マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

皿の上の威風堂々。

2011-10-12 14:27:45 | Weblog

西成区というところ、割方好きである。 忘れてしまったものがある気がする。
天下茶屋にかつて有楽町という地名があり、かの織田有楽斎が住んだという、
もっともらしい話が残っていたり、茶人も多く住んだ。

岸里玉出からかなり歩き、迷った。
商店街があるわけでなし、人通りなどほとんど見当たらないのだが。




39年続く「新富士本店」。
友人から、「関西最強のポークチャップが食える!」と聞いたからには、
黙って見過ごすわけにはいかない。





予約を入れて、開けといてもらった。普段客が途切れたら中休みを設けるのかもしれない。

客は吾一人。黙りこくってるのも怪しいので、女将さんと雑談なぞを。

メニューをちら見して、すぐに、ポークチャップ。実は決めている。

手持無沙汰だし、まだ日が高いが、「ビールくださぁい」





ぬか漬けをポリポリ・・・ ビールをぐいっ・・・





こういう脇役もきちんとしている店は、まことに主菜に期待が持てる。

ポークチャップは注文してから、肉塊から切り分ける。鹿児島のもち豚ロースを分厚く・・・
こいつをフライパンで焼きあげる。

待つこと、10分~15分。    いや、たまらんね、香りが。



ど~~~~~~~~ん !!!!!

迫力の330g

レモンを動かし、絞りを替えてみた。





見やすくなったが、結果的にはどす黒い方がおいしく見える。

ドミグラスソースは10日かけるという。

丁寧な野菜、赤スパゲティにも好感が持てる。 辛子も客のことを考えている。

銀串を指して、内部の火の通りを確認しながら、クラシックな基本に忠実な作業。

塩胡椒、フランベして、たっぷりとドミグラスソースを。





ひと口、真中の肉から行ってみる。


う~~~ん   こりゃたまらんぞ。


脂のうまさ。 濃厚なソース。 頬張り咀嚼するたびに肉のジューがあふれ出し、
生きてる実感が湧いてくる。これだ、生きてる実感!
何食ってんだか、生きてるんだか死んでるんだか、分からないような料理は願い下げだ。

よせばいいのに、こりゃ、白ごはんだ。






ドミグラスソースは残せない性格で、ご飯で拭き取り?ながら、
残さずいただく。

関西随一の噂は伊達ではなかった。



わざわざ遠回りするだけの価値ある料理が、ここにはある。



           とんかつ・洋食  新富士本店    西成区千本南2 あたり


 

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名古屋・だつ芋

2011-10-10 17:03:45 | 

名古屋駅。ともかくもお腹に何か入れておかねばならない時。
きしめんは重宝である。



ひさびさ、新幹線、名古屋駅プラットホームのきしめんを食った。
かけきしめん 340円。 かけでこの値段は安くはない。
花がつおが上あごにくっつき、後をひく感じは、いかにもきしめん。

この醤油の勝った色、鰹をきかしただしが、いかにも名古屋である。
子供の頃から、親戚のいる名古屋にはよく行き、その都度、きしめんには親しんだ。
味噌煮込みうどんなんて上等なものは食わしてもらえず、存在に気付いたのは大人になってから。

ひと仕事片付け、伏見の洋食屋さんへ。
「広小路キッチン・マツイ」 ここの嬉しいのは、昼休みのないこと。
昭和37年から続く、洋食屋。もともとは精肉屋さんだったとか。



名古屋だからではないが、妙に海老フライに惹かれた。 1本から頼めるのだ。
タルタルソースもたっぷり、別添えでついてくる。



ねぎ味噌カツ。ネギがこんもり。
何分の一か、名古屋人の血液が流れる男なので、なごやんテイストの赤味噌文化は
まったく問題なし。「名古屋の味噌味、気持ち悪い・・・」なんて、若いのに今だに言っている人がいて、
その旧式で頑迷なズレ方に同情を禁じ得ない。



