きまで頂いています。そのリング・
リリースの狭間に、もうひとつの朗報が。同年の「オランダ人」はすでに発
売になっていたのですが、なぜかCDはモノラルのマスターが使われており、
70年代ステレオのLPが発売されていたことから、ステレオ版の「オランダ人」
の発売が熱望されていました。今、55年当時のデッカの録音技術の熟成度と、
カイルベルトその人への感嘆にもにた喝采の中、遂にステレオ・マスターの
「オランダ人」がリリースとなります。
バイロイトにおいてデッカは、すでにパルジファルとリング全曲を1951年に
録音。そのリングのうち「神々のたそがれ」もまた、テスタメントの大発見
として99年リリースされました。(SBT 4175)しかしながら、52年から54年は、
EMIバイロイト間のエクスクルーシヴ条項に阻まれ録音は行われません。51年
のモノラル録音もすでに完成され洗練されていたことは残された録音からも
明らか。なんと52年のEMI内部資料にはかのウォルター・レッグが「音質のこ
とでいえば、我々自身の録音をリリースする際、デッカのものと比較される
のが正直恐ろしい。」と発言した記録が残っているとか。そして55年、デッ
カはステレオでも同等以上のクオリティを維持し、かのリング、そしてこの
オランダ人の録音を敢行したのです。
バイロイト側では、このプロダクトは「不意の一撃」とともにスタートしま
した。すでに常連だったカイルベルトとクナッパーツブッシュはともに、
1954年の二の舞が起こらないか心配していました。54年、ヴィーラント・ワ
ーグナーが新演出「タンホイザー」の指揮者に選んだのは、マルケヴィチ。
しかしながら、オケピットと舞台上のどうしようもない齟齬(特に合唱)が
元で、なんと最後のゲネプロが終わった後に、マルケヴィチはその立場を放
止むを得ず、カイルベルトがその代役を務めました。翌年、ヴォルフガング
が同様に実験的な「オランダ人」を予定していることをききつけたカイルベ
ルトとクナ。このふたりはとても親友と呼べるような間柄ではなかったので
すが、この時ばかりは共同戦線をはり、このプロダクトをふたりでシェアし
て上演することを認めさせたのです。
こうしてカイルベルトは最終ゲネプロ以外のすべてのリハーサルと後半3日間
の上演を担当することになりました。もちろん芸風がまったく異なるクナと
のコラボレーションをカイルベルトが喜んだ訳ではありませんが、この時ば
かりは「共同作業」がよい意味で機能しました。つまり、非常にベーシック
な準備がカイルベルトによって行われたことで、どちらの演奏にも好影響を
与えたのです。(とはいえ、クナッパーツブッシュによる第一夜の放送には、
カイルベルトが確立した速いテンポに感化され、オーケストラが指揮者を追
い越そうとする傾向が聴いてとれたとの評もあります。)
だからといってこの二巨匠がこれを機に仲良くなったなどという事実はあり
ません。非公認情報筋によると、こんなエピソードも残っています。オラン
ダ人のスコアのある歌い出し部分にクナによって印がつけられているのを発
見したカイルベルト。彼は大声で笑い出すのをなんとか堪えてひとこと。
「気をつけろ。○●はいつもここでとちるらしい!」(あまりの過激さのた
め、英・独・仏のライナーノーツとも伏字になっております・・・。)
これだけの万全の体制でのぞんだにもかかわらず、ヴォルフガングによるオ
ランダ人はヴィーラントほど実験的抽象的ではなく、非常に現実主義的でし
た。船は、小さな点として水平線に現れ、客席を巻き込むように大きくなっ
ていくよう投影されました。船員たちは第一幕中舞台に現れることなく、ゼ
ンタたちがいる糸紡ぎ部屋は舞台右手の大きな窓のみからライティングされ
ました。第三幕は不気味に帆を広げる幽霊船のマストに支配されました。
56年DeccaによりこのLPはリリースされますが、この時はモノラルで(当時、
ステレオの再生装置を持っていた人が何人いたか考えるにそれは致し方ない
ともいえますが)、しかも商業的にもアイテムとしてそれほど重要視されて
はいなかったとのこと。ステレオ版のリリースは70年代になってからでした。
その後のTeldecからのCDもなぜかモノラルに戻るなど、この演奏内容にして
この音質の重要極まりないレコーディングは長く、正当な評価のテーブルに
さえのってこなかったきらいがあります。その理由は、同年のリングがカル
ショウ/ショルティのプロジェクトのため封印されていたことと同様の影響
もあったでしょう。それに加え、初期LP時代を支えたふたりのプロデューサ
ーが、スタジオ録音の魅力に取りつかれていたこともあげられます。客席の
咳、雑音からも切り離され、音の間違いも完璧に正せるスタジオ録音。あの
時代を思い起こせば、それに魅了されるのは止むを得ないともいえます。カ
ルショウとレッグ。この偉大なプロデューサーふたりがスタジオ録音を推し
進めたことにより、レコード評論界もリスナーも「ライヴ録音」から遠ざか
ってゆきます。そして遂には、グレン・グールドのようなアーティストを生
み出すにまで至ったレコード業界。彼らの思考が間違っていたとは誰も反論