ガブリとかぶりつく快感。ウスター、ドミグラスと並ぶ、立派な和風ソースだと思う。

皇帝豚カルビの網焼き。

たまり醤油で焼いたと見える豚カルビが、バカに美味かった。

たまらず、ご飯を注文。




さて、名古屋には昼間っから飲めるような安酒場、立ち飲みなど意外に少ないことに気づいた。
昼は必死に働けということか、飲むなんて行為は許してもらえないのか。

おなじみ「大甚本店」もそそられたが、今まで行ったことがない店へ、ってことで
大須の「末廣屋」。ここは15時開店。


大須辺りの猥雑なムードは好きだ。 昼間っからこのイルミネーチャン。
浅草、新世界と相通じるものがある。
近くの飲み屋が目当て。



古めかしい看板がイカしている、末廣屋。



まだ早い夕方、まさかこんなに入っているとは。
オヤジの一人客が多い。
店は家族経営で、カウンター内には、お父ちゃんとお母ちゃん。
小学校から帰った兄弟が、できあがったおかずを託されては、
「えだ豆、どこですか!」なんて、お運びを務めたりする。
いいなぁ、家族一丸になって働く。昔はいくらでもあった風景だ。





気になるメニューが、だつ芋。 何だろう・・・?

出てきたのが、これ。 月山の根曲がり茸に見えなくもないが、これがだつ芋。
サトイモの茎なんだとか。これの太い部分が、ずいきとなる。





おろし生姜が散らしてあり、おつな味がする。
なんだか不思議なものがあるなぁ、名古屋。 この雰囲気キライぢゃない。






20年ほど前、大須観音の縁日の露店で見た、こんにゃく芋売り。 江戸時代かと思った・・・。

近畿では見られなくなった、マンガ焼きも出ていた。

さてと、信仰よりも団子・・・

ということで、みたらし団子。 とろみのない醤油焼きがたまんねぇ。





アタシは和菓子の中ても、団子には特別な思いがある。
このひなびた感じがなんともいい。

大須演芸場がまだ盛業中。
日頃TVなんかに露出しない、名古屋に居ついた芸人たち



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

厄介な楽器

2011-10-05 16:57:14 | Weblog




今年、ペダルスチールの業界でMVPに輝いたという、ホットフィドルバンドのバディー内藤さん。
彼のペダルスチールはWネック。
ウエスタンスイングという音楽に欠かせないのが、このスチールギターという楽器。
いわば華といえましょう。しかしこれがなんとも一筋縄ではいかない、ナンギな楽器なのである。

ハワイアンなどに使われるのはこのスチールギター。
すっきりとシンプルでござんす。




そもそもはギターにボトルネック(ガラス瓶の飲み口)を切った奴でもって弦の上を滑らせ、
チュワ~ンという音を出した。 次にはボディにリゾネーターを使ったDobroが登場。
ちょいと金属的な独特な音で、生音なのに共鳴板で音の拡大をはかった。
その後、アンプリファイドしたラップスチールが登場、膝の上に乗せて弾いたり、
三脚みたいな脚をつけての演奏となった。

バッキー白片や大橋節夫、ポス宮崎、バンマスはたいがいこのスチール弾きだった。
和田弘とマヒナスターズなんかもあったなぁ。  ♪~ 愛しちゃったのよ~ララランラン…


   


チュワ~~ン・・・に憧れた人は多いが、挫折した人も多いと聞く。
高い音楽性と、コード理論を理解していないとなかなか難しいようである。
ハワイアンの場合はC6th(Am7)のチューニングを使うことが多い。

ハワイアンからウエスタンスイングにシフトしたプレイヤーも多い。
ウエスタンスイングでは、ミルトンブラウンのブラウニーズにいた、ボブ・ダンという人が
スチールギターをもっとも早く持ち込んだパイオニアとされる。 なかなか癖のあるプレイをする人。





レオン・マッカーリフは言わずとしれた、Bob Willsのところのスチール奏者。
スラリと背が高く、歌もうまかった。 早くに独立して、Cimarron Boysのリーダーとなる。
彼もハワイアンから入り、ボブ・ダンに弾き方を学んだとされる。
下のスチールギターはすごいでしょ、4連。 すべてチューニングが違うんだから、頭こんがらがる。




    「 Take It Away! Leon!」


スピーディーウエストも、ペダルスチールの代表的プレイヤー。
ギターのジミーブライアントとのコンビは一時代を築いた。





これはスピーディーがハワイアンを演奏したレコード。
一流は何だってできたのである。

一般的に注目されたというと、カーペンターズの「Top Of The World」。
あそこでペダルスチールを弾いたのがペダルの第一人者、バディーエモンズ。


  


ナッシュヴィルのスタジオミュージシャンで、Sho-Bud、Emmonsなどの楽器ブランドも持つ。
プレイヤーにして開発者。ペダルスチールギターの発展に大きな足跡を残した人物だ。
来日時に、ミュージックフェアで前田憲男指揮のビッグバンドと共演したのは見ものだった。
ハワイアン風に弾くことから、ジャズでスインギーなアドリブを弾くようになったのも、彼あたりからかな。

しかし、この楽器重たいのなんの。 夏場は大汗かいて運ばねばならんし、組み立てに時間かかるし、
弾かなきゃ埃をかぶるし(これはどの楽器も)、とりかかるには相当な覚悟のいる楽器で、
気軽に手を染めたら、ポッキリと挫折が待っている。


   

だけど、やってる人にはたまらなく面白いらしい。チタンとかで軽量にして、持ち運びよくして
価格も安くなるともっと若い人も始めるんだろうがな。 
どうもこいつは頑固な人たちがやってるようで、使い勝手の悪いアメ車の雰囲気なんですよ。

ウェスタンスイングの華、スチールギター。ぜひ今後も注目してみてください。 

これは高田渡さんの息子でスチール弾きの漣くんのブログより。転載お許しを。
なかなか的を得てますよ。 あ、そうそう、細野晴臣もウエスタンスイング好きなんだな。

http://blog.madamefigaro.jp/ren_takada/post-38.html

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬ものパンツ求む

2011-10-04 22:55:04 | Weblog

   


雑誌の仕事で知り合い、Hot Fiddle Bandの写真を撮ってくれている
写真屋赤丸の岡田久仁子が、陸前高田の援助プロジェクトを立ち上げて、はや半年以上。

募金やいろいろな支援の方法あれど、OHKY Pan2プロジェクトは、とにかく必要不可欠な
パンツを送るというもの。ボクも微々たるものながら協力させてもらい。
友人知人のみなさんからもパンツいただき、新町のスタジオに集結した荷物をもう何度も発送しています。

寒い時期に始まり、薄手のTシャツや下着が必要になり、酷暑には保冷剤を首に巻く
タオルをこしらえて、保冷剤と水羊羹は東大阪の「菓匠あさだ」さんが寄付してくれて。
今は再び、冬ものが必要になってます。まだまだ生活用品、衣類など十分ではありません。
引き続き、ご協力のほど。

冬物の下着、お菓子、タオルなどいくらあっても困りません。

10月には岡田ちゃんは二度目の炊き出しに向かうとか。粕汁、さぞあったまるでしょうな。
10月19日、大阪出発。陸路、岩手を目指す便があるので、
何度めかになるでしょうが、ぜひご支援下さい。まだまだ続きます。

行きもせずに微々たる応援だけでなんだけど、東北に友達できるといいがなぁ。


http://twitter.com/#!/kaniko_okada

援助物資はこちらに。いちいち、届きましただの、有難うだのは言いませんが。
皆さんの善意は確実に届いてますよ~。

大阪市西区京町堀1-18-27西船場ビル別館3F  写真屋赤丸内、
OHKY Pan2プロジェクト

画像は両国のキングサイズ専門、ライオン堂の写真を拝借。
昔、取材で何度かまいりました。御礼申します。
こんなデカイのはたぶん困ります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北新地、大人の一夜