できないでしょう。しかし録音再生技術は彼らの想像を超え発展し、ホーム
シアターが設置されサラウンドでオペラを鑑賞することまで可能な時代がや
ってきました。ここに至ってやっと、カイルベルトのステレオ「さまよえる
オランダ人」の真価が認められる時代になったのかも知れません。
<EMI CLASSICS>
CDC-3599562 \2080
ショスタコーヴィチ:
弦楽四重奏曲第3番
弦楽四重奏曲第7番
弦楽四重奏曲第8番
セント・ローレンス弦楽四重奏団
気鋭の若手カルテットによるショスタコーヴィチ作品の名曲集
生誕100年の年に彼らがショスタコーヴィチ作品の中でも最も有名な作品で名
演を聴かせます。3番は第2次大戦の終了からスターリンの死までの間に作曲さ
れた作品の中で最も演奏される機会の多い作品。7番は1960年春に作曲され最
も短く初めての短調の四重奏曲。8番は同年、戦災のひどかったドレスデン訪
問中のわずか三日間で作曲された作品でソ連国内では「ドレスデン」四重奏
曲と呼ばれるようになった作品。
CDC-3422562 \2080
ヴォルフ:歌曲集
メーリケ詩集より
希望の復活;子供と蜜蜂;めぐりあい;つきることのない愛;世をのがれて;
春に;旅路;真夜中に;古い絵に;祈り;眠りに寄す;愛する人に;
ペレグリーナその1;ペレグリーナその2;狩人;恋する者の歌;別れ
アイヒェンドルフ詩集より
音楽師;語らぬ愛;セレナード;夜の魔力;船乗りの別れ
ゲーテ詩集より
良い夫と良い妻;ガニュメデス
イアン・ボストリッジ(テナー)
アントニオ・パッパーノ(ピアノ)
詩と音楽が見事に融合したヴォルフ作品のための理想的顔合わせが遂に実現
ドイツ系歌曲の精華といわれるヴォルフ作品を演奏するには詩への深い理解と
表現力そして歌とピアノの緊密なコラボレーションが要求されますが、その理
想的パートナーシップとして、現代最高のリート歌手であり深い分析でドイツ
歌曲に取り組むボストリッジと指揮者パッパーノの組み合わせ以上のコンビを
想像するのはむずかしいことです。
CDC-3568302 \2080
ショスタコーヴィチ:
交響曲第3番Op.20 「メーデー」
交響曲第14番Op.135 「死者の歌」*
ラリッサ・ゴゴレウスカヤ(ソプラノ)*
セルゲイ・アレクサシュキン(バス)*
バイエルン放送合唱団、交響楽団
マリス・ヤンソンス指揮
生誕100年の年に遂に完成したヤンソンスの交響曲録音
ショスタコーヴィチの初期と後期を代表する2つの交響曲がヤンソンス録音の
締めくくりとなります。まもなく全集ボックス・セットの発売も予定しており
ます。
●GREAT ARTISTS ON THE 20TH CENTURY
20世紀を代表するアーティストに焦点を当ててその名録音を収録したシリーズ
の最終発売5点。今回の発売を加え全50点が出揃います。
CDM-3565172 \1450
モーツァルト:
ピアノ協奏曲第20番
ピアノ協奏曲第27番
コンサート・ロンド K382* (1967年、1971年*録音)
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
イギリス室内管弦楽団
CDM-3565252 \1450
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第2番*
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
コンセルトヘボウ管弦楽団、ベルナルト・ハイティンク指揮
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、ヘスス・ロペス=コボス指揮*
(1983年、1976年録音)
CDM-3565212 \1450
プッチーニ:
グローリア・ミサ*
交響的前奏曲
菊の花
ロベルト・アラーニャ(テナー)*
トーマス・ハンプソン(バリトン)*
ロンドン交響楽団、合唱団
アントニオ・パッパーノ指揮 (2000年録音)
CDM-3565352 \1450
デ・ロス・アンヘレス「歌の翼に、サルスエラ・アリア集*」
ブラームス、チャピ、ドリーブ、ドヴォルザーク、グリーグ、アーン、
イラディエル、アイリッシュ・トラディショナル、マルティーニ、
メンデルスゾーン 他の作品
ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
シンフォニア・オブ・ロンドン、スペイン国立管弦楽団
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮 (1964年、1967年*録音)
CDM-3565292 \1450
シュヴァルツコップ「SONGS YOU LOVE」
バッハ、ブラームス、ドヴォルザーク、グリーグ、アーン、イエンゼン、
マルティーニ、メンデルスゾーン、モーツァルト、シューマン、シベリウス、
R.シュトラウス、チャイコフスキー、ヴォルフ 他
エリザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
ジェラルド・ムーア(ピアノ) (1954年、1956年、1958年録音)
●CLASSICS FOR PLEASURE
CZS-3676962 2枚組 \1480
ビゼー:「カルメン」
バンブリー、ヴィッカース、フレーニ
パリ・オペラ国立劇場合唱団、管弦楽団
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮
12Pブックレット
CZS-3677022 2枚組 \1480
ビゼー:「真珠採り」
コトルバス、ヴァンゾ、サラビア、ソワイエ
パリ・オペラ国立劇場合唱団、管弦楽団
ジョルジュ・プレートル指揮
12Pブックレット
CZS-3677102 2枚組 \1480
モーツァルト:「フィガロの結婚」
ユリナッチ、シュッティ、スティーヴンス、シンクレア、クエノー、
ブルスカンティーニ、カラブレーゼ、ウォレス、
グラインドボーン・フェスティヴァル合唱団、管弦楽団
ヴィットリオ・グイ指揮
12Pブックレット
CZS-3677152 2枚組 \1480
プッチーニ:「ラ・ボエーム」
スコット、クラウス、ネブレット、ミルンズ、プリシュカ、マヌグエラ
トリニティ少年合唱団、アンブロジアン・オペラ合唱団
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団、
ジェイムズ・レヴァイン指揮
12Pブックレット
CZS-3677202 2枚組 \1480
プッチーニ:「蝶々夫人」
スコット,ベルゴンツィ、パネライ、ディ・スタジオ、
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
ジョン・バルビローリ指揮
12Pブックレット
CZS-3677262 2枚組 \1480
ヴェルディ:「椿姫」
デ・ロス・アンヘレス、モンテ、セレーニ、
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
トゥッリオ・セラフィン指揮
12Pブックレット
●MID-PRICE OPERA
EMI、Virginの豊富なオペラ録音の名盤をお求め易い価格でご案内。
今月の10点さらに翌月にも10点を発売する予定です。
ブックレットは充実した解説ノートを収録(歌詞テキストは掲載されません)
CMS-3586452 2枚組 \2650
ヴェルディ:「アイーダ」
ニルソン、コレッリ、バンブリー、セレーニ
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
メータ指揮
36Pブックレット
CMS-3586762 2枚組 \2650
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」
コレッリ、セレーニ、ステッラ、マラグ、
ローマ・オペラ劇場合唱団、管弦楽団
サンティーニ指揮
32Pブックレット
CMS-3586992 2枚組 \2650
ワーグナー:「ラインの黄金」
モリス、リポヴシェク、ツェドニク、アダム、ハーゲ
バイエルン放送交響楽団
ハイティンク指揮
32Pブックレット
CMS-3587052 4枚組 \5280
ワーグナー:「ワルキューレ」
ゴルトベルク、サルミネン、モリス、スチューダー、マルトン
バイエルン放送交響楽団
ハイティンク指揮
48Pブックレット
CMS-3586182 3枚組 \3950
R.シュトラウス:「ばらの騎士」
テ・カナワ、フォン・オッター、ヘンドリックス、リドル、グルントヘーバー
クラーク、パウエル、リーチ
ドレスデン・シュターツカペレ、
ハイティンク指揮
44Pブックレット
VMD-3586572 2枚組 \2650
プーランク:「カルメル会修道女の対話」
デュボス、ヤカール、ゴール、デュピュイ、フルニエ、ヴァン・ダム、
ヴィアラ
リヨン国立オペラ合唱団、管弦楽団
ナガノ指揮
36Pブックレット
CMS-3586072 2枚組 \2650
モーツァルト:「魔笛」
ローテンベルガー、モーザー、シュライアー、ベリー、モル、アダム
ミュンヘン、バイエルン州立オペラ合唱団、管弦楽団
サヴァリッシュ指揮
36Pブックレット
CMS-3586382 3枚組 \3950
モーツァルト:「ドン・ジョヴァンニ」
アレン、ヴァネス、ユーイング、ゲイル、ルイス、ヴァン・アレン、
ロウンズリー、カヴラコス、
グラインドボーン合唱団、
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ハイティンク指揮
40Pブックレット
CMS-3586502 2枚組 \2650
プッチーニ:「ラ・ボエーム」
アラーニャ、ヴァドゥーヴァ、ハンプソン、スウェンソン、
キーンリーサイド、ラメイ
ロンドン・ヴォイセズ、フィルハーモニア管弦楽団
パッパーノ指揮
32Pブックレット
CMS-3586242 3枚組 \3950
グノー:「ロミオとジュリエット」
アラーニャ、ゲオルギュー、ヴァン・ダム、キーンリーサイド、
トドロヴィチ、フォンダリー、
トゥールーズ・カピトール合唱団、管弦楽団
プラッソン指揮
32Pブックレット