2011-10-02 18:30:43 | 

北新地と書いて、きたのしんち。古い新地族はこう呼ぶ。
北政所を、きたまんどころ…と読まないのと同様。

古い言葉は駆逐されていく、だが、失ってはならない響きというものがあろう。
特に地名などはストーリーがあり、大事にしたいと思うのだが、行政ってヤツは
曽根崎新地とか東心斎橋なんて味気のない地名でひとくくちにしやがる。



さて、ここはその北新地の料理店「川添」。
カハラ直系の店。ずっと来たいと思いながら、やっと実現した。
飲食店を展開する後輩Dと一緒。

最初に出てくるのは、一切れのパン。
少しお腹を落ち着かせてから、という意味合いか。
人気の高いブランジェリーPBのイチジクパンを軽くトーストして。バカにうまい。



一皿目、海鮮とキノコのサラダ仕立て。

アワビ茸、スーナ、手長ダコ、炙り新サンマ(根室)、だだちゃ豆、アワビ・・・など
スーナとは沖縄産とさか海苔。

ソースは十六島海苔(出雲)、モロヘイヤ、アカモクを散らしたビネグレットソース。

斬新な素材を使うのは、長年修業されたカハラ森さん譲り。




ロワーヌ河上流のサンセールの白と、ブルゴーニュのシャルドネ。
どちらもいただきました。



小皿2種
タコの肝煮 サンマのわたのリエット

人生と同じく、ほろ苦い。
この味はガキにゃわかるめぇ。

赤ピーマンのスープ仕立て  乾燥ものいろいろ

干しナマコ、キクラゲ、干し大根、黒大豆、青大豆、ゴーヤ、高野豆腐、
黒オリーブ、干し鱈

この夏のカレーまつりでは、赤ピーマンのカレーを出していた川添さん。
どうやら彼のブームらしい。 素材そのままなのだが、それが重層的に影響しあい
複雑な味わいになっている。
ふつうのスープみたいにサ~ッと飲めない、噛んで楽しめるスープ。

魚料理  鱧焼き霜、素麺かぼちゃ、鱧の卵カレー風味、 サリコーン
ソースは冬瓜のソース

上にのる切り干大根みたいなのが、素麺かぼちゃ。
付け合わせのスギナみたいなのは、サリコーン、厚岸草ともよばれ、
干潟に生息する海藻。海のミネラル分を吸いこむので、塩気を持つ。

♪~ サリコーンはつらいね、ってなことおっしゃいましたかね~~ 鼻歌が古すぎる。

あっさりとした大人の味だ。
いろいろ食べて来て、人生折り返したような人にはぴったり。
もちろんヘルシーなので若い女性にも。
ギラギラした若い男には似つかわしくない。

コーンスープが出たが、撮り忘れた。
川添さんの故郷、宮崎のスイートコーン、おだしのジュレ。

そしていざ、お肉へ。




鹿児島牛のステーキ  
肉味噌・スクランブルエッグ・金時草・キムチトマト・タスマニアマスタード

ひとくちサイズにカットされた肉。付け合わせを肉に付けても、そのままでも。
なんだか、芸妓はんとでも来たいような。

美味いし、目にも楽しい。
これもまた師匠譲りですな。
 




シメはネタ箱が目の前に出され、「どれになさいますか?」
青背の魚で小さな丼が出るのが、こちらの定番。
まるで寿司屋である。

上からサゴシ(鰆の稚魚)、サゴシ・タイラギの昆布締め、
仕事のしてあるサバ、カスゴ(小鯛)、コハダ

全部もありです・・・というので、当然、私は全種類を少しずつ。




お魚丼 
シンプルで美味。
香の物替わりに、オクラといぶりがっこ。
日本茶が美味い、やっぱ日本人だなぁ~。




水菓子  オレンジのゼリー

その後、新地内のクラブへと案内されたのであるが、
アタシみたいな、金の匂いのしない書生ふぜいは格別女性たちにモテるわけでもなく、
もちろん自腹で常連になんぞなれる訳もなく、
いつまでたっても、どうもなんだか苦手意識が消えないのである。
新地はメシがよろしいようで…。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする